第1講 頻出論点①句動詞

直前対策ゼミということで、南山入試において特に重要な論点を、2020年度の傾向をふまえつつ、解説していきます。
第1回は句動詞について過去に出題された問題を解説します。

文法/語法問題や空欄補充問題で特徴的なのが句動詞(群動詞)に関する設問です。句動詞とは基本動詞に前置詞や副詞などがついて1つの動詞と同じ働きをするものをいいます。中学英語で学ぶgive up(動詞give副詞up)などが典型例です。

句動詞(群動詞) = 基本動詞前置詞[副詞

この句動詞をテーマにした設問ですが、2014年以前はそれほど目立っていませんでした。しかし、2015年に4問が出題されたのをきっかけに、2016年は5問、2017年に7問、2018年は7問、2019年には13問、2020年は10問とここ4年間は各日程必ず12問出題されていますので、2021年度も注意が必要です。

基本的な解き方は文法/語法問題ゼミ 第13講『句動詞』を参照していただくとして、本稿では2018年に出題された7問を解説していきたいと思います。

2018全学統一入試
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
17. Jason decided to (      ) taking his summer vacation because he was too busy at work.
(訳)ジェイソンは夏休みの取得を(      )することに決めました。なぜなら、仕事であまりに忙しかったからです。
(A) put down
(B) put away
(C) put in
(D) put off
[解説] 選択肢はすべて「put副詞[前置詞]」の句動詞パターンです。
意味はそれぞれ(A)put down ~「~を書き留める(=write down)」(B)put away ~「~を片づける」(C)put in ~「(要求/書類など)を提出する/~に費やす」(D)put off ~「~を延期する(=postpone)」で、文意より(D)put offが正解です。
[語句] decide to do「~することに決める」/ put off doing「~するのを延期する」/ be busy at[with]+名詞「~で忙しい」
2018外国語学部(フランス学科、アジア学科)・経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
14. Emile dropped the vase on the floor, where it (      ) many pieces.
(訳)エミールはその花瓶を床に落とし、そこで粉々に(      )。
(A) broke apart
(B) broke into
(C) broke up
(D) broke down
[解説] 選択肢はすべて「break副詞[前置詞]」の句動詞です。
意味はそれぞれ(A)break apart(自)粉々になる」(B)break into ~「壊れて~になる/~に押し入る/急に~し始める」(C)break up(自)(会議などが)終わる」(D)break down(自)(車・機械などが)故障する」です。
(A)(B)に「壊れる」という意味があり、どちらも文意に合いそうですが、空欄直後のmany piecesは前置詞intoの目的語と考えられるので、(B)broke intoが正解になります。
[語句] drop A on B「AをBに落とす」
2018人文学部(心理人間学科、日本文化学科)・理工学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
11. I’m going to the bank this afternoon. I’m going to ask if I can (      ) a loan to buy a house.
(訳)今日の午後、銀行に行ってきます。家を買うローンを(      )できるか尋ねてみます。
(A) take up
(B) take in
(C) take away
(D) take out
[解説] 選択肢はすべて「take副詞[前置詞]」の句動詞パターンです。
意味はそれぞれ(A)take up「~を占める/(趣味・仕事として)~を始める」(B)take in ~「~を理解する/~をだます」(C)take away ~「~を取り除く」(D)take out ~「(人)を連れ出す/(ローン)の手続きをする」で、文意より(D)take outが正解です。
[語句] take out a loan「借金をする」
2018人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科)・経営学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
16. These camping items don’t (      ) much room, so I think we only need one car.
(訳)これらのキャンプ道具は多くの場所を(      )ない。だから、私たちに必要なのは1台の車だけだと思います。
(A) take over
(B) take in
(C) take up
(D) take on
[解説] 選択肢はすべて「take副詞[前置詞]」の句動詞です。2018年はtakeに関する句動詞が2問出題されたことになります。
意味はそれぞれ(A)take over ~「(事業・職務など)を引き継ぐ」(B)take in ~「~を理解する/~をだます」(C)take up ~「(時間・場所など)を占める/(趣味・仕事として)~を始める」(D)take on ~「(仕事・責任など)を引き受ける/~を雇う」です。空欄後にmuch room(多くの場所)とあるので、(C)take upが正解になります。
2018法学部・国際教養学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
13. I have to get a new belt. This old one just doesn’t (      ) my pants properly anymore.
(訳)新しいベルトを買わなきゃ。この古いのはもうズボンを(      )できません。
(A) take up
(B) hold up
(C) pull up
(D) push up
[解説] 選択肢はすべて「基本動詞up」の句動詞です。
意味はそれぞれ(A)take up ~「(時間・場所など)を占める/(趣味・仕事として)~を始める」(B)hold up ~「~を支える/~を持ち上げる」(C)pull up ~「(車・人)を止める/(衣類)を引き上げる」(D)push up ~「(価格)を押し上げる/(数量)を増やす」です。
ベルトはズボンをpull up(引き上げる)のではなく、hold up(支える→保つ)するためのですから、(B)hold upが正解になります。
2018法学部・国際教養学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
15. The new shopping center may (      ) economic growth in the town.
(訳)新しいショッピングセンターはその街に経済成長を(      )だろう。
(A) bring into
(B) bring out
(C) bring about
(D) bring up
[解説] 選択肢はすべて「bring副詞[前置詞]」の句動詞です。
意味はそれぞれ、(A)bring A into B「AをBの状態に至らせる」(B)bring out ~「~を持ち出す/(本)を出版する/(製品)を発表する」(C)bring about ~「~を引き起こす/~をもたらす(=cause, lead to)」(D)bring up ~「~を育てる(=raise)」です。文意より、(C)bring aboutが正解になります。
[語句] economic growth「経済成長」
2018外国語学部(英米学科)・総合政策学部
[空欄補充問題]

以下の文章が完成するように、(A)~(D)のうちから最も適切なものを一つ選びなさい。
32. Nagele wanted everyone to be together in the same room so that they could bond more easily and work better as a team. This idea (  32  ) to be a mistake.
(訳)より親密になりやすく、チームとしてより良く働けるようにナーゲレは皆が同じ部屋に集まることを望みました。この考えは誤りであることが(      )。
(A) turned down
(B) turned over
(C) turned out
(D) turned up
[解説] この日程では文法/語法問題ではなく、空欄補充問題で句動詞の問題が出題されました。
選択肢はすべて「turn副詞[前置詞]」の句動詞パターンです。ちなみに、英米学科・総合政策学部では2017年にもturnに関する句動詞の問題が出題されています(文法/語法問題の問18)。
選択肢の意味はそれぞれ、(A)turn down ~「~を拒絶する/(音量など)を小さくする」(B)turn over ~「~をひっくり返す/(ページ)をめくる」(C)turn out (to be) ~「~であることがわかる」(D)turn up ()現れる、姿を見せる/()(音量など)を大きくする」です。空欄後のto be a mistakeより「間違いであることが分かった」という意味になる(C)turned outが正解です。
[語句] so that S can[will/may]「Sが~するために」/ bond(自)親密になる

2018年は「同じ動詞+異なる前置詞(副詞)」で選択肢が構成されたものが7問中6問を占めました。2019年にはこのタイプは1問に減少しましたが、様々なパターンの句動詞問題が13問出題されています。
2020年は「同じ動詞+異なる前置詞(副詞)」タイプが6問、「異なる動詞+同じ前置詞(副詞)」タイプが4問でした。

2021年度の出題がどうなるかは誰にもわかりませんが、対策は変わりません。南山で過去に出題された句動詞と、お手元の文法/語法問題集に載っている句動詞をまとめて繰り返せばじゅうぶんです。
句動詞に関しては直前対策ゼミの後半で、過去に出題された頻出の動詞ごとにまとめていきたいと思います。

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