第26講 頻出論点⑪前置詞

誤り指摘問題の頻出論点(5)
前置詞

この論点は前置詞単独や前置詞を含んだ句に下線が施されている場合を指します。文法/語法問題ゼミの前置詞の項でも解説しましたが、前置詞が絡む問題では2つのパターンが考えられます。

1つは、①熟語やイディオムを構成する前置詞を問われている場合で、もう1つは、②文脈に合う前置詞を問われている場合です。

前置詞論点2つのパターン
熟語やイディオムを構成する前置詞を選ばせる問題か?
文脈に合う前置詞を選ばせる問題か?

以下の設問を参照してください。4箇所の下線部のうち、前置詞に関連する下線部が3つあります(下線部(A), (B), (D))

[例題1]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科)・経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Steve Jobs is (A)known by completely changing the landscape of the computer industry. (B)Through his company, Apple, he revolutionized (C)the way people think about computers and how they (D)fit into people’s daily lives.
(訳)スティーブ=ジョブズは、コンピューター業界の風景を大きく変えたことで知られている。彼の会社、アップル社を通じて、人々のコンピューターについての考え方や、コンピューターの日常生活への適合の方法を革命的に変えたのだ。
[解答] (A)known by→正known for
[解説] 本問では前置詞を含む部分3か所(青文字)に下線部が引かれています。
下線部(A), (B)は文脈の意味に合う前置詞が使われているかを判断します
それに対して下線部(D)はfit into Aという熟語を構成する前置詞intoが適切か判断します

それでは2017年の問題を使って解説していきましょう。

1.熟語やイディオムを構成する前置詞
下線部に前置詞が含まれる場合、まずは熟語やイディオムを構成する前置詞として正しいものが使われているかどうかを前後関係から検討します。

[例題2]2017経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Our teachers give us a lot of (A)homework, and we have to (B)devote so much time (C)for completing it. It is hard to solve mathematics questions, so we (D)had better work together.
(訳)先生方は私たちにたくさんの宿題を出すので、私たちはそれを仕上げるのに多くの時間を割かなくてはなりません。数学の問題が難しいので、私たちは協力して取り組んだほうがいいだろう。

本問では頻出の論点が2つ含まれています。1つは(A)homeworkで、これは頻出論点(1)で扱った不可算名詞です。

もう1つが今回のメインテーマである前置詞(C)for completingがそれに当たります。
下線部に前置詞が含まれていたら、まずは熟語やイディオムを構成する前置詞の可能性を考えましょう。ここでは直前にdevote(~をささげる)という動詞があります。このことから「動詞devoteの語法に関する正しい前置詞は何か?」という視点で前置詞forのの適否を考えます。

Our teachers give us a lot of (A)homework, and we have to (B)devote so much time (C)for completing it.
(先生方は私たちにたくさんの宿題を出すので、私たちはそれを仕上げるのに多くの時間を割かなくてはなりません)

下線部(A)homework不可算名詞ですからa lot of(たくさんの~)といった数・量を表す形容詞で修飾されても複数形にはなりません。よって、下線部(A)はhomeworkのままで正しい表現です。
続いて、後半を検討しましょう。

… we have to (B)devote so much time (C)for completing it.
(私たちはそれを仕上げるのに多くの時間を割かなくてはなりません)

(C)for completingは動詞devoteによって作られる動詞句の一部を構成しています。動詞devoteについては以下の語法が重要です。

devote A to B「A(時間・努力・金)をB(人・仕事・目的など)に捧げる充てる向ける」

下線部(C)ではfor completingとなっているので、この前置詞forが誤りで、正しくはtoとなります。よって正解は(C)です。

[誤り訂正後]
… we have to devote so much time to completing it.
(私たちはそれを仕上げるのに多くの時間を割かなくてはなりません)

2.前置詞のもつ意味が文脈に合っているか?
前置詞が熟語やイディオムの一部ではない場合は、文脈に合った意味をもつ前置詞かどうかが問われていると考えます。

[例題3]2017経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
A : How (A)frequently does the bus run to the airport?
B : It usually runs (B)every 15 minutes. But (C)in weekends, it runs (D)less often.
(訳)A「空港行きのバスはどれくらいの頻度で運行されていますか?」
    B「通常は15分間隔です。しかし、週末には少し本数が減ります」

本問には入試頻出事項を多く含んでいますが、前置詞が論点となるのは1箇所(C)in weekendsのみです。この文を抜き出してみます。

But (C)in weekends, it runs (D)less often.
(しかし、週末には少し本数が減ります)

前後にin weekendsを含みそうな語句が見当たらないので、このような場合は前置詞inが文脈に合っているかを判断する方針に変更します。
週末」という特定の日を表す場合はon weekendsもしくはat weekendsとしますので、(C)in weekendsは前置詞inが誤りです。

また、ここでのrunは「走る」ではなく「(乗物が)運行されている」という意味です。
[例] The trains run every ten minutes.
  (列車は10分ごとに出る)

過去問演習

[問題1]2017人文・経営学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち, 一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Students (A)who have questions (B)regarding the new study abroad program (C)should attend the explanatory session (D)in the next Wednesday afternoon.
[解答] (D)in the next→正on the next
(訳)新しい留学プログラムに関して質問のある学生は今度の水曜午後の説明会に出席した方がよいでしょう。
[解説] 本問は下線部(D)前置詞に関わる問題で、文脈にあった使い方をされているかどうかを検討します。

「今度の水曜日の午後」などのように特定の日の場合はinではなくonを使います。特定のonと覚えておきましょう。
[問題2]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科)・経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Satoshi (A)had not been interested in rugby (B)at all. However, last Saturday, he went to see a rugby match with his father, and he was immediately (C)attracted with the (D)sport.
[解答] (C)attracted with→正attracted to
(訳)サトシはラグビーに関して全く興味がなかった。しかし先週の土曜日、父親とラグビーの試合を観戦してたちまちそのスポーツの虜になった。

[解説] 本問では下線部(C)前置詞に関わる論点になっています。attractedは過去分詞で、he was (immediately) attractedという受動態であることに注意してください。下線部(C)は動詞句を構成する前置詞がwithで正しいかどうかを判断させる問題です。
他動詞attract(~を[…に]引きつける)の語法で[…に]にあたるものはto …で表されます。よってattracted withは誤りで、正しくはattracted toとなります。
[問題3]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科)・経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
The annual car show will (A)take place in Nagoya (B)over the weekend. A shuttle bus service from the airport to the convention center will (C)be provided with all those who have registered (D)in advance.
[解答] (C)be provided with→正be provided for
(訳)年1回の自動車ショーが週末に渡って名古屋で開催されます。空港から会場行きのシャトルバスサービスが事前登録した全員に対して提供されます。
[解説] 本問は下線(A)~(D)の全てが前置詞に関わる問題です。誤り指摘問題で前置詞がいかに重要視されているかが分かる問題となっています。
(A), (B)は前置詞が文脈に合っているか判断させる問題で、(C), (D)が熟語やイディオムを構成する前置詞が正しいか判断させる問題となっています。
4つの下線部で最も匂うのが(C)be provide withです。なぜなら受動態にすることで、他動詞provide本来の目的語をわかりにくくするという南山英語頻出ののひっかけパターンが使われているからです。これは[問題2]の(C)でも使われている方法です。
provideの語法問題は皆さんも問題集で何度も解いたことでしょう。
provide A with B (AにBを供給する)
provide B for A (BをAに供給する)
設問文のままでは「シャトルバスサービスには事前登録した全員が供給されることになっている」という意味になってしまいます。よって、withforと訂正します。
[問題4]2018人文学部(心理人間学科、日本文化学科)・理工学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
I believe the rent (A)for this apartment is (B)reasonable especially (C)considering the fact that it is (D)close from the station.
[解答] (D)close from→正close to [またnear]
(訳)駅に近いという事実をとりわけ考慮すると、このアパートの家賃はお手頃だと思います。
[解説] 本問では下線部(A), (B), (D)が前置詞に関連する論点になっています。「~に近い」という意味で形容詞closeを用いる場合の前置詞はfromではなくtoを用いますので、close toとするか、前置詞near(~の近くに)と置き換えます。「~に近い」に関するclose to=nearの関係は、文法/語法問題や空欄補充問題でも要注意です。
[例] My house is near[close to] the station.
(私の家は駅の近くです)
下線部(C)の(C)consideringは、ここでは関係代名詞(that)節で修飾された名詞the factが続いているので、前置詞としての正しい用法です。
[語句]considering(前)~を考えると/(接)~であることを考えれば

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