第2講/前置詞vs接続詞vs副詞

『前置詞vs接続詞vs副詞』パターンとは、選択肢が前置詞接続詞副詞の3つで構成されているものをいいます。
このパターンで基本となるのはそれぞれの品詞が「何をつなぐのか?」という観点です。

前置詞…名詞をつなぐ
接続詞
S(主語)V(述語)から成るをつなぐ

副 詞つなぐ機能を持たない  但し, however, besidesなどの接続副詞は節をつなぐことができる 

このパターンでは、似たような意味の選択肢を並べて受験生を戸惑わせるので、品詞の分類が最も重要です

それでは、実際に問題を見ながら解説していきましょう。

前置詞vs接続詞vs副詞

[例題1]2013人文学部(キリスト教学科・人類文化学科) 経済学部
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) Emily Dickinson was virtually unknown during her life, today she is recognized as one of American’s most original poets.
(訳)エミリー=ディキンソンは、存命中は事実上ほとんど知られていなかったが、今日彼女はアメリカの最も独創的な詩人の一人として認識されている。
(A) Although
(B) Even
(C) Despite
(D) However

便宜上和訳を載せていますが、ないものとして解説を読んでください。

この問題を和訳先行で解こうとすると、すべての選択肢が逆接の意味をもつので、(A)から順に選択肢の訳語を当てはめていっても答えは1つにしぼれません。

そこで、文法/語法問題での定石にしたがい、問題文の和訳は後回しにして、まずは選択肢の分類をしていきましょう

(A) Although接続詞
(B) Even副詞
(C) Despite前置詞
(D) However副詞

分類の結果、選択肢は接続詞副詞前置詞で構成されていることがわかりました。
このように選択肢が前置詞()・接続詞副詞()から成る設問パターンを『前置詞vs接続詞vs副詞』と呼んでいきます。

『前置詞vs接続詞vs副詞』パターン
選択肢が前置詞接続詞副詞で構成されている

設問パターンが把握できたところで、本文を検討しましょう。

[空欄の語は何と何をつないでいるか?]
(      ) Emily Dickinson was virtually unknown during her life, today she is recognized as one of America’s most original poets.


空欄に入る語は、主語(Emily Dickinson)と動詞(was unknown)を含むを、後半の(today She is recognized…)につないでいるので(      )には節をつなぐ働きをする接続詞が入ると推測できます。

選択肢の一覧に戻ると接続詞は(A)Althoughだけですね。これが正解です。もし、接続詞が複数ある場合は、意味が文脈にふさわしいほうを選びます。

(D)Howeverは副詞ですが「どのように…しても」という譲歩節を導く用法があり、節と節をつなぐ機能があります。

接続詞的に使われるhowever
However carefully we drive, an accident might happen. (いかに注意して運転していても、事故は起こりうる)

しかし、ここまで覚えるのは負担ですし、この用法で出題されたことはないので、
however副詞→節をつなぐ機能をもたない
と考えて大丈夫です。

問題文を和訳しなかったぶん、余計な回り道をせずに正解に辿り着くことができました。
もう1問解いて練習してみましょう。

[例題2]2014年外国語学部(英米学科) 総合政策学部(A方式)
(      )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。
(      ) the damage caused by the typhoon, the trains are still running.
(A) Although
(B) However
(C) In spite of
(D) Because of

今回も、まず選択肢の分類をします。

[選択肢の分類]
(A) Although接続詞
(B) However副詞
(C) In spite of前置詞句
(D) Because of前置詞句

(C)in spite ofと(D)because ofは2語以上の語がまとまって1つの前置詞の働きをする前置詞句です。

選択肢は前置詞(句)、接続詞、副詞で構成されているので『前置詞vs接続詞vs副詞』パターンの可能性を念頭に置いて構文を確認していきます。

[空欄の語は何をつないでいるか?]
(      ) the damage caused by the typhoon, the trains are still running.

空欄の後にはthe damage caused by the typhoon(台風によってもたらされた損害)という名詞句がきているので、(      )には前置詞(句)である(C)In spite of「~にもかかわらず」(D)Because of「~の原因で」のどちらかが入ります。

正解の候補が2つあるので文の内容を検討していきます。

[文法的に正しい正解候補が複数ある→文脈に合う方を選ぶ]
(      ) the damage caused by the typhoon, the trains are still running.

(訳)台風による損害が(      )、列車は依然として走っている。

台風被害があるにもかかわらず、列車が運行しているということは逆接の関係なので(C)In spite of~にもかかわらず」が正解になります。

今回は文法的に正しい正解候補が2つあったので問題文の内容を検討しました。
文法的に正しい選択肢が2つ以上あるときは、文意を把握しなければ解けませんが、品詞を正確に分類しておけば和訳なしであっさり解けることも多いのがこのパターンの特徴です。

まとめ

『前置詞vs接続詞vs副詞』パターンの解き方
1. 選択肢を見比べる
選択肢が前置詞接続詞副詞で構成されている→『前置詞vs接続詞vs副詞』パターン
[例] 選択肢が, (A)that( (B)during()  (C)since(/)  (D)even()
前置詞接続詞副詞で構成されているので『前置詞vs接続詞vs副詞』パターンである。

2. 空欄を含む文の構文をチェックして、空欄の語が何と何をつなぐか確認して正解候補をしぼる
[例]
1.空欄が名詞をつないでいる→前置詞
2.空欄がをつないでいる→接続詞
3.空欄はなにもつないでいない(空欄は文(または文の要素)を修飾している)→
副詞

3.正解候補のうち、文脈に合うものを選ぶ→例題2参照

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