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偏差値を上げる方法

1.勉強しても模試の偏差値が上がらない最大の理由
毎日こつこつ勉強しても偏差値が上がらない受験生がいます。すると本人は「ひょっとしてこの勉強法は間違っているのかな?」「この参考書で大丈夫かな…」という不安に襲われます。確かにその場合もありますが, 勉強しても偏差値が上がらない最大の原因は『他の受験生も同じように勉強しているから』です

身長を例に考えてみましょう。成長期に入ったA君は中学3年間の間に身長が15cmも伸びました。ところが、卒業式で並ぶと入学式の時とほとんど位置が変わりません。なぜでしょう?そうです。クラスメイトも同じように背が伸びたからです。自分の背が伸びても、クラスメイトが同じようなペースで成長すれば、身長の偏差値は変わりません。模試の偏差値も同じです。自分が勉強している時、他の受験生も似たような参考書を使って、同じように勉強しているからです。勉強しても偏差値が上がらないのは, あなたの学力が伸びていないのではなく、みんなの学力が同じようなペースで伸びているからです

それでも, 南山志望者の中から抜け出して合格するには受験生の中で偏差値を上げなければなりません。いったいどのようにすれば偏差値を上げることができるのでしょうか?
 
自分が勉強しているとき, ライバルも同じように勉強している→英語力が伸びても偏差値は上がらない

2.偏差値を上げる2つの戦略
偏差値を上げるには周りの受験生と同じことをしていては駄目です。偏差値を上げるには他の受験生に対して学力の伸びる速度を加速させなければなりません。それには2つの戦略があります。

他の受験生と違う教材で勉強する
他の受験生と同じ教材を使ってより長く勉強する

①他の受験生と違う教材で勉強する
これはライバルが使っている参考書より優れたものを使えば合格に近づくという考え方です。しかし, そのような問題集を探し出すのは至難の業です。受験勉強の方法に関して情報収集を始めたらきりがありません。
そこで私が薦めるものは『重要な教材であるにも関わらず, 多くの受験生が軽視している教材』です。既に述べましたが、コミュニケーション英語Ⅲの教科書音読と、総合英語参考書の例文暗記&瞬間英作文がそれです
音読学習と例文暗記は昔からある勉強法ですが、注意したいのは徹底的にやること』です。同じ文章を最低でも10回。できたら30回は音読します。音読に飽きたらCDを聞き流します。これはお風呂場や眠りに就くときでもできます。とにかく、飽きるまでやる。飽きたらやり方を変えて再び飽きるまでしつこく繰り返すことです。
教科書の音読は英文解釈と速読即解の基礎を固めます。例文暗記は文法運用力やリスニング能力・スピーキング力、そしてライティングの基礎を鍛えます。最近では音読学習を重視するようになってきて、英文朗読CD付きの長文問題集も増えていますが、当サイトでは入試問題の寄せ集めた問題集よりも、信頼性、網羅性の観点から教科書の音読を薦めます
  
教科書の音読と総合英語の例文暗記。勉強法を知っていても徹底的にやる人は少ない。

②他の受験生と同じ教材を使ってより長く勉強する
皆さんはすでに南山大学の合格者がどのような参考書を使用したか情報を持っているはずです。それは他の受験生も同じです。だとしたら、特別な才能を持たず、帰国子女でもない受験生が英語で抜きんでるためには、より長く勉強し、参考書に書かれた内容をライバルよりも多く自分のものにするしかありません。それには机に座って勉強する時間だけでは足りません。例文暗記や単語のCDを聞くなら、どんな場所でもできるはずです。お風呂や歯を磨くときなどに、ただ流しておくだけでもいいです。ふとした瞬間に「accomplish…を成し遂げる」などと1ワードでも耳に止まれば, 記憶力を確実なものにしてくれます。CDを流していなければ何も変わりません。英語力は細かい努力の積み重ねです。

3.長時間勉強してもストレスを感じない勉強法
長時間の勉強では息が詰まってしまいそうですが、私の勧める勉強法を実践すると使う教材が少ないので、勉強時間は長くてもストレスはそれほど溜まりません。夢中で音読しているうちにあっという間に深夜の2時、3時になり「もう寝る時間か~」とiPhoneのタイマーをセットして例文CDを流しながら眠りに就くことになると思います。
『使う教材は極力少なく、しかし勉強時間は極力長く』が基本です。私が受験生時代にメインで使った参考書は単語帳1冊、文法/語法問題集1冊、長文問題集1冊です。この3冊と心中する覚悟で毎日取り組んでいました。ボロボロになるまで使い込んだ本は今でも手元に残してあります。合格者にはこのように相棒とも呼べる参考書が各教科にあるものです
ここで、アドバイスをもう1つ。同じ参考書を繰り返すときは1周目と2周目、3周目でやり方を変えましょう。インプットの方法を変えることで記憶の定着率が高まります
  
筆者が26年前, 慶應(商)合格時に使用した参考書。これ以外にNHKラジオ英語会話を毎日録音して聞いていました。

英文解釈参考書について

1. 構文把握に特化した参考書

↑タイトルは「基礎」。でも、内容は高度です。
受験英語の参考書には『英文解釈』というジャンルがあります。合格体験記や参考書レビューで「英語の偏差値が一気に20上がりました」「この本を使って英語のセンターの点数が100点伸びました」といった評価を見て気になっている人もいるでしょう。
確かに、英文解釈の参考書を1冊仕上げれば長文読解、中でも構文を把握する力は飛躍的に高まります。なぜなら, この手の参考書は構文の把握が難しい英文の読み方に特化した参考書だからです。しかし、そのような難解な英文を集めているので使われている単語のレベルは高く、文章も抽象的であったりして内容は非常に難しいです。扱われている英文の出典を見ると、共通1次やセンター試験からの例文がほとんどないことに気がつきます。つまり, センター試験のレベルでは難解な構文は出題されないということです

2.南山英語攻略に必須ではない。が、使いたい人はまず単語/文法/語法を仕上げよう。

↑まずは文法・語法・単語力を固めよう!!
南山大学の長文読解問題はセンター試験よりちょっと難しい程度というのが私の分析です。確かに容易ではありませんが、難しさの原因は構文よりも、与えられる英文の量にあると思います。コミュニケーション英語Ⅲや過去問の音読をしながら構文を把握する力を磨けば、英文解釈の参考書はやらなくても南山英語は何とかなります。この手の参考書は内容をものにするまで2~3カ月はかかるので、日本史/世界史にほとんど手をつけていない受験生には不要です。受験教科全体での得点力を高めるほうに力を注ぎましょう。
それでも使いたいという方へ。英文解釈の参考書では、文法用語は既知のものとしてバンバン使われるので文法力が固まっていない人には難しいでしょう。まずは文法/語法の基礎を固め、語彙を増やしてください。単語力はセンター試験レベル程度(ターゲット1400/データベース3000/キクタンbasic4000/速単必修編)は欲しいところです。

3.センター試験の長文が読めない原因を解釈力に求めない

↑センター長文が読めない理由は…
皆さんにとって当面の目標はセンター試験の長文がスラスラ読めるようになることです。今現在、センター試験の長文を読めないのは、能動的に英語を読む訓練をしていないからであって、英文解釈の参考書をやっていないからではありません。基本的な英文解釈力は文法/語法の知識を生かし、SVOCを把握しながら教科書を音読することで磨けます。センター試験レベルでは、それで十分お釣りが来ます。1学期の間は, 文法/語法問題集3000語レベルまでの単語帳教科書音読例文暗唱をみっちりやってくださいそれでも時間が余ったら, やり方を変えて同じ教材をしつこく繰り返してください。

4.「この参考書で偏差値が上がった」という文句に踊らされず、地道に基礎力を磨こう
合否可能性や大学の難易度が偏差値で表されるからといって「偏差値が上がる」という言葉に踊らされてはいけません。偏差値とは母集団の中での相対的な位置を表すものであって, 絶対的な英語力を表す尺度ではありません
そもそも模試には発音やアクセント、会話文なども出題されるのに、英文解釈の参考書をやれば発音も良くなって、会話表現まで身に付くのでしょうか?先輩やレビュー評価者が「偏差値が上がった」というフレーズを乱発するのはそれが悩める受験生を惹きつける殺し文句だと知っているからです。悪意はないにしろ、度が過ぎれば有害です。
私が勧める勉強法はどれも地味で皆知っている当たり前のものばかりです。しかし、方法論を知っていても徹底的にやり抜く人はごく少数です。ここを踏ん張ってやるかやらないかで, 差がつくのです。

地道な努力が大事だニャー