今回は設問文からキーワードを抜き出し、本文中に現れるキーワード周辺を精読していく方法(キーワード読解法)を解説します。
これは別段、特別な方法ではなく受験生が普通に行っているものですが、名前をつけて意識することで長文読解問題の円滑な処理を目的としています。
キーワード読解法のメリットは、本文を読む前に、あらかじめ設問文に登場するキーワードを頭に入れておくことで、問題を解くために重要な箇所がどこなのかがハッキリすることです。
キーワードに関係なさそうな場所は、大まかに内容を把握して読み進め、キーワードを含む文まで来たらスピードダウンして精読します。本文は長いのでメリハリをつけて読めるよう過去問で練習しておきましょう。
-南山長文読解問題の解き方3- 設問文からキーワードを抜き出し、メリハリをつけて本文を読もう!! |
それでは過去問を使ってキーワード読解法を解説していきましょう。
解説にあたって使用する問題は、2017年に人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科)・経営学部で出題されたものを利用しますので、お手元の赤本、もしくは以下のサイトを参照してください。
大学受験パスナビ(外部サイト)
2017年南山大学過去問[人文学部(キリスト教学科、人類文化学科)・外国語学部(スペイン・ラテンアメリカ学科、ドイツ学科)・経営学部]
キーワードを設定できる設問は内容真偽問題である21、22、24、25、26です。
これらの設問を使ってキーワード読解法の手順を学んでいきましょう。
キーワード読解法の手順
1.設問文からキーワードを抜き出す
21. According to the passage, Salopek has already traveled through ( ) on his seven-year walk. キーワード→seven-year walk (訳)本文の一節によれば、サロペックは7年に渡る徒歩旅行ですでに( )を旅行した。 (A) Alaska (B) Chile (C) the Middle East (D) California |
まず、設問文からキーワードを抜き出します。キーワードの選び方に決まった方法はありませんが具体的な名詞がある場合はそれを選ぶとうまくいくことが多いようです。
問21では「7(=seven)」という具体的な数字が入っていることからseven-year walkを選びました。問題によってはキーワードを2つ以上選ぶこともあります。
問22、24、25、26のキーワードは以下のように選ぶと良いでしょう。
22. Which of the following is true about Salopek’s Out of Eden Walk? (訳)サロペックの『アウト・オブ・エデン・ウォーク』について正しいものは下記のもののうちどれか? キーワード→Out of Eden Walk |
24. Accordingly to the passage, Salopek says that car ownership ( ). (訳)本文の一節によれば、サロペックは車を所有することは( )だと述べている。 キーワード→car ownership |
25. Accordingly to the passage, Stewart suggests that Salopek ( ). (訳)本文の一節によれば、スチュワートはサロペックが( )ことを提案している。 キーワード→Stewart suggests that… |
26. According to the passage, ①Salopek hopes ②his approach to reporting will ( ). (訳)本文の一節によれば、サロペックは彼の報道に対する取り組みが( )となることを望んでいる。 キーワード(2つ)→①Salopek hopes (that), ②his approach to reporting |
2.本文中にキーワードが出現する段落を探す
キーワードを抜き出したら、次はそのワードが本文中に現れる段落を探します。
内容真偽問題は1段落に1問出題され、設問の順番は段落の順番と同じなので、1問目の設問を読んでキーワードを抽出したあと、第1段落を読み始めるのが良いでしょう。
設問からキーワードseven-year walkを抜き出して、第1段落を読み進めると2行目にさっそくキーワードが登場します。
He was staring out on a seven-year walk along one of the routes taken by early humans who migrated out of Africa.
(訳)彼はアフリカから移住した初期の人類が辿った経路の1つに沿う7年間の徒歩旅行に出発しようとしていた。
選んだキーワードと全く同じ語句seven-year walkが出てきたので、精読に切り替えて注意深く読んでいき、選択肢の正誤を判定するという流れです。
ここで気をつけたいのは、キーワードに選んだ語と本文中で使われる語が必ずしも同じとは限らないということです。出題者が受験生の読解力を測る目的で、意図的に本文中の表現を設問で言い換えている場合が多いです。
この点に関しては次回、第4講『選択肢の表現に惑わされない』で解説したいと思います。
キーワードに選んだ語と本文中で使われる語が必ずしも同じとは限らない!! 問25を参照してください。 25. According to the passage, Stewart suggests that Salopek ( ). (訳)本文の一節によれば、スチュワートはサロペックが( )ことを提案している。 キーワード→Stewart suggests that … [解説] 設問文ではスチュワート氏の提案内容がどんなものか?と問われているので、Stewart suggests that …というスチュワート氏の主張を表す節をキーワードに選びますが、本文ではsuggest(提案する)という単語は使われておらず、 He recommends that Salopek follow his example. (彼はサロペックが彼の先例に従うことを推奨している) とrecommend(推奨する)に言い換えられています。このようにキーワードが言い換えられている場合も多いので、注意が必要です。 |
3.迷ったら選択肢の中からもキーワードを拾う
キーワードを含む段落を精読したら、(A)~(D)の選択肢を吟味していきます。このとき、設問が正しいものを選ばせているのか、誤りを指摘させようとしているかに注意しましょう。
正誤の判断に迷ったら, 選択肢の中からキーワードを拾って、そのキーワードについて記述された箇所に戻ります。問22を見てください。
22. Which of the following is true about Salopek’s Out of Eden Walk? (訳)サロペックの『アウト・オブ・エデン・ウォーク』について正しいものは下記のもののうちどれか? キーワード→Out of Eden Walk (A) He takes less than a week to travel 160 kilometers. (B) He is paying for his trip himself. (C) He writes just once a year about his travels. (D) He walks roughly 4,000 kilometers a year. |
キーワードにOut of Eden Walkを選ぶことに異論はないと思います。内容真偽問題2問目にして、このキーワードが登場するのは第2段落であることも確認してください。
第2段落はサロペック氏のOut of Eden Walkについての概要が記述されています。第2段落を読み終えて、選択肢(A)を見ると、
(A) He takes less than a week to travel 160 kilometers. (彼は160キロ旅するのに1週間以下しか要しない)
となっていますが、サロペック氏が旅行するペースを直接記述している箇所はありませんので、正誤が不明です。このような場合、選択肢の中からキーワードを拾って段落に戻ります。
[選択肢からキーワードを拾う]
(A) He takes less than a week to travel 160 kilometers.
キーワード→a week, 160 kilometers
選択肢からキーワードを選ぶ場合もなるべく具体的な名詞を選ぶ方がうまくいきます。今回はa weekと160 kilometersの2つを選びました。まずは160 kilometersを含む文を探すと、第2文の後半に見つかります。
[キーワードを含む文を探す]
Salopek submits one major article a year …, but updates his magazine blog with stories approximately every 160 kilometers, usually every seven to ten days. (サロペックは年に1度主要な記事を投稿している…しかし、自身のブログは約160キロごと、大抵は7日から10日ごとに記事を更新している)
選択肢(A)の内容は「彼は160キロ旅するのに1週間以下しか要しない」とありますが、本文では、160キロ旅するごとに投稿するブログの更新ペースが7日から10日と言っているので誤りだということが分かります。
このように選択肢の正誤で迷ったら、選択肢の中からキーワードを拾って、そのワードが含まれる付近を丁寧に読んでいき選択肢の正誤を判定します。
まとめ
キーワード読解法はやり方を理解するだけでは本番で使えません。適切なキーワードの選び方や、選択肢の正誤判定などは実際に過去問を解きながら身につけていくしかありません。まずは1日1問(1段落)で構わないので、長文読解問題に取り組むようにしてください。
-南山長文読解問題の解き方3- 設問文からキーワードを抜き出し、メリハリをつけて本文を読もう!! |