文法頻出分野No.1『仮定法』
南山英語における文法問題の頻出分野ベスト5は仮定法/完了形/助動詞/分詞/倒置です。
中でも出題率1位の仮定法は2016年に全ての日程で出題されました。2017年、2018年は全日程を通じて1問ずつ(2017年:英米学科・総合政策学部第7問/2018年:法学部・国際教養学部第10問)、2019年には3問と減りましたが、2020年は再び増加し、4問出題されました。2021年もどこかの日程で出題されると思って準備しましょう。
仮定法は完了形や助動詞・倒置(ifの省略)などと組み合わせた問題を作成しやすいことから、今後も仮定法を絡めた出題が続くのではないかと思われます。仮定法に苦手意識がある受験生は参考書の単元を読み直したり、問題集を解き直しておくと良いでしょう。
直前ゼミでは仮定法の基本問題と、差がつきやすい『ifを省略した仮定法』を2通り解説していきます。
1.仮定法『基本問題』
2018 全学統一入試 (2/7実施) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 If I had known that the meeting had been scheduled earlier than usual, I wouldn’t ( ) late. (訳)会議がいつもより早く計画されていたと知っていたなら、遅刻しなかったのに。 (A) have been (B) to be (C) had been (D) being |
下線を施したIf I had known…を見れば仮定法過去完了の文であることは一目瞭然ですが、各選択肢の特徴から出題パターンを分析すると、本問はbe動詞のさまざまな形が並ぶ『動詞の形』パターンであることがわかります。
[選択肢の分類]
(A) have been→現在完了
(B) to be→不定詞
(C) had been→過去完了
(D) being→ing形
→be動詞に関する『動詞の形』パターン
『動詞の形』パターンでは、空欄の前後をチェックして、動詞の形を決定するキーワードを探していくのが基本的な解き方でしたね。
[動詞の形を決定するキーワードを探す]
If I had known that the meeting had been scheduled earlier than usual, I wouldn’t ( ) late.
青字の部分が仮定法過去完了のif節の形になっているので、空欄を含む主節は「助動詞の過去形+have+過去分詞」もしくは「助動詞の過去形+動詞の原形」の形になると推測できます。よって正解は(A)have beenになります。
2.ifを省略した仮定法
これはトップページでも紹介している論点で、2019年には3年ぶりに出題されました(2月9日外国語学部(フランス学科、アジア学科)/経済学部)。3年ぶりの出題ということで、書店で手に入る赤本には載っていなかったため、多くの受験生にとっては初見で戸惑ったのではないでしょうか?
ifを省略した仮定法、2016年以来の出題!! 2019 外国語学部(フランス学科、アジア学科)・経済学部 第1問 ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 ( ) my plane not arrive on time, please wait for me at the baggage area. (A) If (B) Unless (C) Should (D) When |
ifを省略した仮定法には3通りの表現がありますが、南山の文法/語法で繰り返し出題されているものはそのうち2通りです。
一つは『hadパターン』で、もう一つが『shouldパターン』です。
残りのWereを用いるパターンは今のところ出題がありませんので気にしなくても良いでしょう。
ifを省略した仮定法① hadパターン
2016 経営学部・理工学部(A方式) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 Had we known that the government was going to build a highway nearby, we wouldn’t ( ) here. (A) move (B) moved (C) have moved (D) had moved |
入試本番で初見の場合を想定し、仮定法の問題であることを知らないという前提で解説していきます。
選択肢を見比べると、動詞moveの様々な時制[(A)原形、(B)過去形、(C)現在完了、(D)過去完了]が並んでいますので、『時制』パターンであることがわかります。
時制パターンであると判断したら、空欄の時制を決定するヒントを見逃さないように構文をチェックしていきます。
[構文的アプローチ]←問題文の文法要素をチェックして文法的な誤りを含む選択肢を除外することをいいます。
Had we known that the government was going to build a highway nearby, we wouldn’t ( ) here.
空欄前に助動詞wouldn’tがあるので 、過去形である(B)movedは文法的に選ぶことはできません。 残った選択肢の時制は以下の通りです。
[選択肢の分類]
(A) move→原形
(C) have moved→現在完了
(D) had moved→過去完了
we wouldn’t ( ) hereのみでは時制を決定できませんので、前節を見てみます。すると、
Had we known that… (…ということを知っていたならば)
というifを省略した仮定法過去完了の条件節があることに気がつきます。
ここから、帰結節が「助動詞の過去形+have+過去分詞」もしくは「助動詞の過去形+動詞の原形」となることが推測できますので、(A)moveと(C)have movedが文法的には正しい形です。
(A)moveを選んだ場合は、現在の事実と違うと思っている事柄を表すので、その訳は
『政府が近くに高速道路を建設すると知っていたなら、ここには引っ越して来ないのに』
という意味になり、条件節との内容に時間的なズレが生じてしまいます。
よって、「引っ越して来なかったのに」という過去の意味となる(C)have movedが正解になります。
◆ifを省略した仮定法◆ 仮定法におけるifを省略すると倒置が起こり, 疑問文と同じ語順になります。この形をとるのは, were, hadおよびshouldの場合のみです。 [例] Had we known that the government was going to build a highway nearby, we wouldn’t have moved here. (訳)政府が近くに高速道路を作る予定だと知っていたなら、ここに引っ越して来なかったのに。 ↓ ifを補って表現すると以下のようになります。 If we had known that the government was going to build a highway nearby, we wouldn’t have moved here. |
ifを省略した仮定法② shouldパターン
if節でshouldを用いると「実現の可能性が低い」という話者の判断を表します。
[例文①] 実現可能性が低い
If he should change his mind, he would call me.
(万一、彼が考えを変えるようなことがあれば、電話してくるだろう)
このとき、主節の動詞は過去形にならない場合や、命令文になることもあります。
[例文②] 主節が未来形になる場合
If our teacher should find out about your cheating, he will punish you.
(もし先生が君のカンニングのことを知ったら、君を罰するでしょう)
[例文③] 主節が命令文になる場合
If you should see John, ask him to call me.
(もしジョンに会うことがあったら、電話するように言ってくれ)
以上の基本事項をふまえて、例題を解説していきます。
2016 外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 ( ) you have any questions about your credit card bill, don’t hesitate to contact one of our representatives. (A) Should (B) Could (C) Would (D) Ought |
選択肢は全て助動詞です。助動詞は話し手の主観的な判断を表す働きをするので、助動詞の問題は『文脈』を読み取って正解を決定することが多いのですが、文法/語法問題の定石通りに、まずは構文をチェックして文法的に誤っている選択肢を除外しましょう。
[構文的アプローチ]
( ) you have any questions about your credit card bill…
(A)Should、(B)Could、 (C)Wouldが文頭に来る場合は文法的に正しい語順ですが、(D)の助動詞oughtはto doと共に用いられ, 疑問形は「Ought you to have any questions…」とならなければならないので正解候補から除外します。残りの選択肢は文脈的アプローチで検討しましょう。
[文脈的アプローチ]
( ) you have any questions about your credit card bill, don’t hesitate to contact one of our representatives.
(訳)クレジットカードの請求書に関して質問がある( )、お気兼ねなく当社の担当までご連絡ください。
文頭に助動詞が入るので一見、疑問文のようですがクエスチョンマークが見当たりません。さらに後続節で、don’t hesitate to contactという禁止の命令文になっていることから、空欄を含む節が仮定法の条件節になっていると考えることができます。
ifが省略できる仮定法はwere、had、shouldの3つのみなので, (A)Shouldが正解です。(B)Could、(C)Wouldは仮定法のif節では通常用いられません。
◆shouldを用いる仮定法◆ If+主語+should+原形不定詞「万一~ならば」 if節で使われるshouldは実現の可能性が低いという話し手の判断を表し, 絶対に起こらないことの仮定には用いません。この形では帰結節に, 過去形の助動詞だけでなく, 現在形の助動詞や命令形も用いられます。 [例] If you should have any questions about your credit card bill, don’t hesitate to contact one of our representatives. (訳)クレジットカードの請求書に関して万が一質問がある場合は, お気兼ねなく当社の担当までご連絡ください。 ↓ ifを省略すると Should you have any questions about your credit card bill, don’t hesitate to contact one of our representatives. |
もう1問、例題を解いてみましょう。
2011 経営学部・情報理工学部(A方式) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 ( ) you require any assistance, please feel free to contact the help desk. (A) Would (B) Unless (C) Should (D) Whether |
本問も、まずは選択肢を見比べてみます。(A)Would、(C)Shouldが助動詞で(B)Unless、(D)Whetherが接続詞ですね。
[構文的アプローチ]
( ) you require any assistance…
意味がどうなるかはともかく、(A)Would、(B)Unless、(C)Should、(D)Whetherは文頭に置くことができます(厳密にはwhetherが譲歩の副詞節を導く場合は必ずor...を伴うので不可ですが、気づかないままやり過ごしても、次の文脈的アプローチで意味が通らなくなり、正解候補から除外されます)。
[文脈的アプローチ]
( ) you require any assistance, please feel free to contact the help desk.
(訳)助けが必要( )、お気軽にお問い合わせ窓口にご連絡ください。
丁寧な表現になっていますが、後続節で命令文「please feel free to contact …」が使われていることに注目してください。
このことから、前半は「もし~の場合には」という条件節になると予想できます。(C)Shouldを入れればifが省略された形の仮定法となり、意味が通ります。よって(C)Shouldが正解です。
shouldパターンの例題を2問解いてみて、何かに気付かれた方はいませんか?
実は、2016年に外国語学部(英米学科)/総合政策学部(A方式)で出題された問16は、2011年に 経営学部/情報理工学部(A方式)で出題された問4とほぼ同じ内容です。
さらに2010年、2013年にも同様の問題が出題されています。
2010 人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・経済学部 ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 ( ) you have any questions about assignment, please do not hesitate to contact me. (A) Should 正解 (B) Could (C) Will (D) Might |
2013 経営学部・情報理工学部(A方式) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 ( ) wish to extend your check-out time, please contact the hotel reception desk. (A) Would you (B) Should you 正解 (C) Do you (D) Could you |
南山の文法/語法問題では、過去の出題と類似した問題が出題されることが多いので、出来るだけたくさんの過去問を解き、慣れておくことが大切です。最低限、今年度の赤本に載っている問題は, 他の日程のものも含め、全て解いておきましょう。