『前置詞』パターンとはその名の通り、すべての選択肢が前置詞であるものをいいます。
『前置詞』パターンの問題は、文法/語法問題に限らず空欄補充問題でも頻出で、センター試験でも毎年出題されているので、今回の内容をぜひ身につけてください。
1.『前置詞』問題には2種類ある
『前置詞』パターンでは2種類の問題があります。
1つは、熟語やイディオムを構成する前置詞を問われている場合。
もう1つは、文脈に合う意味をもつ前置詞を問われている場合です。
2種類に分かれる『前置詞』パターンですが、安心してください。解き方は同じです。
選択肢から『前置詞』パターンだと判断したら、まずは空欄前後に特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします。これを『構文的アプローチ』と呼んでいきます。構文的アプローチとは文法や語法、構文の知識で正解選択肢を決定する解法です。
構文的アプローチによる解法で選択肢が1つに決まらなければ、問題文の内容に最もふさわしい意味をもつ前置詞を選ぶという解法に切り替えます。これを『文脈的アプローチ』と呼んでいきます。文脈的アプローチは、文法的に正しい選択肢の中から文意に最も合うものを選ぶ解法です。
『前置詞』パターンでは、どんな問題でも先に構文的アプローチを試みてください。
なぜなら、look forward to doing(~するのを楽しみに待つ)のような定型的な言い回しの中の前置詞は見つけやすいからです。
『前置詞』パターンの解法ステップ 第1段階:他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ〔構文的アプローチ〕 (構文的アプローチで正解が決まらない場合) 第2段階:文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ〔文脈的アプローチ〕 |
これらを実際に問題を解きながら確認してみましょう。
2.構文的アプローチによる解法
[例題1]2016年人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部 ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 Professor Simpson is well known among his students ( ) his strict attendance policy. (A) to (B) for (C) about (D) as |
選択肢からひと目で『前置詞』パターンであると判断できますね。
まずは特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします[=構文的アプローチ]。
[①構文的アプローチ]
Professor Simpson is well known among his students ( ) his strict attendance policy.
出題者が意図的にwellやamong his studentsといった副詞(句)を挟むことで気づきにくくしてあるのですが、is knownは(B)forと結びついてbe known for A「Aで知られている」という意味の熟語を作ります。内容的にも合致するので、これが正解になります。
なお、be knownは後に続く前置詞によって意味が変わります。本問における出題者の意図はこの使い分けにあったのかも知れません。
be knownと結びつく4つの前置詞 be known for A「Aで知られている」 be known to A「A(人)に知られている」 be known by A「Aによってわかる」 be known as A「Aとして知られている」 |
本問のように、構文的アプローチで正解が決まる場合は関係詞節や副詞句/形容詞句などを間に置くことで組み合わせが分かりにくくしてある場合が多いようです。問題文の構造を分析する時は、視野を広くもちましょう。
『前置詞』パターンの問題を、もう1問解いてみましょう。今度は文脈的アプローチの練習です。
3.文脈的アプローチによる解法
[例題2]2016年外国語学部(英米学科) 総合政策学部(A方式) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 Please remember to speak directly ( ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation. (A) on (B) for (C) into (D) by |
『前置詞』パターンですので、まずは(A)~(D)の前置詞いずれかと組み合わせで使われる語がないか本文を確認します[=構文的アプローチ]。
[①構文的アプローチ]
Please remember to speak directly ( ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
directlyという副詞を挟んだその前にspeakという自動詞がありました。「speak+前置詞+名詞」という語法では、
speak to A「A(人)に話しかける」 speak about [of, on] A「A(人・物・事)について話す」 |
などが思いつきますが、the microphoneは話題ではなく、話しかけるための道具ですから(A)onではしっくりきません。
このように、第1段階である構文的アプローチで組み合わせとなる適切な語が見つからない場合は、文の内容にふさわしい意味を持つ前置詞を選ぶ方針に切り替えます[=文脈的アプローチ]。
[②文脈的アプローチ]
Please remember to speak directly ( ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(訳)必ずマイクに直接話しかけてください。さもないと、プレゼンテーションが聴衆に聞こえません。
マイクに向かって話しかけるのですから、選択肢の中で『方向』の意味をもつ前置詞(C)intoが最適です。これは口から発せられた声がマイクの中へ入っていくイメージです。
(B)forにも『方向』の意味がありますが「マイクの方向を向いて話す」というイメージで、マイクに声を届ける感じが出ません。以上から正解は(C)intoです。
[正解]
Please remember to speak directly (C)into the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(訳)必ずマイクに直接話しかけてください。さもないと、プレゼンテーションが聴衆に聞こえません。
まとめ
『前置詞』パターンの解法ステップ 1.他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ〔構文的アプローチ〕 ↓(構文的アプローチで正解が決まらない場合) 2.文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ〔文脈的アプローチ〕 |
『前置詞』パターンの問題は、各日程でほぼ毎年出題されています。前置詞の基本的な意味と使い分けを各自、文法書で確認しておいてください。