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(4)数量表現

頻出論点(4)数量表現
数・量を表す表現が誤っているパターンも頻出です。
2008~18年の間に13問出題されており、例年どこかの日程で出題されている計算になりますが、2019年には出題がありませんでした。。

「数量表現」とは数や量を表す形容詞を指すと考えてください。many / much / few / littleなどに代表されますが、それらを含む表現(例えばquite a fewnot a few)やそれらの代用表現(例えば、many=a number ofなど)も含みます。

それでは具体的な問題を見てみましょう。

[例題1]2014経営学部理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
We spent (A)much hours (B)doing the math homework. It then (C)turned out that the teacher had given us the (D)wrong problems to answer.

本問では下線部(A)much数量表現に当たります。

We spent (A)much hours (B)doing the math homework.
(私たちはその数学の宿題に多くの時間をかけた)

まずは下線部(B)doingを片づけておきましょう。

前回の「不定詞vs動名詞」では動詞+to do/doingの形でしたが、ここではSVO+doingの構文になっています。
よって、ここでは動詞spendに関して、以下の語法を問われていると考えます。

spend A (in) doing「A(時間)を~するのに費やす」
[例] He spent two hours repairing the car.(彼は2時間かけて車を修理した)

下線部(B)は正しい表現ですね。
この表現はどの問題集にも載っている頻出の語法ですから、手持ちの文法/語法問題集で確認しておいてください。
それでは、本題の下線部(A)を検討しましょう。

We spent (A)much hours doing the math homework.
(私たちはその数学の宿題に多くの時間をかけた)

muchが多いことを表し、数えられない名詞の前に置くので、可算名詞であるhoursの前には置けません。

よって下線部(A)は誤りで、正しくは
muchmany(=a lot of)
とします。

[訂正後]
We spent many hours doing the math homework.
(私たちはその数学の宿題に多くの時間をかけた)

もう1問練習してみましょう。

[例題2]2013経営学部理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
(A)On your way home, could you (B)stop by the store and pick up (C)few things for dinner? We’ve (D)run out of milk and eggs.

本問では下線部(C)が数量表現になっています。

(A)On your way home, could you (B)stop by the store and pick up (C)few things for dinner?
(家に帰る途中、お店に寄って夕飯の買い物をほとんどしないことはできる?)

直訳するとこんな感じです。ちょっと違和感がありますね。

形容詞few複数名詞の前に置かれ、数が少ないことを表します。
不定冠詞aがついて、a fewとなると「少しはある/少数の」という肯定的な表現になりますが、単独でfewを用いると「ほとんどない」という否定的な表現になります。

a few「少しはある/少数の」
[例] I have a few days to finish this report.(このレポートを仕上げるのに、あと数日ある)
few「ほとんどない」
[例] He had few friends and little [×few] money.(彼は友達もお金もほとんどなかった)

以上から下線部(C)は誤りで、正しくは、
fewa few
とします。

[訂正後]
On your way home, could you stop by the store and pick up a few things for dinner?
(家に帰る途中、お店に寄ってちょっと夕飯の買い物をできない?)

 

類題

[問題1]2012人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
According to (A)recent research, the Moon (B)seems to have (C)many more water under the surface than we (D)had expected.

誤り指摘問題では、まず頻出論点をチェックしましょう。本問での頻出論点は下線部(C)の数量表現と下線部(D)の完了形です。

…the Moon seems to have (C)many more water under the surface than we (D)had expected.
(月はその表層下に、我々が予期していたよりも多くの水を蓄えているように思われる)

数量表現manyが登場したら、修飾する名詞の可算or不可算をチェックします。本問では、manywaterを修飾しています。
water物質名詞不可算なので、manyではなくmuchで修飾しますから、下線部(C)は誤りです。

[訂正後]
…the Moon seems to have much more water under the surface than we had expected.
(月はその表層下に、我々が予期していたよりも多くの水を蓄えているように思われる)

実は、本問でのmany/muchは後に続く比較級moreを強調する副詞のような働きをしています。

many more複数名詞than「…よりずっと多くの~」
このmanymoreを修飾していますが、「ずっと、はるかに」という意味で副詞的に使われています。
[例] There were many more cars than usual on the road. (その通りにはいつもよりずっとたくさんの車が走っていた)
much more不可算名詞than「…よりずっと多くの~」
[例] We waste much more energy than we expect. (私たちは考えているよりもずっと多くのエネルギーを無駄にしている)

 

[問題2]2012総合政策学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
You may (A)find this hard to believe, but I’ve (B)just won a huge (C)number of money (D)in the lottery.

本問の下線部にも数量表現が含まれています。さて、どの部分でしょうか?

答えは(C)numberです。

… I’ve just won a huge (C)number of money in the lottery.
(私は宝くじで大金を獲得しました)

a number of A(複数名詞)」で「たくさんのA」という意味になります。
Aには可算名詞の複数形が入りますが、本問でのmoney不可算名詞なので(C)は誤りです。

本問のように不可算名詞の量や程度が多いことを表す場合は、

a good [great] deal of A「多くのA」
a large amount of A「多くのA」

のようにdealamountを使います。

[訂正後]
… I’ve just won a huge amount [deal] of money in the lottery.
(私は宝くじで大金を獲得しました)

[問題3]2011人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
A : How (A)much times have you left your car keys (B)at home?
B : Well, this is the third (C)time in as (D)many weeks!

本問では数量表現に関する下線部が(A)、(C)、(D)の3箇所に引かれています。

数量表現のmany/muchが登場したら、まずは修飾する名詞の可算or不可算をチェックします。
まずは下線部(A)を検討してみましょう。

How (A)much times have you left your car keys at home?
(どの程度、家に車の鍵を忘れたことがありますか)

頻度を表すtime可算名詞なのでmuchではなくmanyで修飾しますから、下線部(A)は誤りです。

[訂正後]
How many times have you left your car keys at home?
(何回ぐらい、家に車の鍵を忘れたことがありますか)

下線部(C)、(D)は正しい表現ですが、(D)を検討しておきましょう。

Well, this is the third time in as (D)many weeks!
(ええっと、3週間の間で、これが3回目です)

manyが修飾するweek可算名詞なので、これは正しい表現です。
as manyは先行する数に呼応して「同数の」という意味を表す表現です。長文読解でもよく登場するので覚えておいてください。

as many「同数の」
[例] I found ten mistakes in as many lines. (10行の中で10箇所の間違いを見つけた)
as manyは先行する数詞tenに呼応して同数の「10」を表しています。

 

[問題4]2017人文学部(心理人間学科・日本文化学科)工学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
One (A)of the (B)graduate from this university gave a large (C)amount of money to go (D)toward building a new library.
問題4 [解答](B)graduategraduates
(訳)この大学の卒業生の1人が新図書館の建設に役立てるよう、多額の寄付をした。
[解説] 本問では(B)(C)と、数量に関する表現2か所に下線が引かれています。

(B)はone of the複数名詞~の1つ[1人]」という語法でgraduate単数なので誤りです。
(C)はa large amount of不可算名詞(単数形)で量や程度が大きいことを表す表現です。moneyは不可算名詞なので、これは正しい表現です。
(D)はgo toward (doing) A(お金が)A(事・物・人)の役に立つ」という表現で、ちょっと難しい表現ですから、知らなくても大丈夫です。本問では(B)のone of the複数名詞をきっちり押さえておきましょう。
[問題5]2017人文学部(心理人間学科・日本文化学科)・理工学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Bob started (A)to work part time at a library (B)as a librarian’s assistant. He is now making (C)much more money than his brother does (D)per an hour.
問題5 [解答](D)per an hour→正an hour
(訳)ボブは図書館で司書の助手としてアルバイトを始めた。今では兄よりも1時間あたりずっと多くのお金を稼いでいる。
[解説]本問での正解は前置詞per(~につき, ~ごとに)が不要な語として付加している(D)です。冠詞a(n)には数量や期間を表す語の前に置かれて「~につき」という意味を表します
(C)に関しては money不可算名詞なので「がずっと多い」という意味でmuch more不可算名詞の形になっています([例題3]の解説を参照のこと)。
もしmoneyではなく可算名詞car(車)であったならmany more cars than his brothermanyになります。
[問題6]2017総合政策学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Gold (A)was discovered in California in 1848, (B)which attracted gold miners from (C)another parts of the United States. However, it was not easy to travel from the East Coast to the West Coast (D)due to the long distance.
問題6 [解答](C)another→正other
(訳)1848年カリフォルニアで金が発見されたが、このことはアメリカのその他の地域の金採鉱者たちを引きつけた。しかし、東海岸から西海岸に行くのはその長距離のために容易ではなかった。
[解説]another
は形容詞/代名詞ですが、数量に関わる表現ですので、要注意です。another=anotherですから、anotherのあとには基本的に単数名詞がくるのでanother partsとなっている(C)が誤りです。
ただし、another数詞複数名詞で「さらに~, もう~」という表現も覚えておきましょう。
[例] In another 50 years, the world will be quiet different. (もう50年経てば、世界は全く違っているだろう)

(1)不可算名詞

今回から7回に渡って、誤り指摘問題の頻出論点を紹介していきます。

誤り指摘問題では設問文に4か所下線部が施され、その中の1つが誤りを含んでいます。
どれもが一見正しいように見えるので、自信を持って選択肢を選べないのではないでしょうか?

全ての問題に対応するには南山の過去問をこつこつ解きながら、知識を蓄えていく必要がありますが、まずは頻出のパターンを押さえて得意分野を作り、苦手意識を克服しましょう。

頻出論点(1)不可算名詞

2015 経営学部理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
If you are (A)presently studying a foreign language or are planning  (B)to do so, here’s (C)an advice to help you: find a way to (D)make it fun.
(訳)もしあなたが現在、外国語を学んでいる、もしくは学ぶ予定ならここに役立つアドバイスが1つあります。外国語学習を楽しみにする方法を見つけるのです。

まずは選択肢をざっとチェックしてみましょう。
すると下線部(C)にadvice「助言/アドバイス」という不可算名詞が登場しています。
不可算名詞にも関わらずan「1つの」という不定冠詞がついているので誤りですね。

1つのアドバイス」はa piece of adviceと表すので、下線部(C)を含む文を正しくすると、

… here’s (C)a piece of advice to help you …
(ここに役立つアドバイスが1つあります)

となります。
もう一度問題文を見てください。

2015 経営学部理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
If you are (A)presently studying a foreign language or are planning  (B)to do so, here’s (C)an advice to help you: find a way to (D)make it fun.
訳)もしあなたが現在、外国語を学んでいる、もしくは学ぶ予定ならここに役立つアドバイスが1つあります。外国語学習を楽しみにする方法を見つけるのです。

選択肢(A)、(B)、(D)は正しいので、何度読み返しても誤りを含みそうな論点が思い浮かびません。しかし、adviceが不可算名詞であることに気づけば、正誤は一瞬で判断できるので他の選択肢を検討する必要はありませんね

本番で誤り指摘問題を解く頃には、残り時間との闘いになっていると思われます。
選択肢を(A)から順番に検討するのではなく、過去のデータから頻出の論点がある場合は、それを先にチェックしていきましょう。

もちろん、過去問を練習で解く際は、すべての選択肢について辞書や文法書で正しい知識を確認しておくこともお忘れなく。


類題
不可算名詞に関する類題を紹介します。出題されるのは不可算名詞の中でも抽象名詞がほとんどです。

[問題1] 2015 法学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
One task (A)of researchers (B)is to provide concrete (C)evidences that demonstrates that new (D)theories are correct.
問題1 [解答](C)誤evidencesevidence
(訳)研究者の仕事の1つは、新しい理論が正しいことを例証する具体的な証拠を提供することである。
evidence証拠」は不可算名詞なので不定冠詞a/anがついたり、複数形にはなりませんのでevidencesとなっている(C)が誤りです。
[問題2] 2015 法学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
I’m sorry (A)to have kept you waiting. When did you (B)get here? I was (C)caught in heavy traffic due to the road being (D)under constructions.
問題2 [解答](D)誤under constructionsunder construction
(訳)お待たせしてすみませんでした。いつここへ着きましたか。道路が工事中のおかげで、ひどい渋滞に巻き込まれていたのです。
constructionは「建設(作業) 」という意味では不可算名詞で、複数形にはならないので(D)が誤りです。
[問題3] 2013 経営学部情報理工学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
According to (A)a research, the reason that (B)most people fail (C)in their efforts to diet (D)has been identified.
問題3 [解答](A)誤a researchresearch
(訳)研究によると大抵の人がダイエットの努力に失敗する原因が特定された。
research研究」は不可算名詞なので不定冠詞a/anはつきません。よって(A)が誤りです。
[問題4] 2010 総合政策学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Many people prefer (A)not to live in big cities because (B)an air is not clean, the trains are (C)crowded, and the houses are (D)expensive.
問題4 [解答](B)誤anthe
(訳)多くの人が大都市に住むことを好まない。なぜなら、空気は汚れ、電車は混雑し、そして住宅の値段が高いからである。
air空気」は物質を表す不可算名詞不定冠詞a/anはつきませんから(B)が誤りです。ただしairは「様子, 外見, 雰囲気」という意味の場合は可算名詞です。

[例] She puts on airs pretending to know everything.
(彼女は気取って何でも知っているようなふりをする)
[問題5] 2009 総合政策学部(A方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
I would be (A)grateful (B)if you could send me (C)an information about (D)admission to the university.
問題5 [解答](C)誤an informationinformation
(訳)もし大学の入学に関する情報を私のところまで送っていただけるとありがたいと思います。
information情報」は不可算名詞で不定冠詞a/anはつかないので(C)が誤りです。
[問題6] 2008 法学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
(A)Before the Internet, it was difficult to communicate ideas to large (B)audiences, but now (C)informations can be (D)shared easily and quickly.
問題6 [解答](C)誤informationsinformation
(訳)インターネット以前は、アイディアを大勢に伝えることは難しかったが、現在では情報は容易かつ瞬時に共有できる。
information「情報」
は不可算名詞で複数形になりません。よって(C)が誤りです。
[問題7] 2008 人文学部(心理人間学科・日本文化学科)・数理情報学部(B方式)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
I wonder (A)if anyone (B)can give me good (C)advices about (D)how to improve my English.
問題7 [解答](C)誤advicesadvice
(訳)英語を上達させる良いアドバイスを誰か私にくれる人はいないかなあ。
advice助言, 忠告, アドバイス」は不可算名詞なので複数形になりませんん。よって(C)が誤りです。
[問題8] 2017 人文学部(キリスト教, 人類文化学科)・経営学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
A: (A)Are there any information (B)available for international students interested in applying (C)to enter your school?
B: Yes, we have booklets that can help applicants (D)find out about our school.
問題8 [解答](A)Areis
(訳)A: 貴校への入学を希望する外国人学生が入手可能な情報はありませんか?
B: はい、入学希望者が本校について知る助けとなる冊子があります。

下線部こそ引かれていませんが、誤り指摘問題の文中にinformationが出てきたら要注意です。
information不可算名詞なのでanはつかず、複数形にもなりません。このことから、be動詞は単数のisとするのが正解です。
なお、他動詞helpSVO to do「Oが~するのを助ける」という語法で使われる場合、たびたびtoが省略されるので(D)find out aboutは正しい表現です。

(2)完了形

頻出論点(2)完了形
完了形に誤りがあった問題は、ほぼ毎年どこかの日程で出題されているので確実にマスターしておきたい論点です。

完了形に関する正誤判断で一番多いのが、受動態で表現すべき内容が能動態で書かれている場合です。今回はこの論点を中心に学んでいきます。

1.能動態→受動態のパターン

 [例題1] 2016法学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
It’s noon. The mail (A)should have delivered by now. I (B)wonder why it (C)hasn’t arrived yet. Perhaps there is (D)a problem with the mail today.
(訳)正午です。もう今頃には郵便は届けられているはずなのに。なぜまだ届かないのかしら。ひょっとして今日は郵便に何か問題があるのかも。

 本問では下線部(A)(C)完了形です。まずは下線部(A)を含む文を抜き出して検討してみます。

The mail (A)should have delivered by now. 
(郵便今頃、配達しているはずだ)

主語であるthe mailは他動詞deliverの目的語となるべき配達される側(影響・作用を及ぼされる側)ですから、この文は本来受動態で書かれなければなりません。
よって下線部(A)は誤りです。正しくは下線部(A)を受動態にして、

The mail should have been delivered by now.
(郵便は今頃、配達されているはずだ)

とします。

下線部(C)も完了形です。これは正しい表現ですが、その理由を検討しておきましょう。

I wonder why it (C)hasn’t arrived yet.
(なぜまだ郵便は届かないのかしら)

まず、why節の主語it=the mailということはわかりますか?
下線部(A)の場合と同じくthe mailが主語であるのに能動態のままでOKの理由は、arrive自動詞だからです。自動詞は受動態を作りません。

以上のことから、能動態受動態パターンで気をつけたいのは過去分詞が他動詞の場合です


2.完了形の「時」が問われている場合

完了形に下線が引かれている場合、もう一つ注意したいのが完了形の表す「」です。

[例題2] 2017外国語学部(フランス語学科・アジア学科)・経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Rodney (A)has served as (B)president of the student council for two years (C)until he (D)graduated from high school in 2015.
(訳)ロドニーは2015年に高校を卒業するまで生徒会長を2年間務めた。

本問では、下線部(A)が完了形です。前半を抜き出してみます。

Rodney (A)has served as (B)president of the student council for two years…
(ロドニーは2年間生徒会長を務めた)

本問では下線部(A)に頻出項目である完了形を見つけた時点で、ここを念入りに検討する方針を立てます。
serveは「勤める」という意味の自動詞ですから「」の問題でなさそうです。serve as Aで「Aとして働く」という意味になります。

さらに完了形で確認しておきたいのは完了形で表すことが適切かどうか?ということです。

Rodney (A)has served as (B)president of the student council for two years (C)until he (D)graduated from high school in 2015.
(ロドニーは2015年に高校を卒業するまで生徒会長を2年間務めた)

until以下が「2015年の卒業」という、過去のある時を基準に、その時点までの動作の継続を表しているので、主節は過去完了形で表さなくてはなりません。よって、誤りは(A)です。正しくは次のようになります。
なお、下線部(D)のgraduate他動詞と間違えやすい自動詞として有名です。

Rodney (A)had served as (B)president of the student council for two years (C)until he (D)graduated from high school in 2015.
(ロドニーは2015年に高校を卒業するまで生徒会長を2年間務めた)

類題

 [問題1] 2014法学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Consumers (A)are becoming more aware of (B)the need for a healthy diet.
Supermarkets now sell more (C)naturally-grown produce, especially vegetables that (D)have produced without chemicals.

問題1 [解説](D)have produced→正have been produced
(訳)消費者は健康的な食事の必要性にますます気づきつつあります。スーパーマーケットでは現在、自然に育てられた生産物、とりわけ化学肥料不使用で作られた野菜を多く売ることが増えています。
選択肢(A)~(C)はどこに誤りがあるのか論点に見当がつきませんが、下線部(D)は頻出の完了形ですから、まずはここを詳しく検討する方針で解いていきます。直前のthatは主格の関係代名詞で、先行詞vegetablesです。vegetablesは他動詞produced影響が及ぼされる側ですから、正しくは受動態となるべきです。
[問題2] 2011人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
When Megumi (A)hung up the phone, she told us that our theater seats (B)had given to someone (C)else but that (D)other seats would be available in a few days.
問題2 [解説](B)had given→正had been given
(訳)メグミは電話を切ってから、私たちの劇場の座席は他の誰かに譲られたが、数日のうちに別の席が用意されるだろうと私たちに告げた。
下線部(B)は完了形に引かれているので、まずはここに注目します。主語であるour theater seats与えられる物ですから、正しくは受動態になります。
[問題3] 2017法学部国際教養学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
Apple (A)turned forty in March, 2016 and is now a very different company (B)from the one (C)that Steve Jobs and Steve Wozniak (D)have launched in a small garage in 1976.
問題3 [解説](D)have launched→正launched
(訳)アップル社は2016年3月に40周年を迎えた。そして、今ではスティーブ=ジョブズやスティーブ=ウォズニアックが1976年に小さなガレージで創業した会社とまったく異なるものになっている。
まず(B)は「Aとは異なる」be different from Aで使われる正しい前置詞、(C)thatは目的格の関係代名詞でthe oneを先行詞とする正しい使い方です。
残るは(A)turnの用法(D)完了形ですが、まずは頻出分野の完了形を攻めていきます。
関係詞節の中にin 1976過去の一点を表す語があるので、この関係代名詞節は完了形ではなく、過去形であらわすべきなので(D)は誤りです。
なお、(A)に関してはturn+[年齢・時間・数量]で「~を超す, ~に達する」という意味で正しい表現です。しかし、この用法を知らなくても完了形をしっかり理解しておけばこの問題には対応できるので、細かい知識に振り回されないようにしましょう。それでも心配な方は、過去問に出たものだけは覚えておきましょう。
[問題4] 2011人文学部(キリスト教学科・人類文化学科)・経済学部
以下の文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから選びなさい。
We have been (A)informed that the park will be closed (B)until new safety measures (C)have taken to make sure (D)that children won’t get hurt on the equipment there.
問題4 [解説](C)have taken→正have been taken
(訳)私たちは、子供たちが設備で怪我をしないよう確実にするための新しい安全対策が取られるまで、公園が閉鎖されるという通告を受けた。
new safety measures
(新しい安全対策)はtake(~を採用する)される側なので動詞は受動態でなければなりません。

2014総合政策学部2月13日実施

以下の56~60の各文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

[56] A study was recently conducted (A)that involved 699 drivers who owned cell phones and (B)had been in traffic accidents.  Researchers got (C)permit to examine each driver’s cell phone to see if it (D)was being used at the time of their accident.
56 [解答] (C)誤permit topermission to
(訳)携帯電話を所有していて、交通事故を起こしたことのある699人のドライバーを対象にした研究が最近なされた。研究者たちは、事故の時に携帯電話が使われていたかどうかを調べるために各々のドライバーの携帯電話を調べる許可を得た。
本問では、動詞gotpermitという動詞が続いている下線(C)permit toが誤りです。「~する許可を得る」という表現は、名詞permissionを用いて get permission to doです。
[語句] study(名)研究 / conduct(他)(実験・調査など)を行う / involve(他)(人)を[議論/事件などに]巻き込む
[57] (A)Although pain in his foot, Tony (B)continued playing football.  It wasn’t (C)until after the match that he discovered he had (D)broken two toes.
57 [解答] (A)誤AlthoughDespite[In spite of]
(訳)足の痛みにかかわらず、トニーはフットボールをし続けた。彼が両足のつま先を骨折していたのを知ったのは、試合の後になってからだった。
本問は文法/語法問題ゼミの第2講『前置詞vs接続詞vs副詞』を理解している方ならば即答できたことでしょう。
Although接続詞なので節と節をつなぐはたらきをします。よって、AlthoughのあとにはS(主語)・V(述語)をともなった節が続くはずですが、本問ではpain in his foot(足の痛み)という名詞句になっています。よって、名詞をつなぐはたらきの前置詞despite[もしくはin spite of]に置き換えれば正しい表現となります。
下線部(C)では前置詞untilのあとに前置詞afterが続いていますが、これは二重前置詞といって、後の前置詞が導く句が前の前置詞の目的語となっています。[例] from under the table「テーブルの下から」
[58] When we (A)got to the restaurant, Midori (B)complained that she (C)was waiting for us for 30 minutes.  However, it turns out she had arrived too early (D)by mistake.
58 [解答] (C)誤was waitinghad been waiting
(訳)われわれがレストランに着いたとき、ミドリは30分間われわれを待っていたのよ、と不平を言った。しかし、彼女が誤ってあまりに早く到着していたことが判明した。
過去進行形は、過去の「ある時にしている最中であった動作を表すので、文脈上「過去のある時」が明らかになっている必要があります。
本問ではfor 30 minutes(30分間)と動作の行われた時間に幅があるため「私たちがレストランに着くまで30分間待ち続けた」という意味になるよう過去完了進行形にすれば文意に沿った表現となります。
[語句] get to A「A(場所)に到着する」turn out that節「~であることがわかる」by mistake「誤って、間違って」
[59] A recent survey (A)has shown that 60% of women (B)are determined to keep (C)working even if they (D)get marriage.
59 [解答] (D)誤get marriageget married
(訳)最近の調査では、女性の60パーセントが、たとえ彼女らが結婚しても働き続ける決心であることがわかった。
結婚」に関する表現は受験英語の頻出事項です。動詞marry他動詞marry A to Bで「AをBと結婚させる」という語法になります。
これを受動態化したものがA is married to B「AはBと結婚している」で、be動詞の代わりにgetを用いて『動作』を強調した表現がA gets married to B「AはBと結婚する」という表現です。
本問では本来、marriedとなるべきところがmarriage「結婚」という名詞になっているので下線(D)が誤りです。
[語句] determine A to do「A(人)に~することを決心させる」⇒A is determined to do「Aは~しようと決心している」
[60] A:  I’ve been (A)calling you all day.  Why (B)didn’t you answer?
B:  I’m so sorry.  I (C)left my phone here, at home.  I (D)should put it in my bag this morning!
60 [解答] (D)誤shouldshould have
(訳)A「一日中あなたに電話をしていました。なぜ出なかったのですか?」
B「ごめんなさい。電話をここ、自宅に置いたままだったんです。今朝、バッグに入れておくべきでした!」
助動詞shouldは「~すべき」という意味ですから、I (D)should put it in my bag this morning!は「私は今朝、それ(電話)をバッグに入れておくべきです!」という意味になって文脈に合いません。
「バッグに入れておくべきだったのに!(実際はそうしなかった)」という意味にするにはshould haveとします。
[語句] should have done「~すべきだったのに/~したはずだ」

2014法学部2月12日実施

以下の52~56の各文の下線を付けた語(句)のうち、一つが誤りです。その誤りを(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

[52] Consumers (A)are becoming more aware of (B)the need for a healthy diet.  Supermarkets now sell more (C)naturally-grown produce, especially vegetables that (D)have produced without chemicals.
52 [解答] (D)誤have producedhave been produced
(訳)消費者は健康な食事の必要性にいっそう気づきつつあります。スーパーマーケットは目下、自然栽培された農産物、とりわけ化学物質を使わずに作られた野菜を売ることが増えています。
下線部(D)は頻出論点である完了形ですから、まずはここを詳しく検討する方針で解いていきます。
下線部(D)直前のthatは主格の関係代名詞で、先行詞はvegetablesです。vegetablesは他動詞producedの影響が及ぼされる側ですから、これを
受動態とすれば正しい表現となります。
[53] (A)As much as 8.5 million people visit the Louvre art museum each year.  A large (B)majority of these tourists (C)go to see the famous Mona Lisa painting and are (D)charmed by her smile.
53 [解答] (A)誤As much asAs many as
(訳)850万人もの人が毎年ルーブル美術館を訪れます。これらの観光客の大多数は、かの有名なモナリザの絵を見に行き、その微笑に魅了されます。
本問では下線部(A),(B)に頻出論点である数量表現が登場しています。
集合名詞であるpeople「人々」は複数扱いの名詞です。peopleは不可算名詞ではないので(A)As much asではなく、As many asとすれば正しい表現になります。
[語句] charm(他)~を魅了する
[54] (A)Even the most advanced (B)learner of English (C)can find it difficult (D)to speak a presentation.
54 [解答] (D)誤to speakto give
(訳)たとえ英語学習の上級者でも、プレゼンテーションを行うことは難しいと気づくことがあります。
本問はコロケーションの問題です。日本語で「プレゼンする」と言う場合は、give[make] a presentationと言います。他動詞用法のspeakが取る目的語は「言語、意見、事実」などです。
[55] Harriet has recently (A)opened a store that (B)selling children’s clothing, much of (C)which she made with (D)the help of her friends.
55 [解答] (B)誤sellingsells
(訳)ハリエットは最近、子供服を売る店を開いたが、その大部分は彼女が友人の助けを借りて作ったものである。
本問での主要な論点は関係詞で、文中2か所で使われています。
下線(B)直前のthatは主格の関係代名詞で、先行詞はa storeです。that以下がになるためには、sellingを先行詞に合わせてsellsとします。
もう一つは下線(C)と直前のmuch of (C)whichで、こちらは非制限用法の関係代名詞です。
[語句] with the help[aid] of A「Aの助けを借りて」⇒by the help…でないことに注意!!
[56] I (A)couldn’t have passed the driving test without your help.  Let me (B)take you out dinner tonight.  Would you like (C)trying the Indian restaurant which (D)recently opened?
56 [解答] (C)誤tryingto try
(訳)あなたの助けがなければ、運転免許試験に合格できなかったでしょう。今晩、夕食にお連れしたいのです。最近、開店したインド料理の店はいかがですか
本問では頻出論点が2項目含まれています。
まず、下線部(A)の完了形without(~がなければ)を用いた仮定法過去完了の文で正しい表現です。
次は不定詞vs動名詞の論点です。(C)trying直前の動詞like不定詞と動名詞のどちらをとっても意味がほとんど変わらない動詞ですが、「勧誘/提案」を表すWould you like …?ではlike to doという形でしか使われませんのでtryingとなっている部分をto tryとすれば正しい勧誘の表現となります。