第1講「1段落読み終えたら、すぐに1問解こう」

1段落読み終えたら、すぐに1問解こう
南山の長文読解問題では、1段落に1問の割合で設問が作られており、正解の根拠となる英文が2段落にまたがっていることはほぼありません。つまり、1段落読むごとに1つの設問に対して解答することができるのです。

このことから、長文読解問題は100~150語ぐらいの短文を読んで設問に答えるという「短文読解問題の寄せ集め」と考えると少し気が楽になります。そう考えると、長文読解問題を勉強する心理的ハードルが少し低くなりませんか?

-南山長文読解問題の解き方1-
南山長文は短文読解問題の寄せ集め。1段落読み終えるごとに1問ずつ解いていこう

実際の問題で検証してみましょう。2017年に人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科)・経営学部で出題された『ポール・サロペック』というジャーナリストの活動に関する英文です。問題文はリンクを貼っておきますので、各自で確認してください。

大学受験パスナビ(外部サイト)
2017年南山大学過去問[人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科)・経営学部]

ナショナルジオグラフィック日本版2013年12月号(外部サイト)
『全長3万3000キロ 人類の旅路を歩く』

6段落で構成された問題文に対して、設問数は「7」です。
設問は1段落につき1問」と書きましたが、厳密には1段落1問の割合で出題されるのは、英文の内容に関して真偽を判定する問題(内容真偽問題)です。長文読解問題はこの内容真偽問題が設問のメインになります。
内容真偽問題の他には、問23のような『語彙問題』や問27のような『文章の挿入』問題が出題されます。

それでは問21から27まで、内容真偽問題の正解を選ぶために必要な文がどの段落にあるか調べていきましょう。

21. According to the passage, Salopek has already traveled through (      ) on his seven-year walk.
(訳)本文の一節によれば、サロペックは7年に渡る徒歩旅行ですでに(      )を旅行した。
(A) Alaska
(B) Chile
(C) the Middle East
(D) California

設問ではサロペック氏が「現在どこまで旅行を終えたか?」を問われています。
選択肢に並ぶ地名はすべて第1段落に登場する地名ですので、この段落を丁寧に読めば正解を選ぶ根拠となる文がありそうです。
実際にこのような文章があります。

His journey began in Ethiopia, and so far it has taken him through the Middle East and parts of Asia.
(訳)彼の旅はエチオピアで始まり、今までのところ(彼の旅はサロペックを)中東を通り過ぎて、アジアの一部に連れて行った。

最初の段落を読めば、1問解けることがわかりました。この問題がたまたまそうだったのかも知れませんので、他の設問でも「内容真偽問題は1段落につき1問」という仮説を検証していきます。

22. Which of the following is true about Salopek’s Out of Eden Walk?
(訳)サロペックの『アウト・オブ・エデン・ウォーク』について正しいものは下記のもののうちどれか?
(A) He takes less than a week to travel 160 kilometers.
(B) He is paying for his trip himself.
(C) He writes just once a year about his travels.
(D) He walks roughly 4,000 kilometers a year.

問22ではサロペック氏の徒歩旅行『アウト・オブ・エデン・ウォーク』について正しいものを問われています。
4つの選択肢の真偽を判定するための根拠となる文は、すべて第2段落に含まれていますが、正解の根拠となる文は段落の最後にあります。

…, yet Salopek notes that our ancient ancestors walked approximately 4,000 kilometers every year to hunt and gather food, about the same distance he covers each year.
(訳)しかし、サロペックは古代の祖先たちが狩りをしたり、食物を採集するため、彼が毎年歩くのとほぼ同じ距離、約4,000kmを毎年歩いていたと言及している。

23. Which of the following best fits in (  23  )?
(訳)空欄(  23  )に入れるのに最適なものは下記のもののうちどれか?
(A) Naturally
(B) Ideally
(C) Therefore
(D) Especially

問23は文脈に相応しい語彙を選ばせる問題です。空欄(  23  )と書いてあるので、これは第3段落にあることがすぐに確認できますね。

24. Accordingly to the passage, Salopek says that car ownership (      ).
(訳)本文の一節によれば、サロペックは車を所有することは(      )だと述べている。
(A) is quite common in Ethiopia
(B) is a terrible thing for people’s lives
(C) makes it harder to appreciate our environment
(D) makes it easier to visit places in poor countries

問24は選択肢の中から正しいものを選ばせる内容真偽問題です。
正解は(C)ですが、すべての選択肢を真偽を判定するための根拠文はすべて第3段落にあります。つまり3段落を読めば、問23, 24を解くことができるのです

25. Accordingly to the passage, Stewart suggests that Salopek (      ).
(訳)本文の一節によれば、スチュワートはサロペックが(      )ことを提案している。
(A) get enough food and rest
(B) spend time with local people
(C) walk only about 30 kilometers a day
(D) visit tourist attractions

問25も24と同形式で、選択肢の中から正しいものを選ばせる内容真偽問題です。
正解の根拠となる文は第4段落の最後、

Stewart enjoyed spending time with his hosts. He recommends that Salopek follow his example.
(訳)スチュワートは家の主人たちと時を過ごすことを楽しんだ。彼はサロペックが彼の例に倣うことを勧めている。

という文です。設問では本文中のrecommend(勧める)と異なるsuggest(提案する)という単語を使うことで、受験生がきちんと内容を読み取れているかを測ろうとしています。
このように内容真偽問題では、あえて本文中と異なる表現が使われることが多いということを覚えておいてください。このような紛らわしい表現に関しては第4講選択肢の表現に惑わされないで解説します。

26. According to the passage, Salopek hopes his approach to reporting will (      ).
(訳)本文の一節によれば、サロペックは彼の報道に対する取り組みが(      )となることを望んでいる。
(A) interest people who use smartphones
(B) show how world issues impact local communities
(C) focus on sensational stories
(D) introduce unusual stories about traveling

問26も選択肢の中から正しいものを選ばせる内容真偽問題です。
本問に関しては、第5段落を注意深く読めば、選択肢の真偽を判定することができます。
本問で正解の根拠となるのは以下の文です。

Salopek instead intends that his brand of ‘slow journalism’ will focus on how the local communities he encounters on his travels are affected by global issues like climate change and technological innovation.
(訳)それよりもサロペックは、彼の『スロージャーナリズム』が、旅の中で出会う地域社会が、気候変動や技術革新といった地球規模の問題によってどんな影響を受けているかに焦点を当てることを意図している。

27. Choose from [A] to [D] the most appropriate place in the passage in which to include the following sentence :
“Slowing down doesn’t dull the world. It makes it sharper. It makes crisper. That’s what walking does,” Salopek says.
(訳)以下の文が入るのに最適な場所を[A]から[D]の中から選びなさい。
「ゆっくり進むことは世界をぼんやりしたものにすることではありません。よりくっきりさせます。より鮮明にするのです。歩くことによって得られるのはそういうことなのです」とサロペックは語る。
(A) [A]
(B) [B]
(C) [C]
(D) [D]

問27は与えられた英文を問題文のどこに挿入するべきか問う問題です。これは南山の長文読解問題で昔から出題されてきたパターンです。
このパターンの設問は英文の論理構成を把握しなくては解けない問題ですので、第5講各段落にタイトルをつけようで解説を予定しています。

まとめ
南山の長文読解問題では1段落ごとに内容真偽問題が1問出題されています。正解を選ぶための根拠文はすべて1段落の中に揃っているので、問題文全体を通読してから設問を解き始めるのではなく、1段落読み終えたら内容を忘れる前に、その段落に関する内容真偽問題を解いていくことが効率的です。

-南山長文読解問題の解き方1-
南山長文は短文読解問題の寄せ集め。1段落読み終えるごとに1問ずつ解いていこう

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