誤り指摘問題で文法を学ぼう(11)

下線部を見て論点を推測しよう
誤り指摘問題を解くときに重要なことはいくつかありますが、最短時間で解くために大事なのは下線部を見てどのような文法事項(論点)が問われているか推測することです

漫然と英文を読んでいては、どこが誤っているのか、なかなか見抜くことはできません。結果、何度も問題文を読み返して時間を浪費してしまうことになります。効率良く解くためには、下線部の施された部分からチェックすべき文法項目を推測する作業が必要になります。

今回は下線部を見てどのような文法事項が問われているか推測しながら解く練習をしてみます。

[例題1]2014経営学部・理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
My wallet (A)was stolen at the airport! I (B)should have been more careful. Would you mind (C)borrowing me (D)some money?
訳)私の札入れが空港で盗まれました。私はもっと用心深くするべきでした。すみませんが私からお金をいくらか借りてくれませんか?

下線部(A)の論点
My wallet (A)was stolen at the airport!
訳)私の札入れが空港で盗まれました。

それでは下線部から論点を推測してみましょう。
下線部(A)は述部was+過去分詞の受動態になっています。
stolen
は動詞stealの過去分詞です。

述部に下線が引かれている場合にチェックしたいのは主述の一致時制です。my wallet3人称単数ですのでbe動詞はwasで合っています。主述の一致はOKですね。時制はこの一文では判断できないので保留です。

次に態をチェックしましょう。

盗まれた」という受動態の英文が出題された場合にチェックしたいのは主語です。
日本語で「私は財布を盗まれた」という受身の表現をしますが「私」を主語にした×I was stolen my wallet.という表現はできません。盗まれたのは「私」ではなく「財布」なのですから、正しくはI had my wallet stolen.もしくはMy wallet was stolen.とします。

本問では主語がmy walletなので正しい受動態表現です。以上のことから下線部(A)は正しい表現です

下線部(B)の論点
I (B)should have been more careful.
訳)私はもっと用心深くするべきでした。

下線部(B)に関する論点を推測してみましょう。
下線部(B)は助動詞have過去分詞の形です。この構文は過去のことに関する現在の推量や、過去の行為に対する非難や後悔を助動詞の違いによって表現します。
助動詞の違いによって意味が変わってきますのでshouldが文脈上適切かどうか、ここが論点といえます。

主要な助動詞+have+過去分詞の構文を整理してみます。

could have+過去分詞「~した可能性がある」
The accident could have been much worse.
訳)その事故はもっとひどいことになった可能性がある。
may[might] have+過去分詞「~したかもしれない」
I may[might] have left the key at home.
訳)私は鍵を家に置き忘れたのかもしれない。
must have +過去分詞「~したに違いない」
He must have told me a lie.
訳)彼は私にうそを言ったに違いない。
should have+過去分詞「~すべきだったのに(実際はしなかった)」
You should have taken some medicine.
訳)あなたは薬を飲んでおくべきだったのに。

前文で財布が盗まれた事実が述べられていることから「もっと注意深くするべきだった」という意になるshouldが適切です。よって下線部(B)は正しい表現です。

3.下線部(C), (D)の検討
Would you mind (C)borrowing me (D)some money?
訳)すみませんが私からお金をいくらか借りてくれませんか?

皆さんはこの構文を見た瞬間にチェックすべき文法項目をいくつ思い浮かびましたか?
思い付くだけ書き上げるとこんな感じでしょうか?

チェックすべき文法項目(論点)
Would you …の構文
動名詞だけを目的語にとる動詞mind doing
borrow/rent/lend/useの違い
いくらかのお金=some money?

問題文を読んで、これらのチェックすべき文法項目をいかに早く思い付けるかが解答スピードに影響します。
それには文法/語法の知識を増やすことが必要です。文法/語法問題集を何度も繰り返し、疑問が湧いたらそのつど辞書や文法書で調べる地道な作業を大事にしましょう。

それでは論点を検討していきましょう。

Would you …の構文
Would youで始まる丁寧な表現をいくつか習いましたね。代表的なものを整理しておきましょう。

Would you like A?「Aはいかがですか」
人にものを勧める場合の表現
Would you like some more salad?
サラダをもっといかがですか。
Would you like to do?「~しませんか」
Would you like to go to the movies?
映画に行きませんか。
Would[Do] you mind doing?「~していただけませんか」
依頼を表す表現
Would you mind repeating that?
もう一度言っていただけませんか。
Would[Do] you mind my[me] doing?「~してもいいですか」
許可を求める表現
Would you mind my leaving my seat for a moment?
少しの間席を外してもいいですか。
Would you …?「…していただけませんか」
丁寧な依頼を表す表現
Would you be quiet for a minute?
少しのあいだ静かにしていただけませんか。

改めて問題文を見てみます。

Would you mind (C)borrowing me (D)some money?
訳)すみませんが私からお金をいくらか借りてくれませんか?

空港で財布を盗まれたあとの発言と考えると辻褄が合いませんが、依頼を表すWould you mind doing?の構文としてborrowが動名詞になっているので問題ありません。

②動名詞だけを目的語にとる動詞mind doing
他動詞の中には動名詞を目的語にとるが不定詞は目的語にとらないものがあります。中でもmindは頻出の動詞です。本問ではmind borrowingと動名詞になっていますので意味が文脈に対して適切かはともかく、下線部(C)はing形で合っています。

目的語に動名詞だけをとる代表的な動詞をまとめてみましょう。

 動名詞だけを目的語にとる動詞
enjoy doing「~するのを楽しむ」
mind doing「~するのを気にする/嫌がる」
finish doing「~するのを終える」
consider doing「~することを考える」
stop doing「~するのをやめる」
postpone doing「~するのを延期する」
deny doing「~することを否定する」
avoid doing「~するのを避ける」
give up doing「~するのをやめる」

borrow/lend/rent/useの違い
受験英語の設問に「貸す/借りる」が出てきたらborrow / lend / rent / useの論点を疑ってみましょう。

borrow A (from B)「(Bから)Aを(無料で)借りる」

borrowは移動可能なもの(物・お金など)を無料で借りる時に使います。
Can I borrow some money?
少しお金を借りてもいいでしょうか。

lend A B「AにBを貸す」
(= lend B to A)

lend目的語を2つとることができます。
My parents lent me the car to go to the movies.
両親は私に映画に行くのに車を貸してくれた。

rent A (from B)「(Bから)Aを(有料で)借りる」
rent A B / rent B to A「AにBを(有料で)貸す」

rent有料で賃借する場合に使います。
We rent our apartment from an old retired couple.
私たちは退職したお年寄り夫婦からアパートを借りている。

We rented Mr. Brown our summer cottage.

= We rented our summer cottage to Mr. Brown.
私たちはブラウン氏に避暑地の別荘を貸した。

use A「Aを(一時的に)借りる」

固定電話・トイレなど移動不可能なものを一時的に借りる場合useを使います。
Can I use your telephone?
電話を借りてもいいですか。

違いを理解したところで、もう一度問題文を見てみましょう。

Would you mind (C)borrowing me (D)some money?
訳)すみませんが私からお金をいくらか借りてくれませんか?

borrowのあとにme / some moneyと2つの目的語があります。borrowは目的語を2つとることはできませんので、下線部(C)は誤りです
文章の流れから、財布を取られたのですから「お金を借りてください」ではなく「貸して下さい」と考えるのが妥当です。

正しくは目的語を2つとれるlend A Bを用いて

Would you mind lending  [×borrowing] me (D)some money?
訳)すみませんが私にお金をいくらか貸してくれませんか?

とします。

④いくらかのお金=some money?
誤りは下線部(C)のborrowingでしたのでsome moneyは正しい表現ですが、先入観なしに適否を検討しておきましょう。

Would you mind lending me (D)some money?
訳)すみませんが私にお金をいくらか貸してくれませんか?

下線部(D)はsomeに引かれています。someは「いくつか(の)/いくらか(の)」という意味で肯定文の中で漠然とした数・量を表します。
some, any, many, much, few, littleなど数量を表す形容詞に下線が引かれている場合は修飾される名詞が可算/不可算のどちらかを検討してみましょう。今回のmoneyは不可算名詞でsomeは可算名詞・不可算名詞どちらにも使えるので下線部(D)は正しい表現です。

1問練習してみましょう。

[例題2]2014経営学部/理工学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
We spent (A)much hours (B)doing the math homework. It then (C)turned out that the teacher had given us the (D)wrong problems to answer.
訳)私たちは数学の宿題に多くの時間を費やした。その後、先生は私たちに誤った問題を与えたことが判明した。
[正解](A)…hourは可算名詞なので不可算名詞を修飾するmuchは不可。正しくはmuch→manyとする。

まとめ
入試本番で誤り指摘問題に割ける時間はそれほど多くありません。下線部を見た瞬間に論点を推測するスピードを上げることが解答時間の短縮につながります。今の時期は単語/文法/語法の知識を増やすことに専念し、秋からの過去問演習で実戦力を磨きましょう。

誤り指摘問題で文法を学ぼう(10)

受動態は能動態に直して考えてみよう(3)
今回は2013年に人文学部/経済学部で出題された問題を扱います。

[例題3]2013人文学部(キリスト教学科/人類文化学科)経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
The wedding reception will (A)be held at a local restaurant. A (B)free shuttle bus service will (C)be provided with the guests from the (D)nearby subway station to the restaurant.
訳)結婚披露宴は地元のレストランで開かれる予定です。招待客には最寄りの地下鉄駅から店まで無料シャトルバスが提供されることになっています。

前回扱った問題と似ていませんか?ちなみに前回の問題はこうでした。

2016人文学部(キリスト教学科/人類文化学科)経済学部
The annual car show will (A)take place in Nagoya (B)over the weekend. A shuttle bus service from the airport to the convention center will (C)be provided with all those who have registered (D)in advance.
訳)毎年恒例のモーターショーが週末に渡り名古屋で行われる。空港からコンベンションセンター行きのシャトルバスサービスが, 事前に申し込んだ全員に提供されることになっている。

provideを用いて『シャトルバスサービスが提供される』なんてところはまったく同じです。

以前にも似たような例を指摘しましたが, 南山の過去問を数多くこなしているとこういう出来事がよくあります。

皆さんに理解していただきたいのはprovide A with Bにヤマを張ることではなく問題の本質です。本問では「受動態で迷ったら能動態に戻して考える」ということです。
これは長文読解で受動態が出てきた場合にも役立つ考え方ですので是非覚えておいてください。

受動態→能動態への変換①
それでは下線部の正誤を検討していきましょう。まずは第1文です。

The wedding reception will (A)be held at a local restaurant.
訳)結婚披露宴は地元のレストランで開かれる予定です。

下線部(A)は受動態になっています。練習のために能動態に戻してみましょう。結婚披露宴を開くのですから、主語はwe又はthey(結婚する2人)で良いでょう。

We [They] will hold the wedding reception at a local restaurant.
訳)私たち[彼ら]は地元のレストランで結婚披露宴を開く予定です。

能動態に変換するとよくわかりますがhold at ~という熟語があるわけではありません。他動詞holdは「~を持っている/握っている」という意味の他に「(会・式など)を催す/開く」という意味が重要です。

[例] The meeting will be held next week.
訳)会議は来週開かれます

なお、at the restaurantat場所の一点を表す前置詞です。
以上のことから下線部(A)は正しい表現です

次に第2文を検討しましょう。

A (B)free shuttle bus service will (C)be provided with the guests from the (D)nearby subway station to the restaurant.
訳)招待客には最寄りの地下鉄駅から店まで無料シャトルバスが提供されることになっています。

下線部(B)freeは「無料の」という意味で正しい表現です。

下線部(D)のnearbyは形容詞の用法で「近くの~」という意味です。
形容詞near「(場所が)近い」という意味をもち、混同しがちですが原級のままでは限定的に使えません。

「近くのレストラン」という場合はa nearby restaurantであって×a near restaurantといえません。
ただしthe nearest restaurantと最上級では限定的に用いることができます。

以上のことから下線部(B),(D)は正しい表現です

受動態→能動態への変換②
消去法により下線部(C)が誤りと分かってしまいましたが、練習ですので第2文を能動態に変換してみましょう。主語は何でも良いのでthe restaurantと置いてみます。

(The restaurant) will provideda free shuttle bus servicewiththe guests from the nearby subway station to the restaurant.
訳)レストランは最寄りの駅から店まで無料のシャトルバスサービス招待客に提供する予定です。

provide A with B「AにBを供給する」のwithは「~を持つ」という意味なのでprovided a free shuttle bus service with the guestsでは「無料シャトルバスサービスに招待客を与える」という意味になってしまいます。
このように供給されるものがprovideの目的語になっている場合はprovide B(供給される物) for [to] A(供給を受ける側)としなければならないので下線部(C)は誤った表現です

第2文を正しい文に直すと、

A free shuttle bus service will (C)be provided for[×with] the guests from the nearby subway station to the restaurant.
訳)招待客には最寄りの地下鉄駅から店まで無料シャトルバスが提供されることになっています。

となります。

誤り指摘問題で文法を学ぼう(9)

受動態は能動態に直して考えてみよう(2)
前回に続いて受動態に下線部が引かれた問題を扱います。過去分詞となっている述語動詞provideの目的語が何になるかに注目して解いてみてください。

[例題2]2016人文学部(キリスト教学科/人類文化学科)経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
The annual car show will (A)take place in Nagoya (B)over the weekend. A shuttle bus service from the airport to the convention center will (C)be provided with all those who have registered (D)in advance.
訳)毎年恒例のモーターショーが週末に渡り名古屋で行われる。空港からコンベンションセンター行きのシャトルバスサービスが, 事前に申し込んだ全員に提供されることになっている。

4月の時点ではちょっと難しい単語もあるのでまずは語句を解説していきます。

annual「年1回の/毎年の」
take place「(事が)起こる/開催される」

[例] The ceremony is to take place on April 8th.
訳)式典は4月8日に行われる予定である。

convention center「コンベンションセンター(会議場・宿泊設備を完備した地区・総合ビル)
those who節「~する[である]人々」
(= (the) people who ~)

[例] Those who are lazy will never pass.
訳)怠け者は決して合格しない。

register「登録する」

[例] I’m going to register in the contest.
訳)そのコンテストに出場者として登録するつもりだ。

in advance「前もって/あらかじめ」
(= ahead of time/beforehand)

[例] Let me know the time of your departure in advance.
訳)あなたの出発時刻を前もって教えてください。


正誤の検討

それでは下線部の正誤を検討していきましょう。
まずは下線部(A), (B)を含む第1文です。

The annual car show will (A)take place in Nagoya (B)over the weekend.
訳)毎年恒例のモーターショーが週末に渡り名古屋で行われる。

take placeは2語からなる句(群)動詞で, ここでは「開催される」という意味です。日本語では受動態のように訳されますが自動詞なので注意が必要です。

前置詞overは「~の上に」という意味で覚えている人が多いと思いますが, この語は「~を覆って」というイメージを持っています。
over the weekendで「週末を覆って→週末にわたって」という意味になります。
下線部(A), (B)は正しい表現です。

次に第2文を検討します。主語が長いのでfrom以下を省略して考えましょう。

A shuttle bus service will (C)be provided with all those who have registered (D)in advance.
訳)シャトルバスサービスが, 事前に申し込んだ全員に提供されることになっている。

下線部(C)が受動態になっていますので, この文を能動態に直して考えてみましょう。行為を『する側』である主語が分からないのでtheyで代用します。

受動態→能動態への変換
They will providea shuttle bus servicewithall those who have registered in advance.
訳)彼ら(主催者)は事前に申し込んだ全員にシャトルバスサービスを提供する予定である

provideは語法問題で入試に頻出の単語です。

provide A with B「AにBを供給する」
(= provide B for A)

ポイントは目的語にBが来ると, 前置詞がforになることです。入試ではここが狙われることが多いです。
下線部(C)はforwithが入れ替わって誤っているのです。よって, 下線部(C)の前置詞をwithからforに訂正して

A shuttle bus service will (C)be provided for[×with] all those who have registered (D)in advance.
訳)シャトルバスサービスが, 事前に申し込んだ全員に提供されることになっている。

が正しい表現となります。

誤り指摘問題で文法を学ぼう(8)

受動態は能動態に直して考えてみよう(1)
誤り指摘問題では文中の様々な要素に下線が施されますが, 受動態部分に下線が引かれている場合は能動態に直すと考えやすくなる場合があります

[例題1]2016人文学部(キリスト教学科/人類文化学科)経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Satoshi (A)had not been interested in rugby (B)at all. However, last Saturday, he went to see a rugby match with his father, and he was immediately (C)attracted with the (D)sport.
訳)サトシはラグビーにまったく関心がなかった。しかし, 先週の土曜日, 父親とラグビーを観戦してたちまちそのスポーツの虜になった。

まずは第1文を検討してみましょう。

Satoshi (A)had not been interested in rugby (B)at all.
訳)サトシはラグビーにまったく関心がなかった。

interestedは他動詞interestから派生した分詞形容詞です。
他動詞interest「(人)に興味を持たせる」から派生した分詞形容詞にはinterestinginterestedがありますが, 意味の違いを
区別しておきましょう。

interesting「(人にとって)興味を引き起こす」
「人に興味を持たせるような」という意味を表す
interested「(人が)興味を持っている」
「(人が)興味を持たせられた」という意味を表す

また, not … at allまったく…ない」という意味で否定の意味を強調します

not () at all「まったく…でない」

[例] He doesn’t watch television at all.
訳)彼は全然テレビを見ない。

下線部(A), (B)は正しい表現です。
過去完了の文があるということで, このあと起点となる過去の出来事が起こると予想できます。それが第2文の前段です。

However, last Saturday, he went to see a rugby match with his father
訳)しかし, 先週の土曜日, 彼は父親とラグビーを観戦した。

父親とのラグビー観戦というイベントが起点になって, 観戦前後のサトシの心境の変化を説明しているというのがこの文章の構造になっています。
下線部(C), (D)を含む第2文後段を見てみましょう。

and he was immediately (C)attracted with the (D)sport.
訳)そして彼はたちまちそのスポーツの虜になった。

the sportとはラグビーのことですから下線部(D)は特に問題ありません。残るは下線部(C)です。
attractは他動詞で「(興味など)を引く, 魅惑する」という意味です。
下線部(C)では受動態になっていますのでbe attracted withで「~に興味を引かれる」という意味でしょうか?あまり聞き覚えがありませんね。

受動態の解釈で迷ったら能動態に直してみるのも1つの方法です
第2文後段を能動態に直してみましょう。

父親とのラグビー観戦がきっかけでラグビーに対して興味を持つようになったので, 前節の内容を先行詞と考えて, 継続用法の関係代名詞whichで表します。

…, which immediately attracted him with the sport.
訳)そのこと(父親とラグビー観戦したこと)がただちに彼をそのスポーツに惹きつけた。
which = he went to see a rugby match with his father

ここからは語法の問題になります。
the sportの直前の前置詞withに注目してください。

彼(サトシ)の興味をラグビーの方に引くのですからwithではなく「~に向かって」という方向を表すtoが適当です。
よって, 第2文後段を正しく直すと

… and he was immediately attracted to the sport.
訳)そして彼はたちまちそのスポーツの虜になった。

となります。
受動態の文を能動態に直すことでattract A to Bという動詞の語法に気づくヒントとなりました。

attract A to B「AをBに引きつける」

[例] The freshness of the fish attracts customers to the store.
訳)魚の新鮮さが客をその店に引きつけている。

受動態の文を能動態に直すとき, 主語が明確にならない場合がけっこうあります。
しかし〔受動→能動〕変換の目的は動詞と目的語の関係を整理して理解することですから, 主語は適当にtheypeopleと考えておけば問題ありません。

…, they immediately attracted him [×with→to] the sport.
訳)それらがただちに彼をそのスポーツに惹きつけた。

次回も2016年に人文学部で出題された問題で〔受動態→能動態〕変換の練習をしてみます。

誤り指摘問題で文法を学ぼう(7)

[例題1]2016経営学部/理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
(A)I find it hard to believe that 20 years (B)were passing since I (C)graduated from high school. It seems like (D)only yesterday that I was a student here.
訳)高校を卒業してから20年が経ったなんて信じられないよ。ここの学生だったことがほんの昨日のようだ。

形式目的語
まずは下線部(A), (B), (C)を含む文の構文を検討してみます。

(A)I find it hard to believe that 20 years (B)were passing since I (C)graduated from high school.
訳)高校を卒業してから20年が経ったなんて信じられないよ。

下線部(A)のitは他動詞find形式目的語で, 真の目的語不定詞句
to believe that 20 years were passing since I graduated from high school
です。

このようにSVOCの文型で目的語(O)不定詞句that節などの場合, 形式上の目的語itを目的語(O)の位置に置き, 真の目的語である不定詞句やthat節などをCの後ろに回すことが多くあります。
この構文では, find, think, make, take, consider, believeなどがよく使われます。

[例] I find it difficult to operate this machine.
訳)この機械を操作するのは難しいということがわかった。
[例] I thought it possible to solve the problem.
訳)その問題を解決するのは可能だと思った。

形式主語
次に下線部(D)を含む文です。

It seems like (D)only yesterday that I was a student here.
訳)ここの学生だったことがほんの昨日のようだ。

文頭のit形式主語で, 真の主語that節
that I was a student here
です。

このように不定詞句that節主語として用いられる場合, 主語の位置にitを形式的に主語として置き, 真の主語である不定詞句やthat節をうしろにまわすことが多くあります。

[例] It is fun to meet new people.
訳)初めての人と会うのは楽しい。
[例] Is it true that Lisa is leaving the club?
訳)リサが退部するというのは本当ですか。


下線部の正誤を検討しよう

それでは下線部の正誤を判定していきましょう。

(A)I find it hard to believe that 20 years (B)were passing since I (C)graduated from high school.
訳)高校を卒業してから20年が経ったなんて信じられないよ。

下線部(A)は他動詞findSVOCの語法を持つので正しい表現です。

下線部(B)は直後の接続詞sinceに注目します。
since節を伴う文の主節では完了時制を用いるのが原則なので正しくは
20 years have passed since I graduated from high school
訳)高校を卒業してから20年が経った
となります。よって下線部(B)が誤りです。

下線部(C)は接続詞sinceに続いて過去の始点を表しています。
graduate fromで「~を卒業する」という意味なので時制, 語法ともに正しい表現です。
[例]  He graduated from Harvard in 1999 with a degree in law.
訳)彼は1999年にハーバードを卒業し法学の学位を得た。

最後に下線部(D)です。

It seems like (D)only yesterday that I was a student here.
訳)ここの学生だったことがほんの昨日のようだ。

onlyは名詞を修飾できる副詞only yesterdayで「つい昨日」という意味になります。
下線部(D)の直前にあるlike前置詞です。
like(前置詞)+ only yesterday(名詞)で「つい昨日のような」という意味の形容詞句としてはたらき, 主格補語(C)になっています。
以上のことから下線部(D)は正しい表現です。

[例] It seems like only yesterday that we sat on the swing and talked for hours.
訳)私たちがぶらんこに座って何時間もおしゃべりしたのがついこの間のように思える。