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第16講『文脈』

文法/語法問題ゼミも今回が最終回になりました。最後まで、もうひと踏ん張りです。がんばりましょう。

『文脈』問題とは、今までに扱った出題パターンとは異なり、文法/語法上、誤りのない選択肢の中から文意にもっとも相応しいものを選ばせる問題をいいます。いわば、文法/語法問題ではなく語彙の問題と言えます。
選択肢の特徴としては、同種の品詞が並んでいることが多いのですが、色んな出題形式があるので、あまり先入観を持たない方が良いでしょう。

文法/語法問題の基本的な解き方として、今までは、選択肢の分類をしたあと、本文中に文法的なヒントを探し[構文的アプローチ]正解候補が複数あるときは文意に合う方を選ぶ[文脈的アプローチ]という方針で解いてきました。

今から学ぶ『文脈』パターンも基本は同じですが、問題文の文脈を読み取り、最もふさわしい語を選択肢から選ぶことがメインになりますので、文法や語法の知識よりも語彙力/読解力が重視されます。

選択肢がすべて形容詞の場合
それでは、基本問題で『文脈』問題の解き方を学んでいきましょう。

[例題1]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Larry always comes to work late. If he is not more (      ), he may lose his job.
(A) accurate
(B) conscious
(C) punctual
(D) strict

『文脈』問題でも、取り掛かる時の手順は今までと同じです。まずは選択肢の分類を行いましょう。

[選択肢の分類]
(A) accurate形容詞「正確な」
(B) conscious形容詞「意識している」
(C) punctual形容詞「時間を守る」
(D) strict形容詞「厳しい」

『正確性』に関する形容詞が多いので、まずは形容詞の『語法』問題である可能性を考えつつ、構文的に解けないかチェックします。

[①構文的アプローチ]
Larry always comes to work late. If he is not more (      ), he may lose his job.

文法/語法問題であるならば、ヒントは赤字のifの中にあるはずですが、(A)~(D)すべてに叙述用法があるので、文法/語法的にすべて正しく、ここから正解は選べません

この問題のように、問題文から文法/語法上のヒントを得られないとき(=すべてが文法的に正しいとき)はすぐに頭を切り替えて、文脈からふさわしい語を選ぶ方針に変更します。これを文脈的アプローチによる解法と呼んでいきます。

[②文脈的アプローチ]
問題文を和訳していきましょう。

Larry always comes to work late. If he is not more (      ), he may lose his job.
(訳)ラリーはいつも仕事に遅れて来る。もっと(      )でないならば、仕事を失うかもしれない。

ラリーは常に仕事に遅刻しているのですから『時間の』正確性を話題にしていると考えられます。よって、選択肢の中から文意に沿うのは(C)punctual(時間を守る)です。

[正解]
Larry always comes to work late. If he is not more (C)punctual, he may lose his job.

(訳)ラリーはいつも仕事に遅れて来る。もっと[ (A)正確, (B)意識的, (C)時間を守る, (D)厳しく]でないならば, 仕事を失うかもしれない。

このように文脈的アプローチによる解法は、文法的に攻略できない問題の第2段階として行います
『文脈』パターンという名称は、文脈的アプローチがメインになった問題のことを便宜的に分類しているだけです。

過去問をこなしていけば実感できますが、南山英語では、文脈的アプローチを用いて正解を導く文法/語法問題が非常に多いのが特徴になっています(厳密には『文法/語法』問題ではないのですが…)

『文脈』パターンは語彙力読解力がメインなので、文法/語法問題集をどれだけやりこんでも解けるようにはなりません。
多い時は20問中、5問ぐらいが文脈問題だったりするので、英語に自信のある受験生でも、南山の文法/語法問題では意外に得点できなかったりします。
南山英語にはクセがある』と言われる所以はこのようなところにも一因があるのかも知れません。

選択肢がすべて動詞の場合

[例題2]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
One of the most important things that you can do in life, Ronnie, is to (      ) an education.
(A) acquire
(B) realize
(C) achieve
(D) accomplish

文脈的アプローチによる解法練習のために選んだ問題ですが、まずは構文的に解けないかを検討していきます。

[選択肢の分類]
(A) acquire他動詞「~を身につける」
(B) realize他動詞「~を実現する」
(C) achieve他動詞「~を成し遂げる」
(D) accomplish他動詞「~を成し遂げる」

選択肢はすべて『達成』に関する他動詞ですね。まずは『語法』問題の可能性を調べるため、本文をチェックします。

[①構文的アプローチ]
One of the most important things that you can do in life, Ronnie, is to (      ) an education.

空欄に入る他動詞は目的語を1つ(an education)とるだけなので、語法問題ではなさそうです。
すべて文法的には正しいので、すぐに文脈からアプローチする方針に切り替えましょう。

[②文脈的アプローチ]
One of the most important things that you can do in life, Ronnie, is to (      ) an education.
(訳)ロニー、人生において君ができる最も大事なことの1つは、教育を(      )することだよ。

空欄に入るべき動詞の目的語がan education『教育』です。
『教育』とは(B)実現したり、(C)達成したり、(D)成し遂げるものではなく、(A)「身につける」ものなので(A)acquireが最適です。

ロングマン英英辞典にacquireは『to gain knowledge or learn a skill(知識を得たり、技能を習得すること)』と書いてあります。知識や技能を身につけるイメージですね。

選択肢がすべて副詞の場合

 [例題4]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを, (A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Scientists believe that the Milky Way galaxy contains (      ) 100 billion stars.
(A) closely
(B) approximately
(C) significantly
(D) measurably

[選択肢の分類]
(A) closely副詞「密接に」
(B) approximately副詞「おおよそ, 約」
(C) significantly副詞「有意義に」
(D) measurably副詞「測定可能に」

今回はすべて副詞です。まずは構文的アプローチで解けないか問題文の構文をチェックしてみます。

[①構文的アプローチ]
Scientists believe that the Milky Way galaxy contains (      ) 100 billion stars.

副詞が入るべき空欄前に動詞contains後ろには数詞100 billionがあります。副詞は動詞や形容詞(数詞も含む)、副詞、文全体を修飾します。すべての選択肢は文法的に正しく、正解をしぼれないので、文脈的アプローチに切り替えます。

[②文脈的アプローチ]
Scientists believe that the Milky Way galaxy contains (      ) 100 billion stars.
(訳)科学者たちは、天の川銀河には(      )1000億の星が含まれていると考えている。

空欄は100 billionという大きなを修飾していると考えられるので, (B)approximatelyおおよそ」が適切です。

(A)はcloselyではなくclose toなら「~近く」という意味で空欄に入ることができます。

Scientists believe that the Milky Way galaxy contains close to 100 billion stars.
(訳)科学者たちは, 天の川銀河には1000億近くの星が含まれている考えている。

選択肢がすべて名詞の場合

[例題5]2016外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Takashi gave me some useful (      ) about job hunting.
(A) opinion
(B) suggestion
(C) advice
(D) recommendation

本問もまず選択肢の分類をしていきます。

[選択肢の分類]
(A) opinion名詞「意見」
(B) suggestion名詞「提案」
(C) advice名詞「助言」
(D) recommendation名詞「推薦」

選択肢はすべて名詞で、意味の近い語が並んでいますね。
似たような意味のものがあるときは、まず語法』問題の可能性を考えます。

[①構文的アプローチ]
Takashi gave me some useful (      ) about job hunting.

空欄あとのaboutにつながる語法をもつ選択肢が1つであれば話は早いのですが、残念ながら、すべての選択肢aboutにつながることができます。
文法/語法的なアプローチがだめなら、すぐに文脈的アプローチに切り替えましょう。

[②文脈的アプローチ]
Takashi gave me some useful (      ) about job hunting.
(訳)タカシは仕事探しについて有益な[(A)意見, (B)提案, (C)助言, (D)推薦 ]をいくつか私にくれた。

求職中に役立つのは友人の意見提案よりも役に立つアドバイスですから、(C)advice助言」が適切です。

最後は選択肢がすべて前置詞の場合です。『前置詞』パターンでも、語法の知識で解けない問題は、文脈に相応しい意味をもつ前置詞を選びます[文脈的アプローチ]

『句動詞』『前置詞』パターンは文脈問題の1形態

[例題3]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
When he was younger, John got very little exercise. Then, at the age of 50, he (      ) tennis. He is quite a good player now.
(A) took up
(B) took out
(C) took over
(D) took in

選択肢を眺めると、今回は「take前置詞[副詞]」からなる句動詞が並んでいますね。「これは句動詞パターンでは?」と思ったかた、正解です。実は句動詞パターンは文脈問題の特殊な形です。基本動詞が共通なので、見かけは似ていますが、個々の句動詞がもつ意味はまったく違います。ネイティブから見たら「これが大学入試の問題なの?」って感じでしょう。

[句動詞パターン解答法]
1.大まかな内容を把握する
When he was younger, John got very little exercise. Then, at the age of 50, he (      ) tennis. He is quite a good player now.
(訳)若いころ、ジョンはほんの少ししか運動をしなかった。それで、50歳のときテニスを(      )。今ではとても上手である。

2.選択肢の意味を把握する
(A) took up「(時間・場所など)を占める/(趣味などを)始める」
(B) took out「(食べ物)を持ち帰る」
(C) took over「~を引き継ぐ」
(D) took in「~を吸収する」

3.選択肢の中から文意に最もふさわしいものを選ぶ
When he was younger, John got very little exercise. Then, at the age of 50, he (      ) tennis. He is quite a good player now.
(訳)若いころ、ジョンはほんの少ししか運動をしなかった。それで、50歳のときテニスを[ (A)始めた, (B)持ち帰った, (C)引き継いだ, (D)吸収した ](      )。今ではとても上手である。

選択肢の訳語を当てはめていくと、答えは一目瞭然ですね。ただし、このように解けるのは句動詞パターンに対して、きちんと準備した受験生だけということをお忘れなく。

[例題6]2016経営学部・理工学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Please pay for your purchases (      ) the cash register over there.
(A) at
(B) on
(C) in
(D) to

選択肢がすべて前置詞の場合は、まず空欄前後に前置詞とセットで使われる語がないかチェックします。例えば、
She is looking forward (      ) the concert.
という文の空欄に前置詞を入れる場合、look forwardとセットで使われるtoが入ります。

[①構文的アプローチ]
Please pay for your purchases (      ) the cash register over there.

自動詞payforと結びついているので、空欄との相関関係はなさそうです。すぐに頭を切り替えて、文脈からアプローチします。

[②文脈的アプローチ]
Please pay for your purchases (      ) the cash register over there.
(訳)あそこのレジ(      )買い物の支払いをしてください。

支払いをするのは、レジという店の中の1点ですから『場所の1点を表す』(A)atが適切で、これが正解になります。

まとめ
『文脈』問題は、選択肢から分類されるパターンではなく、文法/語法の知識だけでは正解が1つに定まらない問題のことを言います。
『構文的アプローチ』『文脈的アプローチなどと大仰な名称をつけて解説してきましたが、難しく考えず、要は「文法/語法の知識で駄目なら内容に合う選択肢を選ぼう」ということです。
文法/語法問題ゼミは今回で終了です。南山英語の文法/語法問題のほとんどは、ここで学んだパターンに分類されます。あとは過去問を解いて実践力を磨いていきましょう。

第13講『句動詞』

『句動詞(群動詞)とは「動詞副詞」「動詞前置詞」などの形で、全体で1つの動詞と同じ働きをするものをいいます。中学英語から馴染みのあるものでは、look at(~を見る)give up(~を断念する)などが該当します。

句動詞パターンの特徴は選択肢が(同じ)基本動詞+(異なる)副詞[又は前置詞]の形になっていることです。
以下の例を見てください。すべての選択肢が「put副詞(前置詞)」の形になっていることが確認できるでしょう。

[例] 2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
The exam is about to begin. Please (      ) your books and notes.
(A) put away
(B) put inside
(C) put off
(D) put in
選択肢が『(同じ)基本動詞(put)+(異なる)副詞[又は前置詞]』

このパターンは、2014年以前はそれほど目立っていなかったのですが、2015年(4)、2016年(5)、2017年(6)、2018年(7)出題され、ますます重要度が高まっています。
空欄補充問題でも出題されることがあるので、必ず出題されると思って準備しておきましょう。

句動詞パターンの基本問題

[例題1]2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Professor Young was delighted when he (      ) an old document hidden in a book.
(A) came across
(B) came through
(C) came into
(D) came up

文法/語法問題で重要なのは、まず選択肢を見比べて出題パターンを見極めることです。句動詞パターンでもこれは同じです。

〔句動詞パターン解答法〕
句動詞パターンでは、選択肢の意味がそれぞれ全く違うので、動詞ごとに整理して覚えておけば、瞬間的に答えが分かります。最終的にはこのレベルになるまで準備しておきたいものです。

句動詞パターン解答法の流れ
1.まず、本文の大まかな内容を把握します

[例題1の問題文]
Professor Young was delighted when he (      ) an old document hidden in a book.

(訳)本の中に隠されていたある古文書を(      )したとき、ヤング教授は喜んだ。

2.次に、選択肢の意味を把握します
出題される句動詞は過去問で出題されたものがほとんどなので、過去問に出てきたものは正解にならなかったものを含めて、すべて覚えておきます。

(A) came across(物)(偶然)見つける
(B) came through通り抜ける
(C) came into~に入る
(D) came up上ってくる

3.選択肢の中から文意に最もふさわしいものを選びます
一つ一つを空欄に当てはめて、文意にふさわしいものを選びます。

Professor Young was delighted when he (      ) an old document hidden in a book.
(訳)本の中に隠されていたある古文書[ (A)を見つけた / (B)を通り抜けた / (C)に入った / (D)上った ]とき、ヤング教授は喜んだ。

ヤング教授が喜んだのは、重要な古文書を偶然発見したからだと考えるのが妥当であるので(A)came acrossが正解になります。

[正解]
Professor Young was delighted when he (A)came across an old document hidden in a book.
(訳)本の中に隠されていたある古文書を偶然見つけて、ヤング教授は喜んだ。

まとめ
句動詞パターンは、句動詞それぞれの意味を知っていれば文脈に当てはめていくことで簡単に解けるので、準備が大事です。過去に出題されたものは動詞ごとにまとめて覚えておきましょう。

第12講『前置詞』

『前置詞』パターンとはその名の通り、すべての選択肢が前置詞であるものをいいます。
『前置詞』パターンの問題は、文法/語法問題に限らず空欄補充問題でも頻出で、センター試験でも毎年出題されているので、今回の内容をぜひ身につけてください。

1.『前置詞』問題には2種類ある
『前置詞』パターンでは2種類の問題があります。
1つは、熟語やイディオムを構成する前置詞を問われている場合
もう1つは、文脈に合う意味をもつ前置詞を問われている場合です。

2種類に分かれる『前置詞』パターンですが、安心してください。解き方は同じです。

選択肢から『前置詞』パターンだと判断したら、まずは空欄前後に特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします。これを構文的アプローチ』と呼んでいきます。構文的アプローチとは文法語法構文の知識で正解選択肢を決定する解法です。

構文的アプローチによる解法で選択肢が1つに決まらなければ、問題文の内容に最もふさわしい意味をもつ前置詞を選ぶという解法に切り替えます。これを文脈的アプローチ』と呼んでいきます。文脈的アプローチは、文法的に正しい選択肢の中から文意に最も合うものを選ぶ解法です。

『前置詞』パターンでは、どんな問題でも先に構文的アプローチを試みてください
なぜなら、look forward to doing(~するのを楽しみに待つ)のような定型的な言い回しの中の前置詞は見つけやすいからです。

『前置詞』パターンの解法ステップ
1段階他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ構文的アプローチ
(構文的アプローチで正解が決まらない場合)
2段階:文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ文脈的アプローチ

これらを実際に問題を解きながら確認してみましょう。

2.構文的アプローチによる解法

[例題1]2016年人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

Professor Simpson is well known among his students (      ) his strict attendance policy.
(A) to
(B) for
(C) about
(D) as

選択肢からひと目で『前置詞』パターンであると判断できますね。
まずは特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします[=構文的アプローチ]

[①構文的アプローチ]
Professor Simpson is well known among his students (      ) his strict attendance policy.

出題者が意図的にwellamong his studentsといった副詞(句)を挟むことで気づきにくくしてあるのですが、is knownは(B)forと結びついてbe known for A「Aで知られている」という意味の熟語を作ります。内容的にも合致するので、これが正解になります。

なお、be knownは後に続く前置詞によって意味が変わります。本問における出題者の意図はこの使い分けにあったのかも知れません。

be knownと結びつく4つの前置詞
be known for A「A知られている」
be known to A「A(人)知られている」
be known by A「Aによってわかる」
be known as A「Aとして知られている」

本問のように、構文的アプローチで正解が決まる場合は関係詞節副詞句/形容詞句などを間に置くことで組み合わせが分かりにくくしてある場合が多いようです。問題文の構造を分析する時は、視野を広くもちましょう。

『前置詞』パターンの問題を、もう1問解いてみましょう。今度は文脈的アプローチの練習です。

3.文脈的アプローチによる解法

[例題2]2016年外国語学部(英米学科) 総合政策学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Please remember to speak directly (      ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(A) on
(B) for
(C) into
(D) by

『前置詞』パターンですので、まずは(A)~(D)の前置詞いずれかと組み合わせで使われる語がないか本文を確認します[=構文的アプローチ]

[①構文的アプローチ]
Please remember to speak directly (      ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.

directlyという副詞を挟んだその前にspeakという自動詞がありました。「speak前置詞名詞」という語法では、

speak to A「A(人)に話しかける」
speak about [of, on] A「A(人事)について話す」

などが思いつきますが、the microphone話題ではなく、話しかけるための道具ですから(A)onではしっくりきません。

このように、第1段階である構文的アプローチで組み合わせとなる適切な語が見つからない場合は、文の内容にふさわしい意味を持つ前置詞を選ぶ方針に切り替えます[=文脈的アプローチ]

[②文脈的アプローチ]
Please remember to speak directly (      ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(訳)必ずマイクに直接話しかけてください。さもないと、プレゼンテーションが聴衆に聞こえません。

マイクに向かって話しかけるのですから、選択肢の中で『方向』の意味をもつ前置詞(C)intoが最適です。これは口から発せられた声がマイクの中へ入っていくイメージです。

(B)forにも『方向』の意味がありますが「マイクの方向を向いて話す」というイメージで、マイクに声を届ける感じが出ません。以上から正解は(C)intoです。

[正解]
Please remember to speak directly (C)into the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(訳)必ずマイクに直接話しかけてください。さもないと、プレゼンテーションが聴衆に聞こえません。

まとめ

『前置詞』パターンの解法ステップ
1.他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ構文的アプローチ
(構文的アプローチで正解が決まらない場合)
2.文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ文脈的アプローチ

『前置詞』パターンの問題は、各日程でほぼ毎年出題されています。前置詞の基本的な意味と使い分けを各自、文法書で確認しておいてください。

第11講『主述の一致』

『主述の一致』基本問題

[例題1]2014年外国語学部(英米学科) 総合政策学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) I know is using a smartphone these days.
(A) Most people
(B) Almost everyone
(C) The majority
(D) Many people

「主述の一致」というテーマを忘れ、先入観抜きで選択肢を検討してみましょう。何か特徴や共通項があるでしょうか?

[選択肢を分類]
(A) Most people形容詞名詞
(B) Almost everyone副詞代名詞
(C) The majority冠詞名詞
(D) Many people形容詞名詞

選択肢は名詞/代名詞を数の程度を表す語で修飾していますね。
選択肢に似たようなものがあるときは、まず構文の要素を確認して、明らかに文法的に誤っているものを除外します

(      ) I know is using a smartphone these days.
(訳)最近では、私の知り合いの(      )がスマートフォンを使っている。

空欄に入る語はbe動詞is主語です。正しい主語を選ばせる問題ですから、問題文の動詞isと正解の選択肢には正しい呼応関係(=主述の一致)があるはずです。この『主語⇔動詞』の関係を利用して選択肢をしぼるパターン『主述の一致』と呼んでいきます。

[主述の一致に着目!!]
(      )
I know is using a smartphone these days.
(訳)最近では、私の知り合いの(      )がスマートフォンを使っている。

問題文の動詞がisであるので、主語は3人称単数であることが分かります。単数/複数の観点で選択肢を再度分類すると

[単数/複数の観点で再分類する]
(A) Most people複数扱い
(B) Almost everyone単数扱い
(C) The majority複数扱い
(D) Many people複数扱い

となりますので、唯一の単数扱いとなる(B)Almost everyoneが正解になります。

[正解]
(B)
Almost everyone
I know is using a smartphone these days.

(訳)最近では、私の知り合いのほとんどがスマートフォンを使っている。

本問では副詞であるalmost代名詞everyoneを修飾していますが、これは、
almost everyonealmosteveryone
と分けて考えると理解できます。
この表現は副詞almost形容詞everyを修飾し、almost everyという形容詞句となってoneという代名詞を修飾しているのです。

もう1問解いてみましょう。

[例題2]2011年人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Everyone (      ) a responsibility to help others if they can.
(A) has
(B) have
(C) had
(D) haven’t

今回もまずは選択肢を検討してみましょう。

選択肢には動詞have現在形/過去形単数/複数、(現在完了)否定形などが並んでいます。

選択肢が似たようなもので構成されているときは、まず選択肢をしぼる文法的なキーワードがないか探し、正解候補をしぼったあとで内容を考えます。

この問題では(助)動詞haveという共通項があるので正しい時制単数/複数を決定するヒントは問題文の中にあるはず』という意識で問題文を見ていきます。

[時制と単複を決定するキーワードは?]
Everyone (      ) a relationship to help others if they can.

空欄(      )の次に名詞(a relationship)が来ているので(D)haven’tは文法的に誤りです。

[例題1]にも登場しましたが、文頭にあるEveryone単数扱いの目印です。よって、正解候補は(A)has(C)hadの2つにしぼられました。

残るは時制の決定ですね。

[時制を決める要素は?]
Everyone (      ) a relationship to help others if they can.
(訳)もし出来るのならば、全ての人が他人を助ける責任が(ある/あった)。

時制を示すキーフレーズは末尾にありました。if節がcanを用いているので主節が過去形となるのは不適です。以上から正解は(A)hasになります。

[正解]
Everyone (A)has a relationship to help others if they can.
(訳)もし出来るのならば、全ての人が他人を助ける責任がある。


まとめ

『主述の一致』
パターン単独での出題はほとんどありませんが、この考え方は誤り指摘問題でも頻出です。主語から動詞、動詞から主語を決定するテクニックとして覚えておきましょう

第10講『品詞』

『品詞』基本問題

[例題1]2012年人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

All the critics wrote excellent reviews. The concert was a great (      ).
(A) successful
(B) succeed
(C) succeeding
(D) success

本問でも基本通り、選択肢の分類から始めましょう。

[選択肢の分類]
(A) successful形容詞「成功した」
(B) succeed動詞「成功する」
(C) succeeding形容詞「次の」
(D) success名詞「成功」

一見動詞の形パターンに見えますが、動詞以外にも形容詞や名詞など『成功』に関する様々な品詞が並んでいます。
このように共通のルーツ(語源)を持ち、品詞の異なる語が選択肢に並ぶパターンを『品詞』パターンと呼びます

この『品詞』パターンでは空欄に入る語が文中で果たしている機能に注目して適切な語を選んでいきます

それでは、問題文の構文を見ていきましょう。

[構文を分析する]
All the critics wrote excellent reviews. The concert was a great (      ).
(訳)全ての評論家が素晴らしい論評を書いていた。コンサートは大きな(      )であった。

空欄の前に a great という「冠詞形容詞」があるので(      )には名詞が入ると推測できます。選択肢の中で名詞は(D)success「成功」だけなので、これが正解になります。

もう1問練習してみましょう。

[例題2]2012年経営学部・情報理工学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Young children sometimes have (      ) friends. These “friends” don’t exist, but the children believe that they do.
(A) imagine
(B) imagining
(C) imaginary
(D) imagination

まずは選択肢を見比べて、どんな特徴があるか調べましょう。

[選択肢の分類]
(A) imagine動詞「~を想像する」
(B) imagining→imagine現在分詞
(C) imaginary形容詞「想像上の」
(D) imagination名詞「想像(力)」

選択肢の分類から「想像」に関する『品詞』パターンと推測できますね。パターン判別ができたら、構文を分析していきましょう。

[構文を分析する]
Young children sometimes have (      ) friends.

空欄(      )に入る品詞を決定する要素は①haveと②friendsの2つが考えられます。
haveを完了形を作る助動詞と考えると空欄にはimaginedという過去分詞が入りますので、(A)のimagineは不可です。
よって、have一般動詞で「~を持つ」という意味だと推測できます。

すると、問題文はこんな意味になります。

[問題文を和訳してみる]
Young children sometimes have (      ) friends.

(訳)幼い子供たちは、ときどき(      )友達を持つことがある。

空欄の語は後に続くfriendsを修飾しているので、文法的に正しいのは現在分詞の(B)imaginingと形容詞の(C)imaginaryですそれぞれの意味は、

(B)imagining friends(想像をしている友達)→現在分詞の限定用法
(C)imaginary friends(想像上の友達)→形容詞の限定用法

となりますが、文意がすっきり通るのは(C)imaginary(想像上の)のほうですね。これが正解になります。

[正解]
Young children sometimes have (C)imaginary friends. These “friends” don’t exist, but the children believe that they do.
(訳)幼い子供たちは、ときどき想像上の友達を持つことがある。これらの『友達』は存在しないが、子供たちは存在していると信じているのだ。

まとめ

 『品詞』パターンの解き方
1.選択肢を見比べる
選択肢が同一の語源をもつ、異なる品詞で構成されている→『品詞』パターン
[例] 選択肢が、
(A) successful形容詞
(B) succeed動詞
(C) succeeding形容詞
(D) success名詞
同じ語源を持つ、異なる品詞で構成された『品詞』パターンである
2.空欄に入る語が文中で果たしている機能に着目して適切な語を選ぶ

南山の文法/語法問題の中で『品詞』パターンの出題はあまり多くなく、例年、いずれかの日程で1問出題される程度です。

選択肢を分類したのち、構文を分析し、それでも正解が絞りきれない場合は、文脈からふさわしい語を検討するという今までの解き方で解いていきましょう。