誤り指摘問題で文法を学ぼう(14)

下線部を見て論点を推測しよう(4)
今回も下線部とその前後から論点を推測する練習をしていきましょう。

 [例題]2016経営学部・理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
The Metropolitan Museum of Art (A)was founded in 1870, in New York. Ten years (B)later, the museum (C)moved to Central Park, (D)which it remains today.
訳)メトロポリタン美術館は1870年にニューヨークに設立された。10年後、セントラルパークに移設し、そのまま現在に至っている。

下線部(A)の論点
The Metropolitan Museum of Art (A)was founded in 1870, in New York.
訳)メトロポリタン美術館は1870年にニューヨークに設立された。

まず下線部(A)ですが、ここで気になるのはfoundedという過去分詞です。
これはfind(~を発見する)の過去分詞ではなくfound(~を設立する/創立する)という動詞の過去分詞です。基本動詞なのでこれを機会に覚えてしまいましょう。

find, foundの活用変化は、それぞれ次の通りです。紛らわしいので注意が必要です。

findfound(過去形)found(過去分詞)
foundfounded(過去形)founded(過去分詞)

[例] The missing boy has not been found yet.
(その行方不明の少年はまだ見つかっていない)
[例] The World Bank was founded in 1944.
(世界銀行は1944年に創設された)

改めて問題文を見てみましょう。

The Metropolitan Museum of Art (A)was founded in 1870, in New York.
訳)メトロポリタン美術館は1870年にニューヨークに設立された。

メトロポリタン美術館は1つしかないので単数、また設立されたのは1870年なので時制は過去形になります。
よって下線部(A)はwas foundedで正しい表現です。


下線部(B)の論点

Ten years (B)later, the museum (C)moved to Central Park…
訳)10年後、セントラルパークに移設された

下線部(B)は副詞句ten years later中の副詞laterに引かれています。
later を見て思い出して欲しい論点は時の経過に関する表現の使い分けです。

時の経過に関する表現
later「その~後」
in ~「今から~で[の後に]/~経つと」
after ~「~の後に」
within ~「~以内に/~の間に」

①過去の文脈で「その~後」という場合には~ laterを用いるが、現在を起点にして「今から~後」という場合にはin ~を用い、laterは用いない。
②「~後に」の意味ではinは未来に、afterは過去に用いることが多い。
③「~以内に」の意味を強調したい場合はwithinを用いる。

I called her two days later.
(その2日後に彼女に電話した)
He will come back in a week.[未来]

(彼は1週間経てば[で/後に]戻って来るよ)
I came back after an hour.[過去]
(1時間後に戻って来た)
I’ll be back in [within] an hour.

(1時間したら[以内に]戻ります)

以上の知識を元に、再び下線部(B)の箇所を見てみましょう。

Ten years (B)later, the museum (C)moved to Central Park…
訳)10年後、セントラルパークに移設された

美術館が設立された過去を起点に10年が経過した後のことを話題にしているのでlaterを用いるのが適切です。よって下線部(B)は正しい表現です。

下線部(Cの論点
Ten years (B)later, the museum (C)moved to Central Park…
訳)10年後、セントラルパークに移設された

文法/語法問題でmoveという動詞を見たら注意してください。意外な意味をもつ多義語なので正しい語法で使われているかが論点になるのです。

move [他](人)を感動させる人の心を動かす
[他] ~を動かす
[自]引っ越す(from/to,in,into), 動く

I was deeply moved by his story.
(私は彼の話に深く感動した)
I moved the furniture upstairs in pieces.
(私は家具を分解して2階へ運んだ)
Our family will move to Florida next year.
(私たちの家族は来年フロリダに引っ越す予定だ)

改めて問題文を見てみましょう。

Ten years (B)later, the museum (C)moved to Central Park
訳)10年後、その美術館はセントラルパークに引っ越した

下線部(C)のmovedは前置詞toの目的語にCentral Park(地名)をとるので「(~に)引っ越す」という自動詞の用法です。
以上のことから下線部(C)も正しい表現です。

下線部(D)の論点
Ten years later, the museum moved to Central Park, (D)which it remains today.
訳)10年後、セントラルパークに移設し、そのまま現在に至っている。

下線部(D)はwhichに施されています。直前をカンマで区切られているので外見的には関係代名詞whichの非制限(継続)用法のように見えますが、先行詞とおぼしきCentral Parkが地名であるのでちょっと違和感を感じて欲しいところです。

Ten years later, the museum moved to Central Park, (D)which it remains today.

関係代名詞whichの非制限用法であるならば、関係詞節において主語目的語の働きをしているはずですがwhich以下のit remains todaySVM(修飾語)の第1文型ですので主格/目的格となるwhichは不適です。

関係詞節は、

it〔= the Metropolitan Museum of Art〕remains in Central Park today

を書き換えたものですからin Central Parkという副詞句は関係副詞で置き換えられwhereとなります。
よって下線部(D)は誤りで正しくは以下のようになります。

Ten years later, the museum moved to Central Park, where[×which] it remains today.
訳)10年後、その美術館はセントラルパークに移設し、現在もそこにある。


補足
(5月23日)
関係詞の非制限(継続)用法に関してもう1問紹介しておきます。

 [例題2]2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Brazil is the (A)largest Latin American country, with a population of (B)more than 200 million, (C)×after is [→followed by] Mexico. Its capital is Brasilia, (D)which is the fourth most populous city in the country.
訳)ブラジルはラテンアメリカ最大の国で、2億人以上の人口を持ち、次にはメキシコが続きます。首都はブラジリアで国内で4番目に人口の多い都市です。
[解説]前置詞(接続詞)afterの後に述語動詞beをおくことはできないので下線部(C)が誤り。正しくは分詞構文を用いてfollowed byとする。

下線部(D)は、前回と同じく関係代名詞whichの非制限(継続)用法の姿をしていますね。先行詞は場所(Brasilia)ですが、関係副詞whereが入らないのはなぜでしょうか?

場所を表す語が先行詞でも関係詞が常にwhereになるとは限りません。関係詞節の中で副詞の働きをするのか、名詞の働きをするのかwhichwhereになるかが決まります。

whichwhereか?
関係詞節中での働きが…
代名詞(主語/目的語)which(関係代名詞)
副詞where(関係副詞)

[例題1]
Ten years later, the museum moved to Central Park, where it remains today.
(10年後、その美術館はセントラルパークに移設し、そのまま現在に至っている)
関係詞節は先行詞Central Park(=there)がなくてもSVが揃った完全な文になっていることを確認してください。

[例題2]
Its capital is Brasilia, which is the fourth most populous city in the country.
(その首都はブラジリアで、(それは)国内で4番目に人口の多い都市です)
関係詞節の中で先行詞Brasilia(=the city)主語の働きをしていますから、場所が先行詞でも関係代名詞whichが使われています。

誤り指摘問題で文法を学ぼう(13)

下線部を見て論点を推測しよう(3)
今回も下線部とその前後から論点を推測する練習です。

正誤の判断は下線部のみならず、前後の語句との関係も含めて検討しましょう。

 [例題1]2015人文学部(キリスト教学科・人類文化学科)経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Joe was having an extremely long day at the office and (A)just wanted to go home. In spite of (B)he was tired, his boss made him (C)finish his work before allowing him (D)to leave.
訳)ジョーは会社で非常に長い1日を過ごしていたので、ただ家に帰りたかった。彼が疲れていたにも関わらず、上司は帰宅の許可を与える前に仕事を終えさせた。

下線部(A)の論点
Joe was having an extremely long day at the office and (A)just wanted to go home.
訳)ジョーは会社で非常に長い1日を過ごしていたので、ただ家に帰りたかった。

等位接続詞andで結ばれているのでjust wanted to go homeの主語はJoeです。
wanted to goを見て、まず思い出して欲しい論点はwantは目的語が動名詞と不定詞意味が異なる語法を持つということです。

want doing「~される必要がある」
(= need doing/need to be done)
doing
は受身の意味を持つ

[例] Your car wants washing.
(= Your car needs to be washed.)
訳)君の車は洗わなくちゃ。

want to do「~したいと思う」

[例] I want to visit London someday.
訳)いつかロンドンを訪れてみたい。

問題文に戻ると、

Joe was having an extremely long day at the office and (A)just wanted to go home.

wantに続くgo自動詞ですのでwant goingとしても受身の意味にはなりません。文意からも「家に帰りたかった」となるto goが自然です。

下線部(A)を見て気になるのはjustですが、これは「ただ~だけ」という意味の副詞で正しい使い方です。以下の例文で覚えておきましょう。海外旅行での買い物で使える表現です。

[例] “Can I help you?”
「何にいたしましょうか」
“No thanks, I’m just looking.”
「いいえ、ただ見ているだけです」

 

下線部(B)の論点
In spite of (B)he was tired, …
訳)彼が疲れていたにも関わらず…

下線部(B)では直前のin spite ofに着目してください。
in spite ofdespite, althoughのような譲歩を表す語句は南山英語では頻出ですので、問題文に現れたら注意深く検討しましょう。

基本的な考え方はin spite ofdespite, regardless ofなど前置詞(句)のあとには名詞(句/節)although, even thoughなど接続詞のあとには節が続くことを手がかりにします。

in spite of譲歩を表す前置詞句(群前置詞)ですので直後には名詞または名詞相当語句(動名詞/名詞節)が続きます

問題文の下線部(B)he was tiredなのでin spite ofのあとに続けることはできません。正しく直すと、

In spite of his being tired, …

動名詞句になります。
よって、下線部(B)は誤りです。


下線部(C), (D)の論点

his boss made him (C)finish his work before allowing him (D)to leave.
訳)上司は帰宅の許可を与える前に仕事を終えさせた。

誤りは下線部(B)でしたが、(C)と(D)も検討しておきましょう。
下線部(C), (D)ともに直前の動詞に着目してください。

his boss made him (C)finish his work

made使役動詞makeの過去形で、
makeO(目的語)動詞の原形
で「(無理やり)Oに~させる」という意味です。
下線部(C)では動詞finishは原形になっていますので正しい形です。

… before allowing him (D)to leave.

allowallow A to doの形で「Aが~するのを許す」という語法が重要です。ここではing形の動名詞句になっていますが正しい使い方です。

allow A to do「Aが~するのを許す」
(= permit A to do)

 [例] I allowed him to use my car.
訳)彼に私の車を使うことを許した。

このallowは受験英語では受動態でもよく出題されます。次の例文で確認してください。

[例] The children are not allowed to stay at school after dark.
訳)子どもたちは暗くなってから学校にいてはいけません。
(= 子どもたちは暗くなったあと学校に残ることを認められていない)


補足
(5月13日)

今回扱った譲歩を表す語句に関する類題を掲載しておきます。
誤り指摘問題に限らず、文法/語法問題空欄補充問題でも毎年のように出題されていることがわかります。

誤り指摘問題

 [例題2]2014総合政策学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。

(A)Although(誤り) pain in his foot, Tony (B)continued playing football. It wasn’t (C)until after the match that he discovered he had (D)broken two toes.
訳)足の痛みに関わらず、トニーはフットボールをプレイし続けた。彼が両足のつま先を骨折していることを知ったのは、試合の後だった。
[解説] although接続詞なので後にはSVを伴うが続くが、本問ではpain in his foot名詞句が続いているので誤りである。正しくは前置詞in spite ofdespiteを使う。


文法/語法問題

[例題3]2013人文学部(キリスト教学科・人類文化学科)経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを, (A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) Emily Dickinson was virtually unknown during her life, today she is recognized as one of American’s most original poets.
訳)エミリー=ディキンソンは、存命中は事実上ほとんど知られていなかったが、今日彼女はアメリカの最も独創的な詩人の一人として認識されている。
(A) Although (~だけれども) 正解
(B) Even (~でさえ)
(C) Despite (~にもかかわらず)
(D) However (しかしながら)
[解説] (A),(C),(D)の3つは, ともに反意的な意味をもつが, (A)Although→接続詞, (C)Despite前置詞, (D)However副詞である。本問では, 空欄のあとにSVが続いているので, 唯一の接続詞である(A)Althoughが正解。

空欄補充問題

[例題4]2016経営学部・理工学部(A方式)
以下の文章が完成するように、28~43のそれぞれについて(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。(抜粋)
(  40  ) the popularity of Pac-Man in the 1980s, it would take 19 years for the first person to ever reach the highest possible score of 3,333,360 points.
訳)1980年代のパックマン人気(   40   )、可能な最高スコア3,333,360が初めて達成されるまでには19年もかかった。
(A) Instead of (~の代わりに)
(B) Although (~だけれども)
(C) Except (~を除いて)
(D) In spite of (~にも関わらず)正解
[解説] 空欄40の後には名詞句the popularity of Pac-Man in the 1980sが続くので(  40  )には前置詞が入ると推測できる。
(A)~(D)の中で前置詞(句)は(A)instead of, (C)except, (D)in spite ofであるが、文意より(D)instead ofが最適である。

誤り指摘問題で文法を学ぼう(12)

下線部を見て論点を推測しよう(2)
前回に続いて下線部とその前後から論点を推測する練習です。
今はまだ文法/語法問題集を繰り返す時期ですから、解説のように解けなくても構いませんが、漫然と英文を読むのでは誤りに気づきにくいのだということを覚えておいてください。

今回は2009年に経営学部/情報理工学部で出題された問題です。冒頭から前回学んだborrowが登場していますね。

[例題]2009経営学部・情報理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Akari (A)borrowed her brother Toru money to buy a bike (B)on condition that he (C)pay her back in three months. Toru (D)kept his word and returned the money on time.
訳)アカリは3カ月以内に返済するという条件で弟のトオルにバイクを買うためのお金を借りた。トオルは彼の約束を守って約束の日にお金を返した。

下線部(A)の論点
Akari (A)borrowed her brother Toru money to buy a bike…
訳)アカリは彼女の弟トオルにバイクを買うためのお金を(A)借りた

下線部(A)は動詞borrowedに引かれています。
前回学んだようにborrow/lend/rent/useが出題された場合はその区別をまず意識してください。特に、
①「貸す→lend」「借りる→borrow」の区別
②目的語を2つとれるものはlendだけである
rentは「(有料で)貸す/借りる」ともに使われる
という知識は重要です。

lendは目的語を2つ取れる
lend
A B「A(人)にB(物/お金)を貸す」
(= lend B to A)
My parents lent me the car to go to the movies.
両親は私に映画に行くのに車を貸してくれた。

 問題文に戻りましょう。

Akari (A)borrowed her brother Toru money to buy a bike…
訳)アカリは彼女の弟トオルにバイクを買うためのお金を(A)借りた

borrowedの後に目的語が2つ(her brother Torumoney)あることが確認できるでしょうか?borrowは許可を得て他人の所有物を一時的に借りるという意味で、人を目的語に取りません

また、文の後半を見てみると

Akari (A)borrowed her brother Toru money to buy a bike (B)on condition that he (C)pay her back in three months.
訳)アカリは3カ月以内に弟トオルが彼女に返済するという条件で(トオルから)バイク購入に充てるお金を借りた

アカリが弟であるトオルからお金を借りているのに、返済はトオルが行うという理不尽な約束をしていますね。明らかな矛盾ですので下線部(A)は誤りです
正しくは目的語を2つ取れるlendを用いて、

Akari lend [×borrowed] her brother Toru money to buy a bike…
訳)アカリは彼女の弟トオルにバイクを買うためのお金を貸した

とします。


下線部(B), (C)の論点

(B)on condition that he (C)pay her back in three months.
訳)彼が3カ月以内に(C)彼女に返済する(B)という条件

誤りは下線部(A)でしたが、(B)~(D)についても検討しておきましょう。

下線部(B)on condition thatは「~という条件で」という意味で、どの問題集にも記載がある頻出の表現です。
このthat同格の接続詞で、後続するS V(節)condition(条件)の内容を説明しています。本問ではhe pay her backと節が続いていますので正しい使い方です。

on (the) condition (that) SV「~という条件で」

I will lend you the money on condition that you pay it back in a month.
訳)1か月後に返済するという条件で金を貸そう。

下線部(C)pay her backについてはpayが目的語に人を取れるかどうかがポイントです。

[例] She paid three thousand yen for that book.目的語が(お金)
訳)彼女は本の代金3,000円を支払った。

[例] I paid her 50 dollars for the shoes.目的語が
訳)彼女に靴の代金として50ドル払った。

このようにpayは人/物どちらも目的語に取れるので下線部(C)は正しい表現です


下線部(D)の論点

Toru (D)kept his word and returned the money on time.
訳)トオルは約束を守って約束の日にお金を返した。

下線部(D)についてはkeep one’s word約束を守る」というイディオムがポイントです。
あえて論点を推測するとしたらwordが単数で良いのか?」ということでしょうか。
wordは「約束を守る」という意味で使われるときは複数にはならないので(D)kept his wordで正しい表現です。

keep one’s word「約束を守る」
(= keep one’s promise)
break one’ word「約束を破る」

[例] She always keeps her word.
訳)彼女はいつも約束を守る。

誤り指摘問題も数をこなしていくうちに、頻出パターンが見えてきます。今回紹介した「borrow/lendの入れ替え」はその1つです。
南山の先生方に「受験生の中にははborrowlendを区別できてない子がいる」という認識がある限りこの論点は出題される可能性があるでしょう。それは文法/語法問題かもしれませんし、空欄補充問題かもしれません。

今後もこのようなパターンを見つけ次第、紹介していきたいと思います。