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2019年英語過去問[人文学部、外国語学部、経営学部]
1.『前置詞』問題には2種類ある
文法/語法問題ゼミの第12講でも解説したように、空欄に入れるべき選択肢がすべて前置詞の場合は、2種類の解法があります。
1つは、熟語やイディオムを構成する前置詞を問われている場合。
もう1つは、文脈に合う意味をもつ前置詞を問われている場合です。
2種類に分かれる『前置詞』パターンですが、解き方は同じなので安心してください。
選択肢から『前置詞』パターンだと判断したら、まず構文を分析して、空欄前後に特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします。これを『構文的アプローチ』と呼んでいきます。構文的アプローチとは文法や語法、構文の知識で正解選択肢を決定する解法です。
構文的アプローチによる解法で選択肢が1つに決まらなければ、問題文の内容に最もふさわしい意味をもつ前置詞を選ぶという解法に切り替えます。これを『文脈的アプローチ』と呼んでいきます。文脈的アプローチは、文法的に正しい選択肢の中から文意に最も合うものを選ぶ解法です。
『前置詞』パターンでは、どんな問題でも先に構文的アプローチを試みてください。
なぜなら、look forward to doing(~するのを楽しみに待つ)のような定型的な言い回しの中の前置詞は見つけやすいからです。
『前置詞』パターンの解法ステップ 第1段階:他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ〔構文的アプローチ〕 (構文的アプローチで正解が決まらない場合) 第2段階:文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ〔文脈的アプローチ〕 |
これらを実際に問題を解きながら確認してみましょう。
2.構文的アプローチによる解法
2019 人文学部(心理人間学科、日本文化学科)・理工学部 Ⅲ 問30. 以下の文章が完成するように、空欄( 30 )に(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。 Many people claim that modern technology, including video games, keeps young people ( 30 ) communicating with others. [語句] claim that …「…であると主張する」 (A) from (B) away (C) off (D) out |
選択肢(B)awayは副詞ですが、他はすべて前置詞ですので前置詞パターンの方針で解いてみます。
まずは特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックしましょう[=構文的アプローチ]。
[①構文的アプローチ]
Many people claim that modern technology, including video games, keeps young people ( 30 ) communicating with others.
空欄を含むthat節の述語動詞はkeepsで、その目的語はyoung peopleです。そして空欄後には動名詞communicating with othersとなっています。ここで、他動詞keepをキーワードとして、
keep+O(目的語)+前置詞+doing |
を満たす前置詞(副詞)が選択肢の中にないかチェックします。すると、(A)fromだけがこれを満たします。
keep A(目的語) from doing「Aが…することを妨げる」 |
念のため、空欄にfromを入れた場合の意味を確認しておきましょう。
[意味の確認]
Many people claim that modern technology, including video games, keeps young people (30)from communicating with others.
(訳)多くの人々が、テレビゲームを含む現代のテクノロジーが若者たちが他人とコミュニケーションをとるのを妨げると主張している。
内容的にも本文の文脈に合致するので、これが正解になります。
2.文脈的アプローチによる解法
実は、空欄補充問題において構文的アプローチの段階で解ける前置詞問題は少数で、ほとんどが文脈的アプローチで解くことになります。文法/語法の知識だけで解けてしまっては、長文の中に空欄を設ける意味がないからでしょう。
構文的アプローチの解説で他の日程の問題を使ったのは、例題で選んだ問題に構文的アプローチで解くタイプの問題がなかったからです。
2019 人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科)・経営学部 問31. 以下の文章が完成するように、空欄( 31 )に(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。 One reason for it not being completed is that when architect Antoni Gaudi took charge of the project a year after it started, he (30)abandoned the original plans in favor of a more elaborate design, ( 31 ) anything the world has ever seen. (A) different (B) except (C) besides (D) unlike |
本問では選択肢(A)differentだけが形容詞ですが、他はすべて前置詞の用法をもつ語ですから、前置詞パターンで解いてみましょう。まずは特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします[=構文的アプローチ]。
[①構文的アプローチ]
…, he (30)abandoned the original plans in favor of a more elaborate design, ( 31 ) anything the world has ever seen.
heで始まる節の述語動詞は問30で選んだ他動詞abandonedで、その目的語はthe original plansです。( 31 )で始まる部分は直前をカンマで区切られていることから、付加的に情報を補足していると考えられます。この部分にはthe world has never seenというSVを含む節がありますが、これは直前の代名詞anythingを修飾する関係代名詞節です。
このように、構文分析から特定の前置詞と組み合わせになりそうな語が見つからない場合は、文の内容にふさわしい意味を持つ前置詞を選ぶ方針に切り替えます[=文脈的アプローチ]。
[②文脈的アプローチ]
…, he (30)abandoned the original plans in favor of a more elaborate design, ( 31 ) anything the world has ever seen.
(訳)彼はより込み入ったデザインを好んで当初の計画を捨てました。(そのデザインは)世界が今までに見たことのあるもの( 31 )[(A)different→形容詞のため不可、(B)except「を除いて」(C)besides「を加えて」(D)unlike「とは違って」]いました。
( 31 )を含む部分は直前のa more elaborate design「より込み入ったデザイン」を説明しているので、そのデザインが「誰も見たことのないもの→見たことのあるものとは違った」という意味になる(D)unlike「~と違った」が最適です。
もう1問練習で解いてみましょう。
2019年人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・経営学部 問63. 以下の文章が完成するように、空欄( 63 )に(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。 Music lovers can hear these instruments played ( 63 ) the project’s website… (A) in (B) on (C) with (D) to |
明らかに前置詞パターンですから、まずは構文を分析して空欄前後に特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします。
[①構文的アプローチ]
Music lovers can hear these instruments played ( 63 ) the project’s website…
この文は以下のような構文になっています。
S=Music lovers「音楽愛好家たちは」
V=can hear「聴くことができます」
O=these instruments「これらの楽器が」
done=played「演奏されるのを」
[②文脈的アプローチ]
空欄直前にあるplayed(受動態)の目的語はthese instrumentsですから、空欄の前置詞は熟語の一部ではなく、( 63 ) the project’s website全体で副詞句を作ると考えられます。
意味としては、
「そのプロジェクトのウェブサイト上で(これらの楽器が演奏されている)」
とするのが最適なので(B)onが正解になります。
このonは『手段/方法』を表し、過去には「電話(インターネット)で」という場合での出題があります。
『手段/方法』のon [例] We talked on the phone.「私たちは電話で話した」 [例] Bob searched for information about the singer on the Internet.「ボブはインターネットでその歌手に関する情報を探した」 |