それでは実際に問題を解いていきましょう。問題は以下のホームページを各自で参照してください。
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2019年英語過去問[人文学部、外国語学部、経営学部]
最頻出の文脈問題
空欄補充問題を解く場合の第1ステップは、選択肢から出題パターンを見抜いて文法/語法/構文の知識で選択肢をしぼることです。しかし、文法的にすべて正しいという状況が多々あります。
この場合、与えられた英文の内容に最もふさわしいものを選ぶのですが、このような『文脈問題』が空欄補充問題全体の半数を占めているので、解き方の手順を学んでおく必要があります。
「文脈を読み取る」といっても、複雑な構文や英文解釈の細かい知識は必要ありません。南山大学で出題される英文は総合英語参考書に載っている例文がきちんと頭に入っていればじゅうぶん対応できるレベルです。
例文学習を一通り終えたら、語彙を増やしていきましょう。センター試験レベルの単語帳を中心に、南山大学の過去問に出てくる単語を覚えていくのがお勧めです。南山では繰り返し既出の語彙を用いた問題が出題されています。過去問を解いたあとは、正解選択肢以外の単語も語義/語法を辞書で確認しておきましょう。
文脈問題を解いてみよう
問29. 以下の文章が完成するように、空欄( 29 )に(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。 The foundation stone of the Sagrada Familia Church in Barcerona was laid in 1882. At the time ( 29 ) would dreamed that the building would still not be complete more than a century later. (A) everybody (B) anybody (C) nobody (D) somebody |
空欄が現れるまでは英文の内容把握に努めながら読んでいきましょう。
[内容把握]
The foundation stone of the Sagrada Familia Church in Barcerona was laid in 1882.
(訳)バルセロナ市にある聖家族教会の礎石は1882年に置かれました。
At the time ( 29 ) would dreamed that the building would still not be complete more than a century later.
(訳)その当時、( 29 )はその建物が1世紀以上あとになってもまだ完成していないことを想像したでしょう。
the Sagrada Familia Churchはスペイン出身の建築家、アントニオ・ガウディの設計による教会建築で、日本語では「聖家族教会」と呼ばれています。この建物に関して、最も有名なことは建築が始まって1世紀以上経ってもなお、未完成である、ということです。この予備知識があれば、解答はすぐにわかるのですが、1問目ですから手順通り丁寧に解いてみます。
[①選択肢の検討]
選択肢を含む文まで読み進めたら、選択肢を検討して、出題パターンの判別をします。
(A) everybody (代)「誰でも」
(B) anybody (代)「どの人も」
(C) nobody (代)「誰も…ない」
(D) somebody (代)「誰か」
選択肢はすべて代名詞でした。
[②構文的アプローチ]
これらの代名詞はすべて単数扱いをするのですが、空欄( 29 )に入れた場合、どれもが文法的に正しいので、文法/語法の知識では正解を選ぶことはできません。このように、文法/語法の知識で選択をしぼることができない場合は、文脈から最適なものを選ぶ方針に切り替えます。
[③文脈的アプローチ]
それでは空欄に選択肢を当てはめていきましょう。
At the time ( 29 ) would dreamed that the building would still not be complete more than a century later.
(訳)「その当時、( 29 )[(A)everybody誰もが、(B)anybodyどの人も、(C)nobody誰も…(想像)しなかった、(D)somebody誰かが]その建物が1世紀以上あとになってもまだ完成していないことを想像したでしょう」
建物の建築に1世紀以上もかかるということは、通常考えられない事態ですから、選択肢の中で唯一、否定の意を含む(C)nobodyが正解になります。
[正解]
At the time (29)nobody would dreamed that the building would still not be complete more than a century later.
(訳)その当時、誰もその建物が1世紀以上あとになってもまだ完成していないことを想像しなかったでしょう。
問30. 以下の文章が完成するように、空欄( 30 )に(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。 One reason for it not being completed is that when architect Antoni Gaudi took charge of the project a year after it started, he ( 30 ) the original plans in favor of a more elaborate design, … [語句] take charge of A「Aを引き受ける」/ in favor of A「Aの方を選んで」/ elaborate (形)手の込んだ (A) abandoned (B) reduced (C) deserted (D) removed |
1文が結構長いのですが、構造自体は簡単です。本問も空欄まで行きついたら選択肢を確認して、設問パターンを判別しましょう。
[内容把握]
One reason for it not being completed is that when architect Antoni Gaudi took charge of the project a year after it started, …
(訳)それ(=サグラダ・ファミリア教会)が完成されていない1つの理由は、建築が始まって1年後に、建築家アントニ・ガウディがその計画を引き受けた時…
… , he ( 30 ) the original plans in favor of a more elaborate design, …
(訳)彼はより込み入ったデザインを好んで当初の計画を( 30 )しました。
空欄( 30 )まで読み進めたので選択肢を検討しましょう。
[①選択肢の検討]
(A) abandoned (他)「~を捨てる」
(B) reduced (他)「~を減らす」
(C) deserted (他)「(人)を見捨てる」
(D) removed (他)「~を取り除く」
[②構文的アプローチ]
選択肢はすべてSVO型の他動詞です。空欄の動詞がとる目的語は1つ(=the original plans「当初の計画」)だけなので、すべての選択肢を空欄に入れることが文法的に可能です。よって、本問は文脈パターンで解くことになります。
[②文脈的アプローチ]
… , he ( 30 ) the original plans in favor of a more elaborate design, …
(訳)「彼はより込み入ったデザインを好んで当初の計画を( 30 )[(A)abandoned 「捨てました」/ (B)reduced「減らしました」(C)deserted「見捨てました」 / (D)removed「取り除きました」]。」
アントニ・ガウディが「さらに凝ったデザインを好んで(in favor of a more elaborate design)」、元々の計画を( 30 )した結果が、聖家族教会の完成していない理由の1つですから「完全に放棄する」という意をもつ(A)abandoned「捨てた」が最適です。(C)desertedも「捨てる」という意味をもちますが、「(人・地位・場所)を見捨てる」という意味になるのでここでは不可です。
今回は始めの2問だけ解いてみました。残る12問のうち文脈問題が9問ありますので、手順を確認しながらご自身で解いてみてください。
文脈パターンの解法手順 1.英文を頭から読み進め、空欄まできたら初めて選択肢を検討する。 2.選択肢を検討し品詞などの特徴から、パターンを判別する(パターンの判別は文法/語法問題の場合と同じ)。
3.文脈パターンであると判断したら、文意に最適なものを選ぶ。 |