『態』パターンとは、選択肢が同一動詞の受動態と能動態で構成されているものをいいます。
出題側の事情として、『態』単独では選択肢が受動態と能動態の2つしか作れませんので、他の文法分野と絡めた出題が多いのが特徴です。中でも、第4講で解説した『時制』問題との混合問題が頻出です。
1.『態』基本パターン
[例題1]2014年経営学部・理工学部(A方式) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 Next week, our meeting ( ) on Wednesday instead of Friday. (A) will be held (B) will hold (C) will be holding (D) will have held |
今回も問題文を読む前にまず選択肢を眺めてみましょう。
すると、各選択肢にwillが含まれていることに気がつきます。すべて未来形ですから時制以外の観点で選択肢を分類してみます。
[選択肢の分類]
(A) will be held→受動態
(B) will hold→能動態
(C) will be holding→能動態(進行形)
(D) will have held→能動態(完了形)
選択肢の検討から、本問で問われているのは、
①受動態or能動態
②単純未来or未来進行形or未来完了形
ということになります。
本問の選択肢群のように、同一動詞の受動態と能動態が混在するパターンを『態』と呼ぶことにします。
それでは問題文を検討していきましょう。
Next week, our meeting ( ) on Wednesday instead of Friday.
(訳)来週、私たちのミーティングは金曜日に代えて、水曜日に( )。
まずは態を決定しましょう。態を決定するには動詞holdの目的語に注目します。
[holdの目的語は何?]
Next week, our meeting ( ) on Wednesday instead of Friday.
選択肢にある動詞holdは他動詞なので直後に目的語が必要です。しかし( )のあとには、on Wednesday instead of Friday(金曜日に代えて、水曜日に)と副詞句が続き、目的語がありません。
このような場合は、
「holdの目的語が主語になっている→受動態」
と考えるとつじつまが合います。
よって正解は唯一の受動態である(A)will be heldです。
参考までに、問題文を能動態に直すと、
[問題文を能動態にすると…]
Next week, we will hold our meeting on Wednesday instead of Friday.
となります。他動詞holdがour meetingを目的語にとっていることを確認してください。
2.『時制』と『態』のコラボ問題
第0講『選択肢から出題パターンを見極めよう』で扱った問題をもう一度解いてみましょう。
[例題2]2016年人文学部(心理人間学科・日本文化学科) ( )内に入れるのに最も適当なものを、(A)~(D)のうちから一つ選びなさい。 English ( ) at this elementary school since 1904. (A) was taught (B) has been taught (C) taught (D) is taught |
いつも通り、まずは選択肢の分類です。
選択肢には動詞teachが共通して使われていますね。
[選択肢の分類]
(A) was taught→過去形/受動態
(B) has been taught→現在完了形/受動態
(C) taught→過去形/能動態
(D) is taught→現在形/受動態
選択肢は3種類の時制に2種類の態で構成されています。この問題は前回学んだ『時制』と今回の『態』のコラボレーション問題になっています。
解き方は、『時制』の場合は問題文中の『時』に関係するキーワードを探し、『態』の場合は他動詞の目的語に注目するんでしたね。
それでは問題文を見ていきましょう。
English ( ) at this elementary school since 1904.
(訳)この小学校では1904年以来、英語が( )。
まず『態』の観点から見ていきましょう。
選択肢に共通な動詞teachは他動詞ですが( )の直後には目的語がありません。そこで、teachの目的語Englishが主語となり、受動態の文になったと考えます。
ここで正解候補は(A)、(B)、(D)にしぼられました。
次に『時制』を決定するキーワードを探しましょう。『時』に関係する語は前置詞sinceしかありませんね。
「~以来」という意味でのsinceは通例、完了時制を用いるのが原則ですので、選択肢の中で唯一の完了時制である(B)has been taughtが正解になります。
[正解]
English has been taught at this elementary school since 1904.
(訳)この小学校では1904年以来、英語が教えられている。
まとめ
『態』パターンの解き方 1.選択肢を見比べる 選択肢に同一動詞の受動態と能動態が混在している→『態』パターン [例] 選択肢が、 (A) was taught→受動態 (B) has been taught→受動態 (C) taught→能動態 (D) is taught→受動態 →動詞teachに関して2つの態が存在する『態』パターンである。 2.動詞の目的語に注目して態を決定する [例] English ( ) at this elementary school since 1904. →teachは他動詞であるが、空欄後に目的語がないので受動態になっていると考える。 |