第15講『助動詞』

助動詞も文法/語法問題ゼミで扱うかどうか迷った頻出分野です。というのも、選択肢がすべて助動詞であったとしても、正解を導くために必要な知識が助動詞のみならず、完了形仮定法時制倒置など多岐にわたっているからです。

助動詞パターンで出題された論点 2008~2018
仮定法過去(完了)の帰結節…7回
shouldを用いる仮定法…4回
助動詞+have+過去分詞…4回
時制の一致…2回
仮定法過去(完了)の条件節習慣を表すwould過去から見た未来would依頼を表すwillwouldを含む慣用表現mayを含む慣用表現倒置強調のdo譲歩のmay/might義務のshould…各1回

今回のゼミでは、助動詞に関する出題率トップ3の論点を扱います。

①仮定法過去(完了)の帰結節
もし~なら…だろうに」という仮定法の帰結節(主節)で使われる助動詞would/could/mightは、仮定法という重要論点との相性が良いせいか、最も多く出題されています。

[例題1]2016人文学部(心理人間学科・日本文化学科)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
If Karen hadn’t been so busy on Saturday, she (      ) have joined us for the party.
(訳)カレンが土曜日にあんなに忙しくなかったら、私たちとパーティーに出られたはずなのに。
(A) can
(B) would 正解
(C) must
(D) will
【解説】選択肢はすべて助動詞です。下線部から、空欄には仮定法過去完了の帰結節に相応しい助動詞を選べば良いとわかります。
もし~なら…だろうに」という仮定法の帰結節(主節)では「~だろうに」の部分に助動詞の過去形が使われますので、正解は唯一の過去形助動詞である(B)wouldです。
[例題2]2015外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ、フランス、ドイツ、アジア学科) 法学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。

I (      ) made arrangements to pick you up at the airport if you had emailed me before your trip.
(訳)出発する前にメールをくれていたら、空港へ迎えに行くよう手はずを整えていただろうに。
(A) will have
(B) have had
(C) would have 正解
(D) must have
【解説】選択肢はすべて「助動詞have/had」の形をしています。if節の内容が「過去の事実に反する仮定」であるので、主節では「助動詞の過去形have過去分詞」の形になります。よって正解は唯一の過去形助動詞を含む(C)would haveです。
[例題3]2015外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Professor Sands is angry with you for being late again. If I were you, I (      ) to class on time.
(訳)サンズ教授は君がまた遅刻したので怒っているよ。僕が君なら、時間通りに授業に行くだろうに。
(A) did come
(B) could come
(C) had come
(D) would come 正解
【解説】選択肢はすべて「過去形助動詞come」の形です。
空欄前のifIf I were you「もし、僕が君だったなら」は仮定法過去の形ですから、帰結節(主節)では「過去形助動詞[would/could/might]+動詞の原形」になるはずで、これを満たすものは(B)could come(D)would comeの2つにしぼられます。
仮定法の「~だろうに」の部分で使われる助動詞にはwould/could/mightの3種類がありますが、「~するのだが」という意味合いを出すにはwouldが適切ですので、正解は(D)would comeとなります。
ちなみにcouldを選ぶと「~できるのだが」、mightを選ぶと「~かもしれないのだが」という意味になります。


②shouldを用いた仮定法

if節で使われるshouldは「実現の可能性が低い」という話し手の判断を表します。このshouldが出題される場合は、ifが省略される場合がほとんどです。

[例題4]2016人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) there be any problems with your reservation, please call our hotel manager.
(訳)万一、ご予約に関して問題がございましたら、当ホテル支配人までお電話ください。
(A) May
(B) Could
(C) Can
(D) Should 正解
【解説】後半が please call our hotel manager 命令文になっているので、これを帰結節と考え、前半が条件節になっていると考えます。
空欄に(D)Shouldを入れれば未来を表す仮定法の倒置形となり、意味も通ります。
(B)Couldも仮定法の帰結節で使われますが、この場合はifの省略はできないので不可です。
[例題5]2016外国語学部(英米学科)・総合政策学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) you have any questions about your credit card bill, don’t hesitate to contact one of our representatives.
[語句] bill(名)請求書、勘定書 / hesitate to do「~するのをためらう」/ representative(名)担当者、代表者
(訳)クレジットカードの請求書について万が一ご質問がありましたら、遠慮せず担当者にご連絡ください。
(A) Should 正解
(B) Could
(C) Would
(D) Ought
【解説】選択肢はすべて助動詞(D)Ought以外は空欄に入れることが可能です。
文頭に助動詞が入るにも関わらずクエスチョンマークが無いこと、及び後半の don’t hesitate to contact …命令文になっていることから前半が条件節になっていると推測できます。よって(A)Shouldを選べばifを省略した仮定法となり、文脈的にも最適です。


③助動詞+have+過去分詞

この形は過去のことに関する現時点での推量や、過去の行為に対する非難や後悔を表します。

may[might] have過去分詞~したかもしれない

You may have heard this joke before.
(この冗談は前に聞いたことがあるかもしれませんね)
The keys might have fallen out of your pocket.
(鍵はあなたのポケットから落ちたのかもしれないですね)

could have過去分詞~したかもしれない

He could have left his umbrella in the shop.
(彼はその店に傘を忘れたのかもしれない)

must have過去分詞~したに違いない

He must have told me a lie.
(彼は私に嘘を言ったに違いない)

should[ought to] have過去分詞(きっと)~したはずだ/~すべきだったのに(実際はしなかった)

The game should[ought to] have started at noon.
(正午にはその試合は始まっていたはずだ)

cannot[can’t] have過去分詞~したはずがない/~だったはずがない
→「couldn’t have過去分詞」も同じ意味を表します

He cannot have accepted your plan.
(彼があなたの計画を受け入れたはずがない)
She couldn’t have noticed the difference.
(彼女がその違いに気がついたはずがない)

 should[ought to] have過去分詞~すべきだったのに(実際はしなかった)

You should have got up at seven.
(あなたは7時に起きるべきだったのに)
The clerk ought to have given you a receipt.
(その店員はあなたにレシートを渡すべきだったのに)

need not[needn’t] have過去分詞~する必要はなかったのに(実際はしてしまった)

You need not[needn’t] have bought so much meat.
(そんなにたくさんの肉を買う必要はなかったのに)

それでは実際の設問を見ていきましょう。

[例題6]2016経営学部理工学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Sara looks happy. She (      ) a really good time with Tom earlier this evening.
(訳)サラは幸せそうだ。今日の夕方早くに、トムと楽しい時を過ごしたに違いない。
(A) might have
(B) must have had 正解
(C) will have
(D) should be having
【解説】選択肢には「助動詞have」が目立ちます。
目の前にいるサラに関して過去(earlier this evening)の強い推量を働かせていますので「~したに違いない」という意味になる(B)must have hadを選びます。

(A)might have hadならば過去の弱い推量になりますが、might have現在の弱い推量になるので不可です。
 [例題7]2011経営学部理工学部(A方式)
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
I (      ) this movie before, but I’m not sure.
(訳)私は以前にこの映画を観たかもしれませんが、確信は持てません。
(A) must watch
(B) might watch
(C) should watch
(D) may have watched 正解
【解説】before以前にが使われていることに着目します。
過去の経験に関して現在時の弱い推量を表す形「may have過去分詞(~したかもしれない)」となる(D)may have watched(観たかもしれない)が最適です。
 [例題8]2010人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
以下の(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
Sorry, I can’t serve you yet. You (      ) waited in line like everybody else.
(訳)すみませんが、まだあなたのお相手をできません。皆さんと同じように1列に並んで待っていればよろしかったのに。
(A) should be
(B) had better
(C) have to be
(D) ought to have 正解
【解説】空欄に続くwaitedは自動詞用法が基本で、通例受け身にはしないため(A), (C)は不適です。(B)had better助動詞で後には原形をとるため空欄には入りません。文意からも残る(D)ought to haveが最適です。

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