第14講『比較』

英文法の参考書では1章を割いて解説される『比較』ですが、南山英語での出題頻度はあまり高くなく、例年、全学部を通じて1問の出題があるかないかといったところです。

典型的な出題パターンもなく、比較に関する文法事項から満遍なく出題されているので穴を作らないことが最大の対策となります。お手元の文法/語法問題集に載っている問題と、総合英語の例文をきっちり仕上げておけば大丈夫でしょう。

今回は過去に出題された『比較』問題をまとめて解いて、苦手意識を失くしておきましょう。


thanは比較問題の目印

「絶対」とまでは言いきれないのですが、設問文にthanが登場したら、まずは比較に関して問われている可能性を考えましょう。

[例題1]2017人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科) 経営学部
以下の空欄について(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。【文法/語法問題】
These days, it’s (    ) easier to shop online than to go to a store.
[語句] shop(自)買い物をする / online(副)オンラインで
(訳)この頃は、店へ行くよりインターネットで買い物をする方がはるかに簡単です。
(A) so
(B) such
(C) far 正解
(D) very
【解説】本問は空欄後のeasierthanから『比較』が論点になっていると考えられます。
空欄後の比較級easierを強調するには(C)far(はるかに、ずっと)が最適です。
[例題2]2016外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
以下の空欄について(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。【文法/語法問題】
Joe’s train for Kyoto leaves at 10:00 am, so he should be at Nagoya Station no (      ) than 9:45 am.
(訳)京都に行くジョーの列車は午前10時に出発するので、彼は遅くとも9時45分には名古屋駅にいなくてはならない。
(A) lately
(B) latest
(C) later 正解
(D) late
【解説】空欄直後のthanと選択肢の並びから、設問で問われているのは比較に関する論点だとわかります。
no later than …で「遅くとも…までに」という意味なので、文意から(C)laterが正解です。
比較に関する表現は種類が多いので苦手な方は「thanがあったら比較級を選ぶ」と決めておくのも一つの手です。

 

②比較級を強める語句
比較に関する問題では比較級を強める語も出題されています。例題1も含めて、最近では3回出題されています。

[例題3]2014経営学部理工学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。【文法/語法問題】
Compared to Japan, the cost of going to driving school is (      ) less expensive in the United States.
[語句] compared to[with] A「Aと比較すると」
(訳)日本と比べて、自動車教習所に通う費用はアメリカではずっと安い。
(A) a lot of
(B) lot
(C) very
(D) far 正解
【解説】空欄に続くlesslittle比較級ですから、選択肢の中で唯一比較を強めるはたらきを持つ副詞(D)farが正解です。
much [(by) far / a lot]比較級ずっと~/はるかに~

This house is much [far] larger than mine.
(この家は私の家よりもずっと[はるかに]大きい)

[例題4]2017人文学部(心理人間学科、日本文化学科) 理工学部
以下の空欄について(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。【文法/語法問題】
This year’s judo class had (      ) participants than the teacher expected.
[語句] participant(名)参加者
(訳)今年の柔道の授業は教師が予想したよりずっと多くの参加者があった。
(A) much more
(B) so many
(C) many more 正解
(D) too many
【解説】空欄のあとにthan the teacher expectedthanがあるので、空欄には比較級が入ると推測できます。
空欄に入る語は可算名詞複数形(participants)を修飾しているので、数が多いことを表すmanyを用いた(C)many moreを選びます。
many more複数名詞than…よりずっと多くの
比較級の強調にはmuchを用いるのがふつうですが、「がずっと多い」の意では、much more ~ではなくmany more ~の形をとります。

My brother has many more T-shirts than me.
(弟は僕よりもかなり多くのTシャツを持っている)

がずっと多い」の意では「much more不可算名詞」の形になります。
I have much more money than he (does).
(私は彼よりずっとたくさんお金を持っている)


③the+比較級 ~, the+比較級 …
受験生が忘れた頃、思い出したように出題されるのがこの論点です。

the比較級 ~, the比較級 ~すればするほど、ますます…

The higher you go, the more beautiful the view becomes.
(高く上れば上るほど、ますます景色が美しくなる)

[例題5]2013人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。【文法/語法問題】
The sooner you start studying for your exam, the (      ) .
(訳)試験勉強を早く始めれば始めるほど、それだけいいよ。
(A) good
(B) better 正解
(C) well
(D) best
【解説】The sooner, the better.「早ければそれに越したことはない」という比較級を用いた慣用表現をベースにした英文で、正解は(B)betterです。
本問のように「the+比較級」に続くSVit isの場合は省略されることがあります。
[例題6]2008人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。【文法/語法問題】
(      ) went on, the more tired the players became.
(訳)試合が長引けば長引くほど、選手たちはますます疲れていった。
(A) The long game
(B) The longer game
(C) The longer the game 正解
(D) The longest the game
【解説】従属節の元の形は The game went on long. です。このlong副詞で形容詞ではないことに注意してください。よって正解は(B)ではなく(C)The longer the gameとなります。the gameS(主語)です。
the+比較級+SV, the+比較級+SV」のtheは冠詞ではなく副詞です。始めのtheは「~すればするほど」、後ろのtheは「それだけますます~」を表しています。

 

④比較級で最上級の意味を表す
この論点はここ数年出題されていません。過去2回の出題では「比較級than any other単数形の名詞」が扱われていました。

比較級than any other単数形名詞「ほかのどの~よりも…だ」
→比較級を用いて最上級に相当する意味を表しています

Alaska is larger than any other state in the United States.
(アラスカは合衆国のほかのどの州よりも大きい)

[例題7]2010人文学部(心理人間学科、日本文化学科)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。【文法/語法問題】
Professor Jones is stricter than (      ) teacher in our department.
[語句] department(名)部門、学部、(大学・学部の)学科
(訳)ジョーンズ教授は私たちの学科で他のいかなる先生よりも厳しい。
(A) any other 正解
(B) other
(C) each other
(D) one another
【解説】「比較級+than any other単数名詞」で「他のどの~よりも…」という最上級の意味を表します。よって正解は(A)any otherです。
(C)each otherと(D)one anotherはともに「お互い(に)」と訳し、副詞句ではなく代名詞です。
[例題8]2008外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。【文法/語法問題】
Mary likes English so much that she spend more time on it than (      ) other subject.
[語句] spend A on B「AをBに費やす」
(訳)メアリーは英語が好きなので、他のどの教科よりも英語に費やす時間が多い。
(A) no
(B) all
(C) any 正解
(D) many
【解説】例題7と同様に「比較級+than any other単数名詞」の表現の一部と考えて(C)anyを選びます。

第15講『助動詞』

助動詞も文法/語法問題ゼミで扱うかどうか迷った頻出分野です。というのも、選択肢がすべて助動詞であったとしても、正解を導くために必要な知識が助動詞のみならず、完了形仮定法時制倒置など多岐にわたっているからです。

助動詞パターンで出題された論点 2008~2018
仮定法過去(完了)の帰結節…7回
shouldを用いる仮定法…4回
助動詞+have+過去分詞…4回
時制の一致…2回
仮定法過去(完了)の条件節習慣を表すwould過去から見た未来would依頼を表すwillwouldを含む慣用表現mayを含む慣用表現倒置強調のdo譲歩のmay/might義務のshould…各1回

今回のゼミでは、助動詞に関する出題率トップ3の論点を扱います。

①仮定法過去(完了)の帰結節
もし~なら…だろうに」という仮定法の帰結節(主節)で使われる助動詞would/could/mightは、仮定法という重要論点との相性が良いせいか、最も多く出題されています。

[例題1]2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
If Karen hadn’t been so busy on Saturday, she (      ) have joined us for the party.
(訳)カレンが土曜日にあんなに忙しくなかったら、私たちとパーティーに出られたはずなのに。
(A) can
(B) would 正解
(C) must
(D) will
【解説】選択肢はすべて助動詞です。下線部から、空欄には仮定法過去完了の帰結節に相応しい助動詞を選べば良いとわかります。
もし~なら…だろうに」という仮定法の帰結節(主節)では「~だろうに」の部分に助動詞の過去形が使われますので、正解は唯一の過去形助動詞である(B)wouldです。
[例題2]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

I (      ) made arrangements to pick you up at the airport if you had emailed me before your trip.
(訳)出発する前にメールをくれていたら、空港へ迎えに行くよう手はずを整えていただろうに。
(A) will have
(B) have had
(C) would have 正解
(D) must have
【解説】選択肢はすべて「助動詞have/had」の形をしています。if節の内容が「過去の事実に反する仮定」であるので、主節では「助動詞の過去形have過去分詞」の形になります。よって正解は唯一の過去形助動詞を含む(C)would haveです。
[例題3]2015外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Professor Sands is angry with you for being late again. If I were you, I (      ) to class on time.
(訳)サンズ教授は君がまた遅刻したので怒っているよ。僕が君なら、時間通りに授業に行くだろうに。
(A) did come
(B) could come
(C) had come
(D) would come 正解
【解説】選択肢はすべて「過去形助動詞come」の形です。
空欄前のifIf I were you「もし、僕が君だったなら」は仮定法過去の形ですから、帰結節(主節)では「過去形助動詞[would/could/might]+動詞の原形」になるはずで、これを満たすものは(B)could come(D)would comeの2つにしぼられます。
仮定法の「~だろうに」の部分で使われる助動詞にはwould/could/mightの3種類がありますが、「~するのだが」という意味合いを出すにはwouldが適切ですので、正解は(D)would comeとなります。
ちなみにcouldを選ぶと「~できるのだが」、mightを選ぶと「~かもしれないのだが」という意味になります。


②shouldを用いた仮定法

if節で使われるshouldは「実現の可能性が低い」という話し手の判断を表します。このshouldが出題される場合は、ifが省略される場合がほとんどです。

[例題4]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) there be any problems with your reservation, please call our hotel manager.
(訳)万一、ご予約に関して問題がございましたら、当ホテル支配人までお電話ください。
(A) May
(B) Could
(C) Can
(D) Should 正解
【解説】後半が please call our hotel manager 命令文になっているので、これを帰結節と考え、前半が条件節になっていると考えます。
空欄に(D)Shouldを入れれば未来を表す仮定法の倒置形となり、意味も通ります。
(B)Couldも仮定法の帰結節で使われますが、この場合はifの省略はできないので不可です。
[例題5]2016外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) you have any questions about your credit card bill, don’t hesitate to contact one of our representatives.
[語句] bill(名)請求書、勘定書 / hesitate to do「~するのをためらう」/ representative(名)担当者、代表者
(訳)クレジットカードの請求書について万が一ご質問がありましたら、遠慮せず担当者にご連絡ください。
(A) Should 正解
(B) Could
(C) Would
(D) Ought
【解説】選択肢はすべて助動詞(D)Ought以外は空欄に入れることが可能です。
文頭に助動詞が入るにも関わらずクエスチョンマークが無いこと、及び後半の don’t hesitate to contact …命令文になっていることから前半が条件節になっていると推測できます。よって(A)Shouldを選べばifを省略した仮定法となり、文脈的にも最適です。


③助動詞+have+過去分詞

この形は過去のことに関する現時点での推量や、過去の行為に対する非難や後悔を表します。

may[might] have過去分詞~したかもしれない

You may have heard this joke before.
(この冗談は前に聞いたことがあるかもしれませんね)
The keys might have fallen out of your pocket.
(鍵はあなたのポケットから落ちたのかもしれないですね)

could have過去分詞~したかもしれない

He could have left his umbrella in the shop.
(彼はその店に傘を忘れたのかもしれない)

must have過去分詞~したに違いない

He must have told me a lie.
(彼は私に嘘を言ったに違いない)

should[ought to] have過去分詞(きっと)~したはずだ/~すべきだったのに(実際はしなかった)

The game should[ought to] have started at noon.
(正午にはその試合は始まっていたはずだ)

cannot[can’t] have過去分詞~したはずがない/~だったはずがない
→「couldn’t have過去分詞」も同じ意味を表します

He cannot have accepted your plan.
(彼があなたの計画を受け入れたはずがない)
She couldn’t have noticed the difference.
(彼女がその違いに気がついたはずがない)

 should[ought to] have過去分詞~すべきだったのに(実際はしなかった)

You should have got up at seven.
(あなたは7時に起きるべきだったのに)
The clerk ought to have given you a receipt.
(その店員はあなたにレシートを渡すべきだったのに)

need not[needn’t] have過去分詞~する必要はなかったのに(実際はしてしまった)

You need not[needn’t] have bought so much meat.
(そんなにたくさんの肉を買う必要はなかったのに)

それでは実際の設問を見ていきましょう。

[例題6]2016経営学部理工学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Sara looks happy. She (      ) a really good time with Tom earlier this evening.
(訳)サラは幸せそうだ。今日の夕方早くに、トムと楽しい時を過ごしたに違いない。
(A) might have
(B) must have had 正解
(C) will have
(D) should be having
【解説】選択肢には「助動詞have」が目立ちます。
目の前にいるサラに関して過去(earlier this evening)の強い推量を働かせていますので「~したに違いない」という意味になる(B)must have hadを選びます。

(A)might have hadならば過去の弱い推量になりますが、might have現在の弱い推量になるので不可です。
 [例題7]2011経営学部理工学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
I (      ) this movie before, but I’m not sure.
(訳)私は以前にこの映画を観たかもしれませんが、確信は持てません。
(A) must watch
(B) might watch
(C) should watch
(D) may have watched 正解
【解説】before以前にが使われていることに着目します。
過去の経験に関して現在時の弱い推量を表す形「may have過去分詞(~したかもしれない)」となる(D)may have watched(観たかもしれない)が最適です。
 [例題8]2010人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Sorry, I can’t serve you yet. You (      ) waited in line like everybody else.
(訳)すみませんが、まだあなたのお相手をできません。皆さんと同じように1列に並んで待っていればよろしかったのに。
(A) should be
(B) had better
(C) have to be
(D) ought to have 正解
【解説】空欄に続くwaitedは自動詞用法が基本で、通例受け身にはしないため(A), (C)は不適です。(B)had better助動詞で後には原形をとるため空欄には入りません。文意からも残る(D)ought to haveが最適です。

第16講『文脈』

文法/語法問題ゼミも今回が最終回になりました。最後まで、もうひと踏ん張りです。がんばりましょう。

『文脈』問題とは、今までに扱った出題パターンとは異なり、文法/語法上、誤りのない選択肢の中から文意にもっとも相応しいものを選ばせる問題をいいます。いわば、文法/語法問題ではなく語彙の問題と言えます。
選択肢の特徴としては、同種の品詞が並んでいることが多いのですが、色んな出題形式があるので、あまり先入観を持たない方が良いでしょう。

文法/語法問題の基本的な解き方として、今までは、選択肢の分類をしたあと、本文中に文法的なヒントを探し[構文的アプローチ]正解候補が複数あるときは文意に合う方を選ぶ[文脈的アプローチ]という方針で解いてきました。

今から学ぶ『文脈』パターンも基本は同じですが、問題文の文脈を読み取り、最もふさわしい語を選択肢から選ぶことがメインになりますので、文法や語法の知識よりも語彙力/読解力が重視されます。

選択肢がすべて形容詞の場合
それでは、基本問題で『文脈』問題の解き方を学んでいきましょう。

[例題1]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Larry always comes to work late. If he is not more (      ), he may lose his job.
(A) accurate
(B) conscious
(C) punctual
(D) strict

『文脈』問題でも、取り掛かる時の手順は今までと同じです。まずは選択肢の分類を行いましょう。

[選択肢の分類]
(A) accurate形容詞「正確な」
(B) conscious形容詞「意識している」
(C) punctual形容詞「時間を守る」
(D) strict形容詞「厳しい」

『正確性』に関する形容詞が多いので、まずは形容詞の『語法』問題である可能性を考えつつ、構文的に解けないかチェックします。

[①構文的アプローチ]
Larry always comes to work late. If he is not more (      ), he may lose his job.

文法/語法問題であるならば、ヒントは赤字のifの中にあるはずですが、(A)~(D)すべてに叙述用法があるので、文法/語法的にすべて正しく、ここから正解は選べません

この問題のように、問題文から文法/語法上のヒントを得られないとき(=すべてが文法的に正しいとき)はすぐに頭を切り替えて、文脈からふさわしい語を選ぶ方針に変更します。これを文脈的アプローチによる解法と呼んでいきます。

[②文脈的アプローチ]
問題文を和訳していきましょう。

Larry always comes to work late. If he is not more (      ), he may lose his job.
(訳)ラリーはいつも仕事に遅れて来る。もっと(      )でないならば、仕事を失うかもしれない。

ラリーは常に仕事に遅刻しているのですから『時間の』正確性を話題にしていると考えられます。よって、選択肢の中から文意に沿うのは(C)punctual(時間を守る)です。

[正解]
Larry always comes to work late. If he is not more (C)punctual, he may lose his job.

(訳)ラリーはいつも仕事に遅れて来る。もっと[ (A)正確, (B)意識的, (C)時間を守る, (D)厳しく]でないならば, 仕事を失うかもしれない。

このように文脈的アプローチによる解法は、文法的に攻略できない問題の第2段階として行います
『文脈』パターンという名称は、文脈的アプローチがメインになった問題のことを便宜的に分類しているだけです。

過去問をこなしていけば実感できますが、南山英語では、文脈的アプローチを用いて正解を導く文法/語法問題が非常に多いのが特徴になっています(厳密には『文法/語法』問題ではないのですが…)

『文脈』パターンは語彙力読解力がメインなので、文法/語法問題集をどれだけやりこんでも解けるようにはなりません。
多い時は20問中、5問ぐらいが文脈問題だったりするので、英語に自信のある受験生でも、南山の文法/語法問題では意外に得点できなかったりします。
南山英語にはクセがある』と言われる所以はこのようなところにも一因があるのかも知れません。

選択肢がすべて動詞の場合

[例題2]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
One of the most important things that you can do in life, Ronnie, is to (      ) an education.
(A) acquire
(B) realize
(C) achieve
(D) accomplish

文脈的アプローチによる解法練習のために選んだ問題ですが、まずは構文的に解けないかを検討していきます。

[選択肢の分類]
(A) acquire他動詞「~を身につける」
(B) realize他動詞「~を実現する」
(C) achieve他動詞「~を成し遂げる」
(D) accomplish他動詞「~を成し遂げる」

選択肢はすべて『達成』に関する他動詞ですね。まずは『語法』問題の可能性を調べるため、本文をチェックします。

[①構文的アプローチ]
One of the most important things that you can do in life, Ronnie, is to (      ) an education.

空欄に入る他動詞は目的語を1つ(an education)とるだけなので、語法問題ではなさそうです。
すべて文法的には正しいので、すぐに文脈からアプローチする方針に切り替えましょう。

[②文脈的アプローチ]
One of the most important things that you can do in life, Ronnie, is to (      ) an education.
(訳)ロニー、人生において君ができる最も大事なことの1つは、教育を(      )することだよ。

空欄に入るべき動詞の目的語がan education『教育』です。
『教育』とは(B)実現したり、(C)達成したり、(D)成し遂げるものではなく、(A)「身につける」ものなので(A)acquireが最適です。

ロングマン英英辞典にacquireは『to gain knowledge or learn a skill(知識を得たり、技能を習得すること)』と書いてあります。知識や技能を身につけるイメージですね。

選択肢がすべて副詞の場合

 [例題4]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを, (A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Scientists believe that the Milky Way galaxy contains (      ) 100 billion stars.
(A) closely
(B) approximately
(C) significantly
(D) measurably

[選択肢の分類]
(A) closely副詞「密接に」
(B) approximately副詞「おおよそ, 約」
(C) significantly副詞「有意義に」
(D) measurably副詞「測定可能に」

今回はすべて副詞です。まずは構文的アプローチで解けないか問題文の構文をチェックしてみます。

[①構文的アプローチ]
Scientists believe that the Milky Way galaxy contains (      ) 100 billion stars.

副詞が入るべき空欄前に動詞contains後ろには数詞100 billionがあります。副詞は動詞や形容詞(数詞も含む)、副詞、文全体を修飾します。すべての選択肢は文法的に正しく、正解をしぼれないので、文脈的アプローチに切り替えます。

[②文脈的アプローチ]
Scientists believe that the Milky Way galaxy contains (      ) 100 billion stars.
(訳)科学者たちは、天の川銀河には(      )1000億の星が含まれていると考えている。

空欄は100 billionという大きなを修飾していると考えられるので, (B)approximatelyおおよそ」が適切です。

(A)はcloselyではなくclose toなら「~近く」という意味で空欄に入ることができます。

Scientists believe that the Milky Way galaxy contains close to 100 billion stars.
(訳)科学者たちは, 天の川銀河には1000億近くの星が含まれている考えている。

選択肢がすべて名詞の場合

[例題5]2016外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Takashi gave me some useful (      ) about job hunting.
(A) opinion
(B) suggestion
(C) advice
(D) recommendation

本問もまず選択肢の分類をしていきます。

[選択肢の分類]
(A) opinion名詞「意見」
(B) suggestion名詞「提案」
(C) advice名詞「助言」
(D) recommendation名詞「推薦」

選択肢はすべて名詞で、意味の近い語が並んでいますね。
似たような意味のものがあるときは、まず語法』問題の可能性を考えます。

[①構文的アプローチ]
Takashi gave me some useful (      ) about job hunting.

空欄あとのaboutにつながる語法をもつ選択肢が1つであれば話は早いのですが、残念ながら、すべての選択肢aboutにつながることができます。
文法/語法的なアプローチがだめなら、すぐに文脈的アプローチに切り替えましょう。

[②文脈的アプローチ]
Takashi gave me some useful (      ) about job hunting.
(訳)タカシは仕事探しについて有益な[(A)意見, (B)提案, (C)助言, (D)推薦 ]をいくつか私にくれた。

求職中に役立つのは友人の意見提案よりも役に立つアドバイスですから、(C)advice助言」が適切です。

最後は選択肢がすべて前置詞の場合です。『前置詞』パターンでも、語法の知識で解けない問題は、文脈に相応しい意味をもつ前置詞を選びます[文脈的アプローチ]

『句動詞』『前置詞』パターンは文脈問題の1形態

[例題3]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
When he was younger, John got very little exercise. Then, at the age of 50, he (      ) tennis. He is quite a good player now.
(A) took up
(B) took out
(C) took over
(D) took in

選択肢を眺めると、今回は「take前置詞[副詞]」からなる句動詞が並んでいますね。「これは句動詞パターンでは?」と思ったかた、正解です。実は句動詞パターンは文脈問題の特殊な形です。基本動詞が共通なので、見かけは似ていますが、個々の句動詞がもつ意味はまったく違います。ネイティブから見たら「これが大学入試の問題なの?」って感じでしょう。

[句動詞パターン解答法]
1.大まかな内容を把握する
When he was younger, John got very little exercise. Then, at the age of 50, he (      ) tennis. He is quite a good player now.
(訳)若いころ、ジョンはほんの少ししか運動をしなかった。それで、50歳のときテニスを(      )。今ではとても上手である。

2.選択肢の意味を把握する
(A) took up「(時間・場所など)を占める/(趣味などを)始める」
(B) took out「(食べ物)を持ち帰る」
(C) took over「~を引き継ぐ」
(D) took in「~を吸収する」

3.選択肢の中から文意に最もふさわしいものを選ぶ
When he was younger, John got very little exercise. Then, at the age of 50, he (      ) tennis. He is quite a good player now.
(訳)若いころ、ジョンはほんの少ししか運動をしなかった。それで、50歳のときテニスを[ (A)始めた, (B)持ち帰った, (C)引き継いだ, (D)吸収した ](      )。今ではとても上手である。

選択肢の訳語を当てはめていくと、答えは一目瞭然ですね。ただし、このように解けるのは句動詞パターンに対して、きちんと準備した受験生だけということをお忘れなく。

[例題6]2016経営学部・理工学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Please pay for your purchases (      ) the cash register over there.
(A) at
(B) on
(C) in
(D) to

選択肢がすべて前置詞の場合は、まず空欄前後に前置詞とセットで使われる語がないかチェックします。例えば、
She is looking forward (      ) the concert.
という文の空欄に前置詞を入れる場合、look forwardとセットで使われるtoが入ります。

[①構文的アプローチ]
Please pay for your purchases (      ) the cash register over there.

自動詞payforと結びついているので、空欄との相関関係はなさそうです。すぐに頭を切り替えて、文脈からアプローチします。

[②文脈的アプローチ]
Please pay for your purchases (      ) the cash register over there.
(訳)あそこのレジ(      )買い物の支払いをしてください。

支払いをするのは、レジという店の中の1点ですから『場所の1点を表す』(A)atが適切で、これが正解になります。

まとめ
『文脈』問題は、選択肢から分類されるパターンではなく、文法/語法の知識だけでは正解が1つに定まらない問題のことを言います。
『構文的アプローチ』『文脈的アプローチなどと大仰な名称をつけて解説してきましたが、難しく考えず、要は「文法/語法の知識で駄目なら内容に合う選択肢を選ぼう」ということです。
文法/語法問題ゼミは今回で終了です。南山英語の文法/語法問題のほとんどは、ここで学んだパターンに分類されます。あとは過去問を解いて実践力を磨いていきましょう。

第13講『句動詞』

『句動詞(群動詞)とは「動詞副詞」「動詞前置詞」などの形で、全体で1つの動詞と同じ働きをするものをいいます。中学英語から馴染みのあるものでは、look at(~を見る)give up(~を断念する)などが該当します。

句動詞パターンの特徴は選択肢が(同じ)基本動詞+(異なる)副詞[又は前置詞]の形になっていることです。
以下の例を見てください。すべての選択肢が「put副詞(前置詞)」の形になっていることが確認できるでしょう。

[例] 2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
The exam is about to begin. Please (      ) your books and notes.
(A) put away
(B) put inside
(C) put off
(D) put in
選択肢が『(同じ)基本動詞(put)+(異なる)副詞[又は前置詞]』

このパターンは、2014年以前はそれほど目立っていなかったのですが、2015年(4)、2016年(5)、2017年(6)、2018年(7)出題され、ますます重要度が高まっています。
空欄補充問題でも出題されることがあるので、必ず出題されると思って準備しておきましょう。

句動詞パターンの基本問題

[例題1]2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Professor Young was delighted when he (      ) an old document hidden in a book.
(A) came across
(B) came through
(C) came into
(D) came up

文法/語法問題で重要なのは、まず選択肢を見比べて出題パターンを見極めることです。句動詞パターンでもこれは同じです。

〔句動詞パターン解答法〕
句動詞パターンでは、選択肢の意味がそれぞれ全く違うので、動詞ごとに整理して覚えておけば、瞬間的に答えが分かります。最終的にはこのレベルになるまで準備しておきたいものです。

句動詞パターン解答法の流れ
1.まず、本文の大まかな内容を把握します

[例題1の問題文]
Professor Young was delighted when he (      ) an old document hidden in a book.

(訳)本の中に隠されていたある古文書を(      )したとき、ヤング教授は喜んだ。

2.次に、選択肢の意味を把握します
出題される句動詞は過去問で出題されたものがほとんどなので、過去問に出てきたものは正解にならなかったものを含めて、すべて覚えておきます。

(A) came across(物)(偶然)見つける
(B) came through通り抜ける
(C) came into~に入る
(D) came up上ってくる

3.選択肢の中から文意に最もふさわしいものを選びます
一つ一つを空欄に当てはめて、文意にふさわしいものを選びます。

Professor Young was delighted when he (      ) an old document hidden in a book.
(訳)本の中に隠されていたある古文書[ (A)を見つけた / (B)を通り抜けた / (C)に入った / (D)上った ]とき、ヤング教授は喜んだ。

ヤング教授が喜んだのは、重要な古文書を偶然発見したからだと考えるのが妥当であるので(A)came acrossが正解になります。

[正解]
Professor Young was delighted when he (A)came across an old document hidden in a book.
(訳)本の中に隠されていたある古文書を偶然見つけて、ヤング教授は喜んだ。

まとめ
句動詞パターンは、句動詞それぞれの意味を知っていれば文脈に当てはめていくことで簡単に解けるので、準備が大事です。過去に出題されたものは動詞ごとにまとめて覚えておきましょう。

第12講『前置詞』

『前置詞』パターンとはその名の通り、すべての選択肢が前置詞であるものをいいます。
『前置詞』パターンの問題は、文法/語法問題に限らず空欄補充問題でも頻出で、センター試験でも毎年出題されているので、今回の内容をぜひ身につけてください。

1.『前置詞』問題には2種類ある
『前置詞』パターンでは2種類の問題があります。
1つは、熟語やイディオムを構成する前置詞を問われている場合
もう1つは、文脈に合う意味をもつ前置詞を問われている場合です。

2種類に分かれる『前置詞』パターンですが、安心してください。解き方は同じです。

選択肢から『前置詞』パターンだと判断したら、まずは空欄前後に特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします。これを構文的アプローチ』と呼んでいきます。構文的アプローチとは文法語法構文の知識で正解選択肢を決定する解法です。

構文的アプローチによる解法で選択肢が1つに決まらなければ、問題文の内容に最もふさわしい意味をもつ前置詞を選ぶという解法に切り替えます。これを文脈的アプローチ』と呼んでいきます。文脈的アプローチは、文法的に正しい選択肢の中から文意に最も合うものを選ぶ解法です。

『前置詞』パターンでは、どんな問題でも先に構文的アプローチを試みてください
なぜなら、look forward to doing(~するのを楽しみに待つ)のような定型的な言い回しの中の前置詞は見つけやすいからです。

『前置詞』パターンの解法ステップ
1段階他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ構文的アプローチ
(構文的アプローチで正解が決まらない場合)
2段階:文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ文脈的アプローチ

これらを実際に問題を解きながら確認してみましょう。

2.構文的アプローチによる解法

[例題1]2016年人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

Professor Simpson is well known among his students (      ) his strict attendance policy.
(A) to
(B) for
(C) about
(D) as

選択肢からひと目で『前置詞』パターンであると判断できますね。
まずは特定の前置詞との組み合わせで使われる語がないかをチェックします[=構文的アプローチ]

[①構文的アプローチ]
Professor Simpson is well known among his students (      ) his strict attendance policy.

出題者が意図的にwellamong his studentsといった副詞(句)を挟むことで気づきにくくしてあるのですが、is knownは(B)forと結びついてbe known for A「Aで知られている」という意味の熟語を作ります。内容的にも合致するので、これが正解になります。

なお、be knownは後に続く前置詞によって意味が変わります。本問における出題者の意図はこの使い分けにあったのかも知れません。

be knownと結びつく4つの前置詞
be known for A「A知られている」
be known to A「A(人)知られている」
be known by A「Aによってわかる」
be known as A「Aとして知られている」

本問のように、構文的アプローチで正解が決まる場合は関係詞節副詞句/形容詞句などを間に置くことで組み合わせが分かりにくくしてある場合が多いようです。問題文の構造を分析する時は、視野を広くもちましょう。

『前置詞』パターンの問題を、もう1問解いてみましょう。今度は文脈的アプローチの練習です。

3.文脈的アプローチによる解法

[例題2]2016年外国語学部(英米学科) 総合政策学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Please remember to speak directly (      ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(A) on
(B) for
(C) into
(D) by

『前置詞』パターンですので、まずは(A)~(D)の前置詞いずれかと組み合わせで使われる語がないか本文を確認します[=構文的アプローチ]

[①構文的アプローチ]
Please remember to speak directly (      ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.

directlyという副詞を挟んだその前にspeakという自動詞がありました。「speak前置詞名詞」という語法では、

speak to A「A(人)に話しかける」
speak about [of, on] A「A(人事)について話す」

などが思いつきますが、the microphone話題ではなく、話しかけるための道具ですから(A)onではしっくりきません。

このように、第1段階である構文的アプローチで組み合わせとなる適切な語が見つからない場合は、文の内容にふさわしい意味を持つ前置詞を選ぶ方針に切り替えます[=文脈的アプローチ]

[②文脈的アプローチ]
Please remember to speak directly (      ) the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(訳)必ずマイクに直接話しかけてください。さもないと、プレゼンテーションが聴衆に聞こえません。

マイクに向かって話しかけるのですから、選択肢の中で『方向』の意味をもつ前置詞(C)intoが最適です。これは口から発せられた声がマイクの中へ入っていくイメージです。

(B)forにも『方向』の意味がありますが「マイクの方向を向いて話す」というイメージで、マイクに声を届ける感じが出ません。以上から正解は(C)intoです。

[正解]
Please remember to speak directly (C)into the microphone, or the audience won’t be able to hear your presentation.
(訳)必ずマイクに直接話しかけてください。さもないと、プレゼンテーションが聴衆に聞こえません。

まとめ

『前置詞』パターンの解法ステップ
1.他の語との組み合わせで前置詞を選ぶ構文的アプローチ
(構文的アプローチで正解が決まらない場合)
2.文脈に合う意味をもつ前置詞を選ぶ文脈的アプローチ

『前置詞』パターンの問題は、各日程でほぼ毎年出題されています。前置詞の基本的な意味と使い分けを各自、文法書で確認しておいてください。